2022年10月17日 07:00
急速に広まり常識化してきた「フィンテック」という言葉ですが、いまだに定義すら正式にはありません、更には最近ではほどんど使われなくなってきています。
久しぶりに「フィンテック」のキーワードで検索してみると、多くが金融機関のサービス変更などに関する情報や、これまで経済情報サイトに載っているようなもので、とても本来のフィンテックとは別次元の情報で埋め尽くされていています。
正直フィンテックだろうと思える情報は10%程度しかありません、これが世間を混乱させいつしか忘れ去られていった原因の一つではないかと思います。
事実、書店でフィンテック関連書籍は本来技術的カテゴリーの内容であるにも関わらず、書籍のタイトルだけで工学ではなく経済のエリアに振り分けられているのですから驚きます。
「フィンテック」とはあくまでも金融のIT&ロボット化であり、これまで人の手で行っていた金融取引業務を無人化するような高度なIT技術を駆使した形態を指していなければなりません。
本来的な意味でのフィンテックのカテゴリは、大きく分けて3つあると考えています。
その一つは、ブロックチェーンに代表されるP2P接続による金融機関などの決裁者を通さない加入者同士の直接取引を行うサービス、またこの取引に重要な改ざんされない電子台帳技術、これが最もフィンテックと言えるものだと思います。
これが一般的に高度化され普及してくると銀行は無人化し、多くの銀行は淘汰されていきます。
仮想通貨は実際の通貨は存在せず、このブロックチェーンで取引されるデジタル数字に過ぎないのです、つまり仮想通貨=ブロックチェーンであり、それが次世代の通貨の概念とも言えます。
そして、2つめが個人認証です。
現在、電話での個人認証は個人情報の照合です、個人情報が漏えいすれば全く意味の無い照合になります。
これが電子化し無人で行うためには、個人を特定するIT技術が不可欠になります。
例えば、世界で最も早く無人の個人認証を取り入れたのが世界第2位のHSBC(香港上海銀行)です。
携帯電話で幾つかの質問に答えるだけで、声紋認証という技術と音声認識という技術を使い、個人情報と声紋の両方による個人認証を行います。
現在では、取り合えずの成果は出していますが、双子を識別できないなどの実験結果も出ており完全ではありません。
そこで、声紋認証と音声認識での情報照合に代わる携帯電話などでの個人認証方式が全世界の金融機関で望まれています。
これが可能になれば、カスタマーオペレーターは不要になり人的な金融トラブルは激減します。
最後の3つめがデーター伝送セキュリティです。
これまでの、暗号化通信やハイパー攻撃のブロッキングセキュリティに加えて、完全なるデーターの保証伝送という技術が不可欠になります。
例えば、P2P接続で双方のコンピューターが同じウイルスに感染していたら、これを異常取引だと認知することは現在では不可能です(二人の将軍問題)。
遠目で見る第三者的なコンピューターによる監視、そして伝送した内容を保証するという高度な技術が要求される分野でもあります。
データーの保証伝送には壊れたデータの自動復旧という、とんでもない技術分野が含まれています。
これが実現すれば、検索エンジンのように取引ノード内を巡回し例え一時的に改ざんされた取引データでも次の瞬間には自動復元が行われ、改ざんされた情報で悪用されることを阻止できます。
ただフィンテック分野は一歩間違えば経済パニックを起こす大事故に繋がります、つまりとてつもなくハイリスクな技術分野なのです。
誰もが参入できる技術分野ではないのがこのフィンテックというIT分野なのです、そして開発には通常のITシステムの2桁も上という、まさに桁違いの資金が必要になります。
これも参入障壁を更に高く厳しくしている要因の一つだと思います、私はこういった高度な技術力を持つIT企業に対して各種の支援を行っていこうと考えています。
他者の夢に乗って他者の夢の実現を支援するのも自身の夢の実現と同様であり、各種の有形無形のゲインを享受できるのです。