
中小企業のための補助金・助成金(5)
発注先を決めるには
近年補助金は設備投資を促すものが多くなっています。 設備といってもITなどのシステムへの投資も含まれます。 機械装置などは既存の設備を購入する(カタログが必要)ことが求められますが、システムなら自由に作ったものを補助事業対象費に回すことが出来ます。
その機械装置やシステム構築費なども含めて発注する際には相見積もりを取ることが要求されます。 普段発注している企業さんに頼んだ方がお互いわかっているので早くて楽なのですが補助金は税金なのでそう簡単には行きません。 正当に発注先を選定する必要があります。
しかし、どうしてもこの企業に発注をしなければならないという状況は発生します。 そのような場合は業者選定理由書というものを作ります。 見積が1社以上に取れない状況であったりその企業でしかできないものであれば、その理由と発注する妥当性を示す資料を作ります。 この業者選定理由書を通せば相見積もりで選定しなくても1社に発注することが出来ます。
最後に、補助金で購入した設備は補助金に関する事業でしか使用できないことになっていますのでご注意ください。

中小企業のための補助金・助成金(4)
採択されればOKという訳ではない
補助金は申請にかなり労力を使います。 そして厳しい倍率を勝ち抜き見事採択されたとしてもそこで安心できるわけではありません。 補助金の種類にもよりますが例えば中小企業庁の補助金である「ものづくり補助金」では、採択された後に予算の修正など交付申請というものがあります。 これに3か月くらいかかってしまう企業もあるそうです。 予算の根拠や人件費の算出根拠など色々と提出するものがあります。
また事業を開始してからも各種のチェックがあります、事業期間が長いと中間検査というものが入ります。 中間で事業の進捗報告や支払いに対するエビデンスの確認、人件費に関する業務日報の確認などが入ってきます。 随時補助金の担当者と連絡を取り、確認を取って進めていると非常に楽に検査を完了することが出来ます。
補助金や助成金には決まった処理の仕方が存在します。 少しでもそこからズレた処理になると補助事業の対象外になり、その分の補助金が下りないことがあります。 初めて補助金を採択された企業によく見られます。
最後に完了検査があります。 事業経緯を報告する成果報告書やこれまでの支払いに対するエビデンスなど、すべての資料に対してチェックが入ります。 ここで資料をすべてそろえなければ、補助金が減らされる可能性があります。 補助金や助成金は税金で運営されているものが多いので、少しのミスも許されません。 特に支払いに対するエビデンスには処理の仕方を手引き通りに行わなければなりません。 もちろん数字が少しでも違うと差し戻しになります。
完了検査を無事通過し担当事務局内でのさらなる審査を通過すればようやく補助金が下りることになります。 採択された後も数々の書類整備をしていくことで補助金をもらうことができるのです。

中小企業のための補助金・助成金(3)
補助金には"流れ"がある
補助金や助成金には"流れ"が存在しているものあります。 例えば東京都中小企業振興公社さんの助成金を例にすると創業から製品開発・導入・知財までたくさんの助成金があります。 これらから一つ選んで申請するのもよいのですが、開発の経過毎に申請していく方が採択率が上がっていきます。 例えばこのような順番です。
①製品開発着手支援助成事業
②外国特許出願費用助成事業
③新製品・新技術開発助成事業
④市場開拓助成事業
アイディアの初期から製品を市場に投入するまでを助成金を活用して行うことができます。 特に②③の連携はおすすめです。 一番取得したい助成金はやはり③の開発助成です。 これに採択されるためにも事前段階から助成金を絡めていくというのが一つの手です。 ただデメリットもあり、残念ながらスピードを要する開発には適しません。
このように開発の流れに沿って助成金の流れも存在しています。 補助金や助成金を活用するには初期の段階から検討しておくことをお勧めいたします。

事業計画書(10)
資本政策
本記事は中小企業向けに「基本形の事業計画書」の概要を説明するものです。 これまで私自身が代表に教えていただいたことをまとめています。 事業計画書には出資を募る目論見書、共同事業の提案書、補助金申請に付す計画書など複数のタイプがありますが、ここでは初めて作成する方に向けて共通する考え方と構成の骨子を示します。
事業計画書にはいくつかの使い道がありますが出資を募るための目論見書として使う場合は資本政策は重要な項目になります。 目論見書における資本政策は細かな株式設計や複雑な計算を示すことが目的ではありません。「この事業にお金を出すと、どのような関係になるのか」を相手に誤解なく理解してもらうための説明です。
出資者が知りたいのは事業の主導権がどこにあり意思決定がどのように行われるのかという点です。 加えて出資によって自分がどの程度の影響を持つのか、どこまで関与できる(あるいは関与しない)のかも重要になります。 誰が経営の責任を持ち続けるのか出資者は経営にどこまで関与する想定なのか。その前提を明確に示すことが目論見書の資本政策の役割です。
そのため目論見書では、現在の株主構成と出資後にどういう状態を想定しているかというイメージを示せば十分です。 最初から完成された資本政策を提示する必要はありません。 むしろ現時点での考えを正直に示してどのような前提で事業を進めようとしているのかを共有することが信頼につながります。 資本政策は条件交渉のための武器ではなく相互理解のための説明資料です。

事業計画書(9)
事業内容 財務諸表
本記事は中小企業向けに「基本形の事業計画書」の概要を説明するものです。 これまで私自身が代表に教えていただいたことをまとめています。 事業計画書には出資を募る目論見書、共同事業の提案書、補助金申請に付す計画書など複数のタイプがありますが、ここでは初めて作成する方に向けて共通する考え方と構成の骨子を示します。
事業計画書で最後に避けて通れないのが数字の説明です。 数字は単に「売上はいくら、利益はいくら」と結論だけを書くことではありません。 販売計画で立てた前提を基準にし「なぜその売上になるのか」を根拠をもって示し、その結果として会社の利益と資金繰りがどう推移するのかを説明します。 この数字は計画全体が現実に回るかどうかを判断するための材料です。
複数年度の事業計画では財務三表がそれぞれ違う役割を持ちます。 損益計算書(PL)は事業がどうやって儲けを生むかを表します。 販売計画で見立てた顧客数、単価、成約率、継続率などの前提を売上に落とし込み、そこから原価や人件費、販管費を積み上げ、利益がどのように生まれるのかを示します。 単年度だけでは成長の道筋が見えにくいため基本形としては三年から五年程度の複数年度で作成し、どの時点で単年度黒字化するのか、どの費用が増えるのかを説明できる形にします。 近年は外部資金を使う計画では三年程度で単年度黒字化の見通しを求められる場面も多く黒字化の時期を曖昧にしないことが重要です。
貸借対照表(BS)はある時点で会社が何を持ち、何を背負い、資本がどれだけあるかを示します。 本来は非常に重要な表ですが、実務では計画の骨子を示す段階ではBSを簡略化し、後述するキャッシュフロー計画と整合が取れる範囲で扱うことも少なくありません。
そして複数年度計画で最も重視されるのがキャッシュフロー(CF)です。 利益が出ていても現金が尽きれば事業は止まります。 逆に赤字でも手元資金が確保できていれば次の打ち手を打てます。 CFでは売上がいつ入金されるか、費用がいつ支払われるか、設備投資や開発投資でどのタイミングに現金が出ていくかを扱います。 さらに出資(増資)や借入、返済といった資金調達の動きもここに入ります。 実務で作るCFには、期首の現金残高、当期の増減、期末の現金残高が明示され翌期へ繰り越されていきます。 「この計画は資金ショートせずに回るのか」「どの時点で追加の資金が必要になるのか」がはっきり提示します。
もう一つ、計画の説得力を上げる指標として損益分岐点があります。 固定費と変動費の構造から「売上がどの水準を超えると黒字になるのか」を示すものです。損益分岐点は単に黒字赤字を判定するためではなく、どれだけ売上が落ちても耐えられるか、逆にどこまで売上を積めば利益が出るかという事業の耐久力を測れます。 売上計画と費用計画が結び付いているかを確認する意味でも有効です。
基本形として押さえるべきことは単純で、販売計画で置いた前提から売上を根拠をもって導き、その売上を複数年度のPLに落とし込み、さらに資金の流れとしてCFで追いかけることです。 事業計画書は根拠のある前提から数字を組み立て、計画が現実に回ることを説明するための資料となります。