
中小企業のための補助金・助成金(8)
完了検査から入金まで
補助金に採択され交付申請が通り交付が決定したらいよいよ事業の開始です。しかし補助金はここからが本番です、事業をやりきる必要があります。補助事業の完了は、実績報告書と各証憑などを提出し完了検査を通過する必要があります。
完了検査は補助金によって一部変わりますがほぼ同じです。補助金をもらうためには支払った各証憑が必要となります。ここでその補助金の手引きをよく読み込んでおく必要があります。例えばよく問題となるのはWeb注文で購入する場合です。一般的な取引でだと「見積書」「注文書」「納品書」「請求書」が発生します。これでも足りないのですが、Web注文ですと見積書や注文書が無い場合もありますので、それらのエビデンスとなるものを残しておく必要があります。Web注文の場合は主に画面のスクリーンショットを保存するかメールで通知されるものを控えますが、画面のスクリーンショットを取り忘れると大変です。不安な場合は各画面のスクリーンショットを保存しておくとよいでしょう。
また一般的な取引をしたとしても「注文請書」を発行しない場合が多いです。また「支払いの証憑」も銀行振り込みでなくカード決済だった場合は「領収書」などを取得する必要があります。これらも手引きを読み、抜けが無い様にしなければなりません。一つでも証憑が抜けるとその項目に対して補助金対象外になってしまいます。証憑のエビデンスは非常に重要なので注意を払っておきましょう。
完了検査は電子申請の場合だと現地検査が省略される場合がありますが、場合によっては現地検査が実施されます。現地検査は現場に検査官がやってきて、開発物や納品物、そして証憑を一枚一枚確認していきます。ここではすぐ証憑を出せるようにファイリングしておく必要があります。現地検査は以前は必須だったのですが採択数が多い補助金などは最近は省略される傾向がありますので、少し楽になっています。ただ不正が疑われている場合は最悪会計検査院が入りますのでそうならないように補助金関連の取り扱いは厳重注意が必要です。
完了検査が終われば通常は1か月程度で入金されます。採択数が多い補助金によってはもう少し時間がかかることがありますが、最近は3週間くらいで入金されるようになっています。入金が確認できれば補助金は完了となります。ただし、5年間は報告義務があるので作業はまだ続きます。

事業計画書(1)
事業計画書には何を書くか
本記事は中小企業向けに「基本形の事業計画書」の概要を説明するものです。 これまで私自身が代表に教えていただいたことをまとめています。 事業計画書には出資を募る目論見書、共同事業の提案書、補助金申請に付す計画書など複数のタイプがありますが、ここでは初めて作成する方に向けて共通する考え方と構成の骨子を示します。
事業計画書は小規模な企業ほど社長や現場責任者が自ら作成する場面が多く、起業家にとっては避けて通れない資料です。 経験がないと「何を書けばよいのか」に迷いがちですが、事業計画書は本質的に①自社の製品・サービスの内容②想定する市場とユーザー③事業の展開方法を相手に伝わる形でまとめます。 目論見書であれば資金計画や資本政策、成長性の論証が重要になり、共同事業の提案であれば相手企業にとっての具体的なメリット提示が要点となります。
事業計画書の目的は相手によって変わります。 たとえば資金調達を目的とする場合は十分な市場性と成長余地があり、スケジュールと資金計画が実行可能であると相手に判断してもらうことが必要です。 読み手は数多くの計画書に目を通してきたプロであり、あなたや会社、製品・サービスのことを知りません。 その相手に「この事業には可能性がある」と感じてもらうための橋渡しをするのが事業計画書の役割です。
作成は外部委託も可能ですがベースは必ず自分で作るべきだと考えます。 計画書は判断材料の一つに過ぎず、最終的に評価されるのはあなた自身です。 自らの言葉で計画を把握し熱意と一貫したストーリーで説明できなければ、どれほど体裁のよい資料でも説得力は生まれません。 特にストーリーが大切です、このことについては代表から何度も教えていただいています。 計画の起点には企業理念があり「なぜこの事業を志すのか」そして「相手はどんな価値を得るのか」を流れとともに明確にして相手が容易にイメージできるようにすることが事業計画書づくりの核心です。
次回以降は実際に事業計画書に盛り込むべき項目を順に解説していきます。

中小企業のための補助金・助成金(7)
電子申請
最近実施される補助金は電子申請が多いです。電子申請だと事務局側も大量の書類を管理しなくて済みますし申請側も大変楽になります。締め切りの消印を気にしなくてよくなりました。中小企業庁の補助金はGビズIDが共通ログインとして使用されています。GビズIDは申請に少し時間がかかるので補助金申請を考えている方は早めに取得されたほうが良いでしょう。
電子申請では記録が残りいつでも閲覧できるので便利です。申請した日時も記録されますし、その旨もメールで通知されますから正確に申請できたことがわかります。また申請後においても差し戻し処理が全て記録されますので対応し忘れなどが無くなります。各資料も電子データで添付する形になりますので印刷してファイリングする手間が省けるのが非常に助かります。
ただし、すべてが電子上のデータで出来るわけではありません。証憑などは通常通り紙面で行っているものもあります。それらはPDFにして添付する必要があります。すべての証憑を電子化しなければならないので、特に契約書が発生しているときは少し不便さがあるかもしれません。また申請サイトにログインする場合は多要素認証として携帯電話へのSMS送信や、GビズIDであれば専用アプリケーションによる認証が発生します。小さな企業でしたら申請者が管理することもできますが、そこそこ大きな企業だとその認証を誰が行うかの問題も生じます。
電子申請は大変便利ではありますが新たに労力がかかることもあります。とはいえ申請や事業完了後の処理などは格段に便利になっていますので、これからも便利な方法へ発展していっていただければと思います。

中小企業のための補助金・助成金(6)
誰が審査しているのか
補助金のなかで特に中小企業庁がおこなっているものづくり補助金など多くの企業が採択されるものがあります。最近では第〇次という形で年に何度も申請機会があります。こういった補助金では審査の数も膨大になります。いったいどこで誰が審査しているのでしょうか。申請をするにあたり誰が見るのかは重要な情報になってきます。
こういった補助金はまず取り扱う事務局が選ばれます。そのあとで補助金が公募されるのですが、実際に審査をするのはその事務局ではなく外部の委託された審査官たちです。その審査官とは主に中小企業診断士や税理士などです。その方たちが大量の申請を審査していくことになります。
審査する数は膨大なので当然審査時間も短くなってきます。申請する側は自分たちの理念や想いを載せて隅々まで詰め込んで申請書を書くわけですが、それらが全て審査員に読み取られるわけではありません。審査する方は自身で事業を生み出して経営されていた方もいるとは思いますが、そのような方は少ないとみておいた方が良いです。審査には公開されている審査項目がありますので、その内容に合致するかどうかを機械的に見ていくことが多くなってくるようです。
よって申請書には審査項目に合致することをわかりやすくアピールすることが重要になってきており、審査しやすい申請書が通りやすくなっているようです。補助金によっては不採択だった場合にその理由を聞くことが出来ます。それらの理由をみて再度改善して申請に臨むことが出来ますので、わかりやすく審査官にアピールできると採択への道は近づいてきます。

中小企業のための補助金・助成金(5)
発注先を決めるには
近年補助金は設備投資を促すものが多くなっています。 設備といってもITなどのシステムへの投資も含まれます。 機械装置などは既存の設備を購入する(カタログが必要)ことが求められますが、システムなら自由に作ったものを補助事業対象費に回すことが出来ます。
その機械装置やシステム構築費なども含めて発注する際には相見積もりを取ることが要求されます。 普段発注している企業さんに頼んだ方がお互いわかっているので早くて楽なのですが補助金は税金なのでそう簡単には行きません。 正当に発注先を選定する必要があります。
しかし、どうしてもこの企業に発注をしなければならないという状況は発生します。 そのような場合は業者選定理由書というものを作ります。 見積が1社以上に取れない状況であったりその企業でしかできないものであれば、その理由と発注する妥当性を示す資料を作ります。 この業者選定理由書を通せば相見積もりで選定しなくても1社に発注することが出来ます。
最後に、補助金で購入した設備は補助金に関する事業でしか使用できないことになっていますのでご注意ください。