2022年10月14日 07:00
「失われた30年」という言葉は、この30年間の日本の経済活力の弱さを表した言葉であり各種のメディアでも使われ始めました。
事実、韓国や中国に始まった海外に開発・製造拠点を移すオフショアリングは、その後タイ・ベトナム・フィリピン・マレーシア・インドネシア・ミャンマーと人件費が安くなる国へと矛先を移してきました。
しかし、ここに来てそれらの国から再度日本へ開発・製造拠点を戻すというリショアリングが盛んになってきています。
そんな中、シチズングループが50年ぶりとなる日本での新工場を新設したというニュースは驚きを隠せませんでした。
この背景には原油高などによる輸送コストの問題や管理方法の問題がありますが、最も重要視しているのが高品質を求められる精密部品は最終的に日本で製造するのが最も安くつくというという計算になったからです。
安かろう悪かろうでは世界にブランド力を示すことはできません、こういった傾向は今後益々各カテゴリの日本メーカーに現れてくると予想されます。
製造コストは単純に人件費だけで済む時代ではなくなったのです、品質が悪ければ歩留まり率の低下により最終的には1個当たりの価格は上がってしまいます。
その点では日本の技術や製造能力は世界最高ですから、歩留まり率も極めて高くなり1個当たりの単価を抑えることに繋がるのです。
そして輸送リスクは自然災害だけでありゼロに近い数値となります、これが堅実経営のバックボーンとなり企業活力が上昇するのです。
こうした「ものづくり大国日本」が復活すると何が起きるでしょうか、それは組み立て用の重機ではなくそれを精密コントロールする為のIT技術が重要になってくるのです。
現在の工場の製造ラインは旋盤などを除き全てが無人のロボットです、このロボットにはIT技術が不可欠となります。
そして、リモート制御にはIoT技術が不可欠であり、その信頼性の保障担保はブロックチェーンを活用するという流れが確実に起きてきます。
また無人ロボットに欠かせないのがAI技術です、これらの何れかの技術をコアにしてスタートアップを謀るのはITベンチャーの経営者として考えざるを得ないのではないでしょうか?
この段階で、未来ビジョンを正確に読んでいる経営者ははたして何人いるでしょうか?