2024年5月27日 07:00
節分においての「豆まき」に、豆をぶつけられる「鬼」は何時ごろ誕生したのでしょうか、桃太郎や一寸法師などのおとぎ話にも登場し挿絵を見ると皆同じ姿をしています。
鬼は、インドに伝わる釈迦の修行を邪魔したとされている「マラ」の存在が起源ではないかと言われています。
「マラ」は、その後仏教と同時に中国に伝わり「魔羅」と書き表され、そのままの音で意味も同様に伝わりました。
仏教が中国に伝わった後に、中国の「西遊記」に登場し孫悟空と最初に戦う魔王が「牛魔王」でした。
それは、牛の角を持ち虎の腰巻というほぼ今の鬼の原型のような姿で登場します。
これらの経緯をたどりながら現在の「鬼」の容姿等が日本に伝わってきたものと推測されます、尚これを裏付けるように室町時代の書物や絵画には現在の鬼の姿が描かれています。
鬼という字は「魂」から来ており、元々は「亡霊」や「霊魂」などを意味する漢字です。
このことからも当初は「人間の邪気」を指しており、それが仏教画などを通してして今の姿に徐々に固定されて来たものと想像することができます。
また牛の角と虎皮のパンツですが、五行思想の方角でいう「鬼門」に当たる北東に「丑」と「虎」が当たるからだという説があります。
更に、「桃太郎」ではその鬼を退治するのが裏鬼門に当たる申(サル)、酉(キジ)、戌(イヌ)がお供に付きます。
本来の裏鬼門の位置は未(ヒツジ)・申(サル)・酉(トリ)ですが、ヒツジは弱そうなのでイヌを加えたかったのだと推測の域を出ませんが考えられなくもありません。
いずれにしても古代から、最も怖いのは「人間の邪気」ということではないでしょうか?
鬼の正体とは、実のところは釈迦の修行をも邪魔したとされる人間の持つ弱さや迷いなどの邪念の「心」だったのではないかと思います。