1970年代に誕生したアメリカンドリームを裏で支えた投資家をエンジェルと呼びました、当時のアメリカは現在のパソコンの中核チップであるマイコン(マイクロコンピューター)が誕生し、その将来性に夢を膨らませる若者が自然発祥的に多数生まれました。
彼らは天才的な頭脳を持ちますがそのアイデアを具体化させる資金が有りません、それを嗅ぎつけた個人投資家らが彼らのスポンサーとなり大金を投資しました、それがアップルやマイクロソフトに象徴されるような巨大IT企業に成長したのです。
今ではその矛先がAI・IoT・ブロックチェーン等に向けられてはいるものの当時と同様の現象が起きています、エンジェルとは解りやすく言えば「足長おじさん」的な存在で成長するまで暖かく支援し余計な口出しもせず見守るだけの存在です。
さて日本でもこのような例で成功したのがソフトバンクなどのIT企業です、大手情報家電企業がエンジェルとなり育て上げたのです。
しかしアメリカに比べてエンジェルの存在は希薄で投資額はトータルでは1%にも満たず、多くは上場ゲインを狙ったキャピタリストでありエンジェルとは呼べません。
若い頃から海外で仕事を通して解ることは世界中のどの国でも天才的なIT人材は多数存在しているということです、でも彼らが天才として成功しないのは資金が無いだけなのです、資金さえあればもっと早くSFの世界が現世に存在できていたでしょう。
物言わぬスポンサー、足長おじさんであるエンジェル、この必要性は26歳でフリーSEとしてスピンアウトし28歳でIT起業した私には嫌というほど解ります。
たまたま私は運良く複数の法人キャピタルから億単位の資金を得て特許取得から専用チップを開発し数百億規模の事業を創出することができました、でもこのキャピタルからの支援は死に物狂いで行動した結果であり言葉で説明するほど簡単なことではなかったです。
日本で否、IT成長著しいアジア諸国でエンジェルのニーズは年々大きくなってきています、ベンチャー企業が成功しないのは技術力不足でも経営者の能力不足でもなんでもありません、資金が無いだけだと言っても過言ではありません。
ベンチャー企業を興し成功したいのであれば確実に資金問題を解消しなくてはいけません、そしてどんな事業を興すにも「資金不足は致命傷である」と認識することが経営者の一番優先すべき心得ということです。
商品を作り市場に投入する方法としては大きく2つの手法が存在しています、一つは「プロダクツアウト」と呼ばれる方法でメーカーは何らかの方法で製品を作り出しますが、この時の思考として世に受け売れる物かどうかは一切考えていません、つまり企画や技術力を誇る為の商品であって販売戦略に近い思考なのです。
これが意外に市場に受け、その商品をきっかけとして一つの商品文化を築き上げてしまうということも珍しいことではありません、プリクラやオンラインゲームはその代表格といえます。
対して「マーケットイン」と呼ばれる方法は市場のニーズやウォンツを徹底的に調査してタイミングを見て市場に商品を投入します、この時の思考としては確実に世に受け大ヒット商品となる事を狙ってのことであり、技術力に頼らず売れることを前提としている思考です。
ところが、ここまで徹底しても全く売れずに大量の在庫を抱えてしまうなんてことも珍しくありません、忘れ去られるアイデア商品などはまさにその代表格といえます。
資金や人材に恵まれた企業でさえも、どんな手法を執ろうが当初の思惑が外れるのがビジネスの妙味でもあります。
これは商品に限ったことではなく見えないサービスに関しても同じことであり商品開発以上に売るという行為は簡単なことではありません、それが個人事業主的な企業が「安売りは絶対しない」などとプライドを持って豪語したところでどんな意味があるのでしょうか?
少なくても買うか買わないかは顧客側の勝手であって売る側の価値観などは正直どうでもよいことなのです、そう豪語する人に限って裏では価格を下げてまで買ってもらえるようにお願いしている事実があります、これほど虚しい事実はありません。
ズバリ言えばお願い事は営業でもクロージングでもありません、それは単に「売れなくて困っているから買って下さい」という媚びた行為に過ぎないのです。
ビジネス成功者は自身の為のプライドなどは一切持ちません、その価値観も価格も全てが買う側が決める事を理解しているからです。
半額だろうが損失が出ようが、顧客の納得する価格で使って喜んでもらうのが真の顧客第一主義と言うものです。
契約や販売において「最後の詰め」を「クロージング」と呼んでいます、ビジネスに限らずプライベートでも何かの事を成す時に最も重要なのがこの「クロージング」です。
例えば商談では長い期間と多くのミーティングを重ね何でも話ができるまでに信頼関係を築いて99%まで上手く運んでいたとしても、最後の最後の詰めである経営トップによる契約締結に至るには1%の要素で全てが決まってしまいます。
私は多くの事例を見てきていますが、この最後の1%の行動で全てが泡となる人とそれまでは難局を繰り返していても最後に一発で決められる人がいます、この違いは何でしょう。
その良い例としてあげるなら、「野球は9回裏の2アウトから」、「マラソンは最後のトラック勝負」などという言葉です。
最後に決められない人は99%の時点で既に「契約決定」と思い込んでしまって浮足立ってしまっているのではないかと思います、対して最後に一発で決める人はそれまでの経過は準備運動くらいにしか思ってなく勝負所を解っているのです、そして最後の1%に全力を出し切るのです。
本当に不思議なことですが、世の中には契約直前まではノーミスで綺麗にまとめあげていくのですがその後のクロージングで決めることができない人がいるのです。
プロとはあくまでも結果なのです、過程がどれほど完璧であろうがトラブル続きであろうが関係ないのです、決めるときに決めて結果を残すことが最もプロとして重要なことなのです。
クロージングができない人の多くは「形に拘る人」が多いのも不思議です、そして世間で言う真面目な人が多いのです、真面目がダメと言うことではありません、真面目に過程を作っても最後にクロージングできなければプロとしては評価に値しないということです。
逆に見かけは実にいい加減に見える人が周囲の心配を他所にいとも簡単に冗談交じりにもクロージングしてしまうことがあります、おそらくその人なりの勘や表面では解らない何か底しれないバックボーンが有るのだろうと思います、結果を示されればそれが何であろうが根拠でであり素直に評価すべきなのです。