2022年11月 7日 09:00
「トリレンマ」とは、「3つのうち2つしか選択できない状況下での葛藤」を意味しています、ちなみにジレンマ(ディレンマ)は「2つのうち1つしか選択できない状況下での葛藤」という意味ですが意味はよく解らなくても多用される言葉なので皆さんもなんとなく使っているでしょう。
この「トリレンマ」が多用されるカテゴリは国際金融課題が最も有名です、「独立した金融政策」・「為替相場の安定」・「国際資本移動の自由化」の3つは同時に実現させることは不可能です、したがって各国の金融担当はどれを犠牲にするかと頭を悩ませるわけです。
また、イギリスのEU離脱などの国際政治にも「トリレンマ」が見て取れます、それは「グローバル化」・「国家主義」・「民主主義」という3つの事項の同時実現は不可能だからです、したがって何かを諦めるしかないのです。
さて、この「トリレンマ」は考えるに意外と身近な事でも見ることができます、これがこの記事の本題でもあります。
サラリーマン時代には起きえなかった「トリレンマ」が経営者になった途端に例外なく陥ります、それは「自分のやりたいこと」・「事業の確立と収益化」・「自分や家族とのプライベート時間」の3つです。
この中で「事業の確立と収益化」とはビジネスの成功そのものであり自社だけでは成し得ません、取引先やパートナー企業との友好なる信頼関係の下に有益な事業を確立する必要があるからです。
つまり、「事業の確立と収益化」を成し得たい人は「自分のやりたいこと」か「自分や家族とのプライベート時間」のどちらかを犠牲にしないと達成できないのです。
しかし、経営者「トリレンマ」は事業が回り安定収入を得られるまでの限定的な状況であり、「事業の確立と収益化」以外の一つ、場合によっては2つを犠牲にして先ずは「事業の確立と収益化」を成し得ることで、達成後は「トリレンマ」が一瞬で解消されます。
これは実に簡単な方程式です、3つのうち1つが解消したなら「トリレンマ」から「ジレンマ」に変わるだけだからです、更に2つのうち何かを限定的に諦めれば2つのうち1つがまた解消します、結果的に当初の3つの事項は全て解消されて自分の思い通りの幸福な状況を作り出せるのです。
ここを経営者の皆さんは、どこかで勘違いか思い込みをしてしまい未来に絶望すら覚えてしまうのではないでしょうか?
そして、「自分のやりたいこと」と「自分や家族とのプライベート時間」を諦めきれずに頑なにどちらかを期間限定としても一切犠牲にしません、結果「事業の確立と収益化」が犠牲になり成功しないのです、これも実に簡単な上手くいかない経営者の方程式です。
「トリレンマ」に「ジレンマ」、段階的に1つずつ達成させることで解消させることが肝要なのです、そしてその間は何かを犠牲にしても達成させるという強い覚悟と執念、そして達成するまでのストイックなまでの継続した強い姿勢が重要です。
何もかもを1度に得ようとするから「トリレンマ」や「ジレンマ」に陥るのです、段階的にプロセスを踏んで事を進める戦略を理解し実行すれば経営者「トリレンマ」も「ジレンマ」も起き得ないのです。
これが私が「自分のやりたいこと」や「自分や家族とのプライベート時間」を諦めきれない経営者に必ずアドバイスする「待て!」の極意でもあります、経営者が最優先されるべき事項は「事業の確立と収益化」以外にはありません。
その意味で、私はイギリスのEU離脱に一旦「グローバル化」を諦め「国家主義を取り戻す」という強烈なメッセージを読み取ったのです、近未来のイギリスの外交戦略を大いに注目したいと思います。