「仁義礼智信」の五文字を誰しもどこかで一度は見たことがあるでしょう、「仁義礼智信」の五文字は「漢書」に記されているもので「人として守らねばならない最低の心得」を説いたものです。
漢書にまとめられる以前に孔子によって「仁」・「礼」が説かれ孟子によって「仁」・「義」・「礼」・「智」の4つが説かれていました、漢書にまとめられる際に何者かによって「信」が加えられ中国文化伝承の五文字(五行思想に基づく)として組み立てられ記されたものです。
日本では津藩主である藤堂高虎が息子の二代目津藩主高次へこの五文字を使って「武将たるものの心得」として亡くなる5年前に遺書として残したと津家日記に記されています、このことから額などに入れられ大量に売られたこともあって見たことのある人も多いのではないでしょうか。
門下生にも何度となく折に触れ話をしている言葉でもあります、人として最低限の心得を理解してない者がどうして夢を実現し成功者となれるでしょうか?
この「仁義礼智信」の各文字の意味は以下の通りです。
「仁」は、他者への思いやりや慈悲の心
「義」は、人としての正しい生き方
「礼」は、礼儀作法・秩序・倫理観
「智」は、知識をもって偽りを見極め正しきを判断する能力
「信」は、信用・信頼を重んずる心
中でも「仁」と「義」はビジネスにおいては最低限の基本中の基本です、どんな理由にせよ他者を陥れるなどは論外で他者の利益を優先して失敗することはありません。
成果を求める前に、大いなる志や夢を持つ前に、社会人として「人としての最低の心得」を体得していただきたいと思います。
このような人には結果や有益な人などが自然についてきます、結果的に成功者となれるのです。
夢・目標・人・お金・名誉、何事も追えば逃げます、人としての正道に従い謙虚に待てば欲しいものは自然に寄ってくるのです。
年に数回飲んでは語り合う後輩がいます、彼は独立起業して10年以上にもなります、そしていつも酔った勢いなのか大きな夢を語ります。
先日もいつものように大いに夢を語っていました、その間私はあるイメージが頭に浮かんできたのです。
それは一生懸命に田畑を耕す彼の姿です、次の瞬間のイメージは酷なことですが種を撒いて芽が出る前に田畑は荒れ放題でいつの間にか雑草に覆われています。
彼はいつも新しい事業を興します、出だしはしっかりと計画を行い企画書や提案書も実に立派です、そして実際に事業を開始するのですが時間もお金もかけるもさっぱり進展しないのです。
いつの間にか進展しない事業に嫌気をさしてそのまま放置してしまいます、そしてまた他者からもたらされる新規事に心を奪われてはワクワクしながら企画書を起こします、私が知りえる範囲では起業してずっとこの繰り返しです。
思うに事業や経営とは農作物を育てるのと全く同じです、重要なのは種を捲くことではなくて捲いた後のフォローアップとメンテナンスにあるのです。
種を捲いたら自然に芽が出て育つのは意図しない雑草だけです、芽が出ない種は土の中で腐ってしまうか鳥にほじられて食べられてしまうでしょう。
時間も労力も使っている割に成果が出ない人のほとんどが彼と同じ過ちを冒しています、種を捲くまでは必至で動き捲いたら自然に育つと思って放置しては別の田畑を耕やします。
事業とは収穫して始めて利益になるのです、忙しい割に利益にならないのは何か方法と手段が間違っているのです、そこに早期に気付いてほしいものです。
そして成功とは利益を継続して上げる延長線上にあるのです、まず利益事業を必至で作ることが重要なのです。
利益が出たら継続的に維持させることです、それから初めて新事業に手を出すことです、それなら余裕で行うことができるでしょう。
先の東日本大震災の2年後、日経新聞などに掲載されたあるニュースの反響なのか直後から同じような相談が相次いで舞い込んできました。
そのニュースとは「福島原発問題を自ら解決しようと東電社員が地元に太陽光発電所を作る」というものです、その費用は協賛会社を集い2億円の資本金を集めて建設するといいます。
そして舞い込んできた話というのが、全国各地の用地買収、太陽光パネルの格安調達、大容量の安定化リチウムイオンバッテリーリの調達などです、先のニュースの真似をして太陽光発電所を建設しようということは容易に解りました。
ただ先の元東電社員の件は原発事故後の地元のあり様を見て聞いて、そして住民からの罵声を浴びることによって大きな志を持ち「生涯を地元復興に捧げる」という気持ちで利益は度外視しています。
新聞に載っていた建設資金と売電の収支計画を見ると収支が合うのが15年後です、なんと計画通りでも15年間も赤字です、それも多くの賛同者や協力会社の支援を貰っての話です。
ちょっとした気持ちでやれる事業ではないのは事業計画を見ればすぐ解ります、儲かりそうだから手を出すというのは志ではありません、「新エネルギー関連は資金調達しやすい」という思惑を感じ取ってしまいます。
ビジネスは「儲かりそう」という発想だけでは上手くいきません、それよりも使命感に似た志からやるべきです、その結果において儲かるかもしれない代物なのです、それを熟知している人が成功者となれるのです。
期待に反して結果を出せない人には幾つかの大きな間違いがあります、その主な要因は「思い付き」や「思い込み」、そして「考えすぎ」の3つが代表格であると考えられます。
入念な準備もなく「思い立ったが吉日」とばかりに事業化してしまう人は珍しくありません、やりたい事を思い付くと居ても立ってもいられないのでしょう。
「絶対に上手くいく、仲間が賛同して集ってくれる」などの思い込み、確かに本人は楽しいでしょう、ただビジネスはサークルや部活ではないのです、他者との間に経済循環を起こすという厳しい世界なのです、楽しいだけの仲間作りとは雲泥の差があります。
そして考えすぎること、これも妙な心のブレーキになってしまいます、考えすぎると怖さが出てきます、そして臆病風に吹かれて何もしないで終わりなんてことも少なくありません。
ビジネスとは「事業を興し利益を出して目標を達成すること」、そこには何ら難しい事項など一切ありません、極めてシンプルそのものです。
ビジネスでたった一つだけやってはいけない事があります、それは自分一人で考え自分一人で行おうとすることです、自身ではそうは思っていなくても結果的にそうなっている人は特にこの10年の起業家ではほとんどです。
私は多方面の人に「ビジネスは何をするかじゃない、誰と組むかだ」と事有るごとに言っています、事業化には事業計画・資金調達・マーケティング、そして最も重要な有益な人材確保などの要素が必須です、これらの具体的な要素が完璧であれば誰がやってもある程度は上手くいくのです。
上手くいかないのはこのどれかが欠如、もしくは施策に大きな誤りがあるからです、ビジネスとは思っている以上に極めて単純なテクニックを駆使するだけなのです、これら全てを自分一人でできる経営者などこの世に皆無と言っても過言ではありません、だからこそ誰と組むかということが必要不可欠になるのです。
そして組む人が自身の足りないところを補完できれば上手くいき、役立たずなら上手くいかない、本当にこれだけのことです、それ以前に「有益な人と真の信頼関係を構築できるか」という試練を乗り越えなくてはいけません。
上手くいかない人はせっかく自身のビジネスに有益な人と出会えているにも関らず最初の試練を乗り越えることが出来ずに「元の木阿弥」と化してしまっています、ビジネスで利益を出して成功したいのなら組む相手の事だけを考えれば他の事など何一つ考える必要はありません。
そしてまた上手くいかない人の多くは、ほんの僅かな金額でも直接お金を落としてくれる人を優先し信頼関係を築かなくてはいけない人を蔑にしてしまっています、これではどんな人とも信頼関係を結べるはずもありません。
有益な人と正しく信頼関係を構築して組めれば、事業計画も資金調達もマーケティングもすべてがその人が直接&間接で齎してくれるのです。
クローン技術や遺伝子改良技術はほんの少し前まではSF映画の世界にしかなかったのですが近年ではDNA鑑定することでどんな病気になりやすいかなどまでわかるようになってきました、これは遺伝子情報がほぼ解明され分析においても精度が上がったためであり病気のリスクを胎児の段階から取り除き体質なども設計できる時代が来てしまうのかもしれません。
さて本題ですが、IT技術情報を常に更新しているとあらゆる業界の最新で極めてコアな情報が入ってきます、それは近年ではどの業界でもITが必須になっている証拠です。
ITの最新技術動向を常に更新していればDNA分析装置やナノ素材から環境や食品加工技術に至るまで幅広い最新技術が入手できるようになります、結果的にその世界を知らなくても世の中の動きが手に取るように解ります。
かくいう私は昔から「何でもよく知っている」と周囲から言われますが、それが生業なのですから当然のことだと考えています。
ただ近年は大きく時代が変わってきたという実感があります、特に健康や長寿というカテゴリにおいては今までの常識とは何だったのだろうかと思うことがしばしばあります。
近年は常識が180度ひっくり返ります、いったい何が正しいのでしょうか、最新情報が常に入る環境は果たして幸せなのか不幸なのか、でも私はそれを日々楽しんでいるのです。
ただその事業においては素人同然の私でさえ疑問に思うような計画書を見せられることが多々あります、事業を興して企業を成長させたいのか、直面する経済的な要素だけをクリアしたいのか、私にはどちらなのかはすぐに解ってしまうのです、そしてズバリその目的を明らかにしてしまいます。
当然のこと二度と私のところへ来ることはありません、同業他社はこんな私を「商売が下手」だと言います、下手で結構なのです、それよりも核心を隠してビジネスするような人は何れは大きな負の資産を抱えることになります、つまり核心を隠して人を騙す人に成功することなどは有り得ないのです。
本当に支援を得たいのであれば最新業界動向や経営手法などをもっと勉強してほしいです、少なくても素人同然の人に事業計画の嘘を見破られるようでは事業そのものに愛着が無いと言われても反論すらできないと思います。