2022年8月15日 07:00
2018年頃から、中国を筆頭に全世界的に「ブロックチェーン」を社名に入れた新会社設立ブームが広がっています。
日本でも例外になく、数年前から社団を始めとして徐々にその動きが活発化してきています。
また、既存の多くのITベンチャーがブロックチェーン時代の到来を意識し始め技術者の育成やマーケティングの準備を進めています。
民間調査会社では、今後10年間の日本におけるブロックチェーン特需は70兆円に上るとの試算をしています。
ブロックチェーンは一つの大きな破壊的産業に育っていくのは間違いのないところですが、私はここで大きな憂いを感じているのです。
その憂いとは2つあります。
1つは、資源の無いASEAN諸国は破壊的産業に成長するであろうブロックチェーンに将来の国益をかけて大きな投資を行う事を決定し実施しています。
スイスで始まったブロックチェーン特区である「クリプトバレー構想」は、現在ASEAN諸国に飛び火して国と地方都市を連携させたブロックチェーンベンチャー企業の支援施策を打ち出し初めています。
ところが日本はどうでしょう?
「クリプトバレー」どころか、政治家にブロックチェーンを理解しようとする動きさえありません。
ブロックチェーンはそのきっかけとして日本が先導していた技術です、何故この巨大なアドバンテージに気が付かないのでしょうか?
その大きな理由として上げられるのが2つ目の憂いです。
それは、日本の金融庁を始め関連省庁ではいまだに「ブロックチェーン=仮想通貨」という固定概念が根強く持たれています。
例えば、ブロックチェーンの有益なプロジェクトが立ちあがったとしても銀行は融資してくれません。
ブロックチェーンを産業向けに構築するという事業計画を示しても「仮想通貨事業には融資できません」の一点張りです、これでは日本ではブロックチェーン技術者も企業も育っていかなくなるでしょう。
そこで、将来を考えている民間ファンドが「ブロックチェーン・スタートアップファンド」を組成し支援している状況です。
「仮想通貨=ブロックチェーン」ですが「ブロックチェーン=仮想通貨」ではありません、ここが一般的に理解されていないところです。
仮想通貨は、無人による取引保障技術にブロックチェーンを用いた単なるDApps(分散アプリケーション)の一つに過ぎないのです。
ただし、仮想通貨の誕生によって埋もれていた革命的なブロックチェーンという技術が世に放たれたことは事実であり歓迎すべき出来事だったといえます。
今後、医療現場や人材紹介業界、またIoT産業などでは分散処理と情報の保障という意味ではブロックチェーンが不可欠な技術となっていきます。
その応用範囲の広さ深さをどう理解させていくか、実に悩ましい課題でもあります。
お堅い日本の政治家に、誰がどのようにして説明し理解させればよいのでしょう?
残念なことに、日本の政治家や官僚がブロックチェーンを懐疑的に捉えている間に確実に世界の技術革新に遅れていきます。
5年後、「ブロックチェーン最後進国・日本」、「キャッシュレス最後進国・日本」、そんな惨めなレッテルを貼られないことだけを祈ります。
ちなみに、スウェーデンやエストニアでは既にキャッシュレス化が90%まで進んでおり、中国を筆頭としてアジアでも急速に進んできています。
人間というもの一度大きな悔しい思いをしないと、なかなか自分の過ちに気が付かないものなのです、後悔は最大の反省を促すのです。