2024年6月 4日 09:00
【ビザンチン将軍問題とは】
悪意のある者がネットワーク内に存在する場合に、どのようにして正しい取引を承認するかという問題は、「ビザンチン将軍問題」としてブロックチェーンのような分散システムを構築する上で長い間大きな課題とされてきました。
この「ビザンチン将軍問題」というのは、「敵国を囲む複数の将軍間で一斉攻撃の作戦の合意をとりたいが将軍の中に裏切り者がいたり、伝令者が捕まったり、偽の情報を流されたりする可能性がある場合はどのように正しい情報を判断し全員の合意を取るか」というものです。
インターネット上においてもハッカーに代表されるように、悪意のある者は必ず存在しかつ通信環境も完全なものではなく不安定なものなのです。
例えば、インターネットで2者間の合意を得る「2人の将軍問題」というのが「ビサンチン将軍問題」とは別に存在しています。
これは、現在ネットワークの世界標準通信プロトコルであるTCP/IP(インターネット・プロトコル・スイート)が完全に解決しているとされています、しかし世の中には完全なロジックやITシステムは存在しないのです。
例えばネットワークの世界標準通信プロトコルであるTCP/IPにしても、2者のコンピューターが同時にハッキングされた場合これを検出できる方法は皆無で、何事も無かったかのように2者は不正な通信を正常な通信と何ら変わる事も無く継続してしまうのです。
このような状況下で、他のノードが同じ正しい情報をもとに合意できるかという問題が分散システムを構築する上では古くから課題となっていました。
しかし、実際にビットコインが分散システムによって長期間維持されていることを見て「ビットコインがビザンチン将軍問題を解決している」と言われるようになりました。
しかし、実態は解決しているのではなく「悪意のある存在がいても50%以上の計算能力がなければ支配されることはない」という推測理論によるものでしかありません、また近年の研究では41%の計算能力でも1/2の確率でブロックを生成できることが示されています。
結論としてはビットコインをはじめ、世の中にある分散処理システムは「ビサンチン将軍問題」を解決していない、むしろその問題を解決しなくてもよい方法を見つけ出し「避けて通っている」というのが正解なのです。
対して、産業向けに考えられたプライベート型ブロックチェーンでは複数の管理サーバーによる代表制マイニングによるコンセンサスアルゴリズムを採用しています。
全てが自社サーバーですので中央集権型だという輩もいます、しかしその技術的解決法としては極めて優れたもので第三者を介さずにコンセンサスを行え取引を保障したうえでの自立分散P2P取引を有効にしているのですから。
また管理サーバーは実際の人による管理者を介するわけではありません、パブリック型のマイニングを複数の代表サーバー(ノード)によって行われているだけなのです。
「限られたノードにだけマイニング権利を与えている」、ここからプライベート型ブロックチェーンと呼ばれているのです、そこで行われていることはパブリック型のブロックチェーンにおけるコンセンサスと何も変わることはありません。
※仮想通貨は、ブロックチェーン技術を用いた世界で最初のDApps(分散型アプリケーション)の一つであるということに過ぎません。
今や、電子取引をあらゆるデータの取引として金融以外の分野に応用して行こうという試みがなされています。
※投稿@伊東久雄