2024年5月16日 08:00
タンポポの生き残るための知恵には、正直おどろかされました。
前回幾つか紹介しましたがまだまだあります。
その一つに、花を咲かせてから種を作るまでの期間と、そのメカニズムがあげられます。
タンポポは花を咲かせる際に蕾を形成しながら花茎を高く伸ばします、そして蕾は太陽が昇る頃には開花し夕方には一旦閉じてしまいます。
これを3日間繰り返しながら、花の中ではしっかりと種を作る準備を行っているのです。
そして開花から4日目には完全に花を閉じて花茎をいったん寝かせ、別の花が茎を伸ばし花を咲かせるのを邪魔しないようにしています。
また、花茎を寝かせている間に種の熟成にエネルギーを集中させ、種が出来上がったら、再度花茎をまっすぐ伸ばし種を飛ばします。
その時には後から咲いた花の花茎は横に寝ていますから、種を飛ばすのにも邪魔をしません。
つまり、これは同じ株の花でも順序良く開花と種を飛ばすという完全な連携プレーを行い、花同士が花を咲かせ種を飛ばす動作の邪魔し合うのを防いでいるのです。
更には、この間欠的に種を飛ばすことで、風向きなどの違いから四方八方に種を飛ばす事ができます。
一斉に花を咲かせて種を飛ばしてしまったら、その時の風向きにしか飛びません、つまりこの連携プレーと間欠プレーによって四方八方に種を飛ばす為の知恵が他の植物よりも進化していると感じるところなのです。
ちなみに、このタンポポのように種に綿毛を付け風に運ばせる植物は「風媒花」と呼ばれています。
特筆すべきは、タンポポの繁殖戦略は種そのものにも備わっているということです。
それは、同じ花から出来た種にも関わらず、時間差発芽のメカニズムが備わっているのです。
これは私も実際に種から育ててみておどろいたのですが、多くの種は巻いて1週間ほどで芽を出しどんどん成長しますが、先に芽を出した株が成長しきった後に隙間に一緒に蒔いた種の芽が出てくるのです。
そして、一番遅いのが何と5ヶ月も遅れた秋になってから芽を出し始めたのです。
この特性は種の発芽を何かしらの方法でコントロールしていると思われるのですが、どのように個々の種が発芽時期を知るのかまで詳しいメカニズムは解っていません。
ただ、考えられるのは、やはり互いの成長を邪魔し合わないようにしているということと、他の植物よりも先にその地を占領する先発部隊と他の植物が先に生えていた場合、秋になり枯れるのを待ってから発芽し、その地を占領するという後方部隊が上手く役割分担しているのではないかと推測できます。
ここにもタンポポの驚異的な戦略を見てとれます、見事なまでの戦略に脱帽するしかありません。
タンポポの生きるための繁殖メカニズムには、緻密に仕組まれた「戦略」を感じざるを得ません、実に頭の良い植物なのです。