改修工事の検討をしていく中で、部屋と収納、部屋と廊下等の床の境界部分の処理を考える必要があります。
最初から一体的な空間の予定で一気に解体したのであれば敷居ごと撤去して同じフローリング材で床は壁から壁まで張れるのですが、今回は部屋の床を先に張って、後から収納の床も張って一体的にするなど追加工事対応の多い現場となっています。
この中で別館の既存のリビングの床は残すのですが、収納の床はベニヤ板張りなので収納の中だけフローリング材を張ります。

↑ 別館1階リビング収納
敷居を撤去してリビング側の床に続けてフローリング材を張ってしまうとしっかり止められないので床材が浮き上がってきたりします。
写真の収納の床はベニヤ板を撤去して新たにフローリング材を部屋と同じ高さに張るので、境目にある敷居を残すか撤去して新しく見切材を入れるか・・・。
部屋ごとに材料の形状が違うので、棟梁と材木屋さんとどのような収まり(仕上げ)にするか相談して進めていきます。
床と壁の境界は巾木という見切り材を壁に付けます。
こうすることによって床や壁の隙間が隠せたり壁紙が張りやすくなったりします。
また、掃除機などがぶつかっても壁が傷つくことも防止できます。

ただ、猫のひっかき傷までは防止できません。

別館で飼われていた猫は所々に爪痕を残しています。

その一つ、キッチンカウンターの下の巾木です。
塗装補修するか張りなおすか・・・。
ここまでの傷があったのでは張り替える方がよいのですが当時と同じ材料はありません。
材木屋さんからは同じ高さの白木を張り、塗装対応でいかがでしょうかと提案をいただきます。
代表に確認すると
OK!
途中からデザインが変わりますが、きれいに仕上がるのではないかと思われます。
母屋の外壁沿いの壁を張るのに際し、断熱材が入っていなかった部分はグラスウールを充填して断熱性能をアップ。

↑ 母屋旧サニタリー
この建物は造りがよいので隙間風などはありませんが、当時はそれなりに寒かったのではないかと推測します。

↑ 母屋旧キッチン出窓下
部屋の雰囲気ががらりとかわり、開放的で明るくなってきます。

別館のリビングには階段下に折り戸の収納が2つあります。
代表の扉NGから、折り戸の撤去は予定通り。
さらに枕棚は不要、さらにさらに収納同士の界壁も不要とのことで、材木屋さんに撤去の相談をします。
とりあえず、撤去できるとのことですが、ドア枠は残置でお願いしたいとのこと。
また、気持ちいい空間になりそうです。

ん!?
この設え、違和感がありませんか?
別館2Fの洋室の一つにどのような思想でどのような使い方をしていたのかとても不思議な部分があります。
以前の投稿した障子にブラインドがかかっていた部屋なのですが、洋風の収納庫らしき折り戸を開けると、
上から、枕棚(まくらだな)、障子付き腰窓(こしまど)、地袋(じぶくろ)が出現。
枕棚はいいとして、
・洋風のデザインの収納庫の中に壁も含めた和風のデザインが隠されている。
・和風の見せるデザイン(腰窓・地袋)を折り戸で隠している。
・収納庫の中は和洋折衷で見せるデザインとなっていない。
(枕棚:洋風、障子付き腰窓:和風、地袋:和風)
・収納庫なのに窓がある、しかも強い西日が差し込む。
・明り取りを想定した窓ならば、折り戸を締めたら明かりが取れない。
・強い西日が取り込めるので、収納したものが焼けてしまう。
障子で緩和させようとした???
・収納庫の中に収納庫の地袋がある。
・収納庫としたいのか、見せるデザインとしたいのか、洋風にしたいのか、和風にしたいのか。
と、不思議なことを妄想させていただきました。
折り戸は後付けでもなさそうなので、増築工事時にこのような思想で造ったようです。
誰の発案か気になるところですが、思想は闇に包まれたまま代表の改修工事提案が出てきます。
・折り戸・枕棚・障子・地袋襖撤去!!
・デザインは木目調に!
違和感のない空間に変貌します。