私はよく「経営者はプラス思考ではなく前向き思考が肝要」と話しています、前向き思考とプラス思考は何が違うのでしょうか、そこで2つの思考の違いを述べたいと思います。
まず「前向きな思考」とは見ているビジョンを指しています、「前向き」ですから見ている先は未来です、終わってしまった事を肯定したうえでその後にどうするかを思考することです。
逆に「後ろ向きな思考」とは見ている先が過去、つまり終わってしまった事を何時までも反省するもなく悔み考えることを言います。
「前向きな思考」は失敗を失敗で終わらせません、失敗とは一過性の事象であり確かにそのままにしておけば失敗が失敗として確定してしまいます、しかし失敗を未来において見事にリカバリーすれば失敗ミスした事によって生まれた善事で失敗を帳消しにできるどころか大きな利益も生みます、まさにこれが「失敗は成功の基」ということです。
対して「プラス思考」とは自分の心の置き方の問題であり「プラス思考」は何事も良い方に考え逆の「マイナス思考」は悪い方に考えることを指しています、言い方を変えると「プラス思考」ほど実は自己都合な思考は無いのです、経営者は起きた事は自己都合ではなく正確に把握しなくてはなりません。
成功する人は「マイナス思考の前向きな人」でなければならないと私は確信しています、つまりそれを行うことによって起きうる最悪な事まで想定しておき未来を見て悠々と推進できるからに他なりません。
想定外な事が起きても常にリカバリーを心がける、経営者はこれが肝要なのです、逆に成功しない人は「プラス思考の後ろ向きな人」です、これに関してはもう説明は不要ですね。
話は実に上手くできるのに文章を書かせると相手に伝わらない脈絡がなく表現下手な人を多々見かけます、何故話しではスラスラと上手く伝えることができるのに文章はまるで駄目ということが起きるのでしょうか、これは話すということと書くということは全く異なる能力だからです、つまり使われる脳の領域が異なる為に起きるのです。
話す行為は必ず相手がいます、つまり相手の表情や反応を見て自分の設定したゴールに誘導していく能力が求められます、この能力は「ネゴシエーション」であり交渉能力です、相手の反応で言い直しや迂回会話などが自由に且つ有効に機能します。
対して文章を書くという行為は相手がその場にいません、つまりその場の反応での言い直しも迂回も一切機能しません、文章表現だけで相手にこちらが言いたい事を全て理解してもらわなくてはなりません。
この相手に正確に伝える文章を書く能力を「リテラシー」と言い頭の中に在る断片情報を見事に分解再構築し的確な記述によって表現することができる能力です、ただし単純に上手く文章を書く能力を指して「リテラシー」とは言いません、ここを誤解しないように願います。
物事の説明は文章化できても自分の考えや方針を文章化できない、これが「リテラシー能力欠如」という状況です、経営者は事業計画書に始まりパンフレットやホームページ、またメールでの相談や交渉など実に多くの文章表現を求められるシチュエーションが存在します
文章表現が下手な人は経営においてはメールなどで誤解されたり、誤った情報が相手に伝わるなど致命的な事態になることすらあります。
リテラシーは鍛えることは難しい先天的な能力の一つですが鍛えるとしたら文章をたくさん書いてそれなりのノウハウを身につける以外にありません、特にブログは誰が読むか解りません、つまり下手な事は書けませんから 端的に相手に伝わる文章を書くようになります。
ビジネス書籍などで「常識の中に答えは無い」的な表現が使われることが多いのですが、それはいったい何を指しているのでしょうか?
常識とは「既に目の前に存在するもの」に基づいている思考です、現状打破の変化を考えた場合にヒントどころか新しい何かを生む障害にさえなることが多々あるものです。
例えば現時点で消費者が充分満足している商材と同類の商材を新たに市場に投入したところで見向きもされません、これは新規性欠如による感動がないからに他なりません。
起業家は他者と同じことをしていては存在感を出せないばかりかサービスや商材が売れる可能性も極めて低くなります、如何に誰も言わないけど足りないと感じているものを見つけ出し、それを事業として立ち上げ早期に資金投下してイニシアティブを取れるかが成功への近道となります。
ただし「ふと考えた」小手先のアイデア程度の奇策は短期間しか通用しません、表示方法を変えたところで「顧客目線」に適っていなければ見向きもされません、事業とは変わりゆく時代の先にある「目線と感動」に素早く気付き瞬時に対応することで消費者の心を掴み安定した成長と収益が得られるのです。
「常識」とは現在消費者が見ている目の前のものでしかありません、したがって「常識を覆す」とは消費者の見えていない「欲求」に気付き「感動」する方法で提供できること、これが起業家が成功する方法なのです。
正月と言えば私の楽しみの一つが大学対抗の「箱根駅伝」です、2日間に渡る東京箱根間往復の過酷な駅伝は出身大学の応援もさることながら毎回のように人間ドラマに感動します。
この大会への出場は年々過酷になってきました、各校10名を揃えて前年のシード校以外は予選で出場権を勝ち取らなくてはいけません、たった一人のエース級の選手がいてもチームの平均タイムが悪ければ出場すらできないのが現実なのです。
そんな選手を救おうということで始まったのが「学連選抜」という仕組みです、一度廃止されたのですが何度か復活しています、出場すらできない大学の有望選手に出場の機会を与えるというこの制度は実にすばらしいと思います、ちなみに2008年の84回大会では総合4位に食い込むなど輝かしい成果も出しています。
駅伝とは選手全員が一丸となって練習に励み家族のような共同生活で信頼関係を築いて始めて良い成績を収めることができると言われています、しかし即席で作られた知らない者同士でも自身の栄誉をかけて団結することは可能であり、その結果すばらしい成績も収めることができるのです。
こんな「学連選抜」にこれからの日本における起業家の生き残り方を見い出せます、一匹狼でも同じ目的と目標を持つ仲間を集い仮想組織化を可能にするスキームとプラットフォームさえ完璧ならば大企業にも劣らぬ収益を上げ利益を共有する組織が作れるのです。
個々の集まりのバーチャルギルドが大企業を飲みこむ日はそう遠くないうちに実現されるかもしれません、そんな近未来を見据えて今から準備するのも成功者思考なのだと思います。
売れ残って在庫になってしまう商品を「もったいない」と思う気持ちと、本当は売れるはずなのに商品がないため売り損じてしまって「もったいない」と思う気持ちを比較してみましょう。
多くの人は「売れ残って在庫になってしまう商品」に気持ちが行きがちになります、何故なら「売れるはずなのに売れていない商品」というのは目に見えるからに他なりません。
本来なら月に1000個売れるはずの商品なのに500個売れたことに喜んでしまい、商品不足により未来に売ることができなかった500個のチャンスロスに気が付きません。
他方で100個仕入れて900個を売り100個在庫になってしまったとしたら、その売れ残った100個を目の当たりにして次は900個を仕入れその次は800個と仕入れ数を減らしてしまいがちです。
人は多分にチャンスロスよりも在庫ロスに気持ちが行きがちになる本能があります、それは目に見える失敗を自身が意識せざるを得なくなるからに他なりません。
それならば最初から売れ残ることを計算して利益をを最大化する方策を考える必要があります、これが成功する戦略経営手法なのであり最初から計算されたロスをサンクコストと呼びます。
また商品だけではありません、飲食店での食材不足やサービスでの人手不足にも同様のことが言えます、全ての業種において「チャンスロス」を意識した経営戦略が重要不可欠ということです。