
あれ?
敷居がない!!
押入れの襖の敷居(柱のところ)が撤去されています。
敷居を残して張っていく予定でしたが・・・。
材料屋さんに聞いてみると、
「敷居の溝が気になって取っちゃった!」
と。
床の仕上がりの美しさを気にしての発言です。
ただ、先行して張った床板に合わせて敷居を設置するのは工程が逆です。
とは言え、作業はこの時で完了ですが、建物はずっと残るので後々の仕上がりを気にされ、きれいに仕上がる方を選択された訳です。
自分の仕事が残ることを考えると下手な細工はしない根っからの職人気質!!
大工さんも器用なので、何も言わず黙々と作業を進めます。
とてもありがたい変更です。

母屋側にある押入れの解体が完了です。
湿気で床にカビがあったことや断熱材を入れるため床材は全て撤去しました。
こんな感じの土台だったのか!?
建物の重心の延長線上となる部分に火打ち土台(斜めの材料)が設置されています。
火打ち土台は地震や台風などによる水平力(建物を横に押す力)がかかった時、変形を防ぎ建物がゆがむのを抑制する役割があります。
通常は建物の角に設置しますが、この建物はこのような所も補強してあります。
この建物を設計した時代は、今のように構造計算ソフトで簡単に構造計算しているわけではなく、先人の経験と知恵から設置したものが所々残っているのでとても面白く、また、勉強になります。
なお、土台は防腐塗装をしてあるので、カビは浸食しておりませんでした。

「これは必要か?」
と、代表に問いかけられます。
計画当初は残す予定で残置していた雰囲気のあるデザインガラス障子。
光を取り入れるだけでなく外の景色を楽しみつつ、寒さ対策も考慮した機能的な建具で、純和室の設えではアクセントになっていい感じです。
ただ、改修工事が進むにつれ違和感が出てきて、冒頭の代表の言葉です。
外す指示の問いかけなので、
「必要はないので撤去しても問題ありません」
と・・・。
撤去することを材料屋さんに伝えると、
「ここも外しちゃうの?」
と、材料屋さん。
「こうなったらもういらねぇな、あはは。」
と、棟梁。
襖、障子はすでに全て撤去で残っていません。
全てオープンという代表の思想のもと、ものが徐々に無くなっていきます・・・。

実は、棟梁からの事後報告だったのですが隣地側のブルーのネットを張ってある足場を1段高くしていただきました。
理由は、塗装屋さんからのお願いで塗料が飛ぶかもしれないのでもう一段高くして欲しいと。
「費用はいくらですか?」
と棟梁に聞いたところ、
「俺が頼んでいるんだからこれくらいで掛かるわけねぇだろ!」
と・・・。
なんとも心強い!
棟梁からの依頼であることや職人気質の方々は一度決めた内容に大きな変更がない限り金額の変更はしません。
多少の作業は頼めばついでにやってくれます。
近年、大手ゼネコンは数値管理をしっかりしなければならないので細かいことを言ってくるのですが、こういった地元業者同士での仕事は今でも昔ながら習慣が残っています。
こんなやりとりをしながら昔を思い出し、愉しく工事を進めています。

↑ ネット内側から
塗装屋さんも塗料の飛散を気にせず安心して作業ができます。

改修建物の足場を手際よく作業していきます。
足場が組み終わり、これで屋根や壁の塗装、雨樋の補修ができます。

実際に足場に上って建物の状態を確認します。