同じことを互いに話しているはずなのに「何故これほど話が噛みあわないのだろうか」、と思うことがありませんか、この同じことを話しているのに噛み合わない原因ですが多くは「コンテクスト」の不一致によるものだと推測されます。
つい先日もこんなことがありました、私は独自の情報サイトの有用性を話しているのに相手はそれに対して自身が付けたい具体的なドメイン名を上げてきます。
そして私は「今話しているのはそういう細かなことではなくて根幹は理解していますか?」と少し強めの口調に変わってしまいました、同じサイトについて話をしているのに私は根幹の有用性について相手は細かな枝葉の部分についてでは話が食い違うのは当たり前になってしまいます。
この「コンテクスト」という概念は言語学においての「知覚」を定義する用語で「話をする場合に背景・状況・関係性などを共通化する必要がある」と説いているものです、例えばワインの話をしているとしましょう、片方が白ワインでもう片方が赤ワインの話であれば同じワインでも飲み方や合うつまみの話も違ってきますから当然のこと対象が異なることに気がつくまでは話がすれ違ってきてしまいます。
ビジネス会話ではこの「コンテクスト」という概念を頭に入れて言葉は同じだが相手と背景・状況・関係性などを共有しているか、つまり対象を限定共有化させて話をするということが重要になります。
更には文章では曖昧な表現は多くの誤解を与えることになります、テクニックとして曖昧さを表現する以外はできるだけ対象を限定共有化させるということが重要だということを念頭に置いていただければと思います。
起業家の多くは前向きな人だと思います、未来に希望を持って自身で事を成そうとしているのですから当たり前だと思います、ただその前向きさが力の入れどころを間違えて前のめりになっている人も時々見かけます。
起業家にありがちな勘違いは「このビジネスは必ず上手くいく!」と思い込んで行動してしまうことです、そしてその陰に潜むリスクや社会的な責任を見落とすようになってしまいます。
どんなビジネスにも斬新なアイデアや過去の栄誉は必要ありません、斬新な技術や新しい思想を埋め込んだビジネスは世に溢れていますが上手くいくかは別の話です。
ビジネスは顧客や支持する人達への誠意やビジネスセンス、加えて経営テクニックやパートナーを含めた信頼・信用が最も重要です、最終的には企業として当たり前なサービスを如何に安定的に継続させられるかがすべてです。
「上手くいく!」と思って始めたのに「こんなはずではなかった」と心が折れてしまうようでは経営者失格です、そんな予定外のことなどは「想定の範囲」と流せないようでは先が思いやられます。
起業当初はトラブルの連続は当たり前で経営者として成長していく為の試練です、その過程においてビジネスセンスや経営テクニックが磨かれていくのです。
「上手くいく!」と考えるとちょっとした躓きも感情に流されてしまいます、起業家にとって重要な姿勢は「上手くいく!」と思い込みによる前向きさではなく「絶対上手くやってやる!」という信念で上手くやる為のテクニックをしっかりと身につけることです。
経済シンクタンクがよく話題にする「企業において大きな出来事はリズミカルに訪れる」ということの根拠を探る目的で自身のビジネス年表を作成したことがあります、その結果驚いたことに私のビジネスサイクルは約12年単位であり「子年」に大きな変化が起き「寅年」に拡大成長していました。
会社設立が1984年の「子年」でフリーSEでの全盛期に即戦力5名と共に何人もの中途採用や新卒社員を雇い入れての船出でした、順調に滑り出したのですが1年後に分社し設立当初の即戦力メンバーは全員いなくなってしまいました。
そこからが面白いのです、経験の浅い社員十数名を徹底的に教育し見事1年で収益を回復させ急成長を遂げました、これが1986年の「寅年」です、大規模受注も決まり世はバブル経済の真っただ中で当社は設立来最高益をここから6年連続で達成するのです。
次の「子年」の時には大規模オフィスビルに引っ越し、そして「寅年」ではまさにこの世の春を謳歌し特許収益も加わり売り上げがピークに達しました、そして念願の自社ブランドで日本初の小型ネットワークカメラや高圧縮動画録画機などのプロダクツ事業を開始しました。
その後は待望の新事業でのビジネスモデル特許を取得し上場企業の傘下に入ったとはいえ特許事業で市場を独占し事業規模数百億円のビジネスを作り上げたのが2008年の「子年」でした、このように設立からの年表を作成してみると面白いように「子年」から次のステージが始まって「寅年」から数年間拡大成長していることが解ったのです。
どの人にも企業にも必ず一定のリズムが存在しています、まずは自身のリズムを探ってみるのも意味があると思います、そして先の「子年」の2020年には新事業で大手企業との契約や自社商品の展開など新たなる局面が開かれ「寅年」の年末に大規模増資を行いました、いったいこれからの数年間はどんな世界が広がっていくのでしょうか?
経営者へのコンサルティングで「もっと褒めて下さい、褒められて育つタイプなんです」と言う人がいます、確かに褒められることで自信がついたりやる気が出たりと多くの教育現場では褒めることも有効だと思います。
でも起業家教育に対しては如何なものでしょうか、褒め教育は子供や社員教育なら実に有効な手段だと思います、しかし起業家を育てるにあたり褒めるということは極めて危険であると明言します。
少なくても経営者であれば不休不眠は当たり前のようにありますし一人で何人分もの業務をこなして当たり前です、つまり経営者として当たり前な事をやって何故褒められたいのでしょうか。
ズバリこのような人は経営者としての自覚も覚悟も無いと言えます、更にこのような人を褒めてしまったら他者だけでなく自身にも甘えが生じて正常な経営感覚を失ってしまいます。
経営者は自分だけの生活ではなくパートナーや社員の生活に対しても責任を持たなくてはなりません、本来人を褒めるべき人が褒められて喜んでいるようでは先が思いやられます。
あなたは褒められることで喜んでは現実問題の厳しさを顧みない経営者についていけますか、褒められて育った経営者ではいざという時には何もできません、それは厳しさをクリアする方法を体験していないからです。
起業家に褒めるという行為は「褒め殺し」と一緒です、真の厳しさを肌で感じ取れるようにしてあげることが真の起業家教育だと思います、優しさと思いやりは異なります、起業家を育てるのに優しさは不要です、必要なのは真の思いやりと厳しい中にも相手を思う愛情です。
「ビジネスフェロモン」の存在は否定しようがない存在として過去様々な人と出会い感じ取っている感覚の一つです、ビジネスで相手の方から寄ってくる場合は当たり前のことですが多くは何らかのフェロモンに惹き寄せられていることは確かです。
その一つに「人脈開拓」があげられます、つまり自身のビジネスに有益な人を紹介してもらえるのではないかという期待です、もう一つは「お金」があげられます、事業投資としての資金提供や共同経営等での資金支援での期待です。
最後に「知識・ノウハウ」があげられます、士業の人やベテラン経営者等が持っている経営やビジネス施策に関して何かしらのヒントが得られる期待です、ただ自身がどのように近づいたとしても相手には全てが見極められていると思う方が無難です。
状況やニーズをオブラートに包み本音を言わずに建前だけの話ではどんな相手でも本気で考えてくれはしないでしょう、正直に自身の状況とニーズを話して理解してもらうことが肝要です、それよりもビジネスで成功したいと思うのであれば自分自身が人を惹きつけるビジネスフェロモンを出せる人になることを考えてみては如何でしょうか?
ビジネスフェロモンが自然に出ている人には多くの人が何もしなくても寄ってくるものです、異業種交流会に出かける必要もありません、嫌なSNSで自身を曝け出す事も不要です、強烈なビジネスフェロモンさえ出せるようになれば多くの人の支援を得てビジネスは勝手に回り出すものです。