
中小企業のための補助金・助成金(7)
電子申請
最近実施される補助金は電子申請が多いです。 電子申請だと事務局側も大量の書類を管理しなくて済みますし申請側も大変楽になります。 締め切りの消印を気にしなくてよくなりました。 中小企業庁の補助金はGビズIDが共通ログインとして使用されています。 GビズIDは申請に少し時間がかかるので補助金申請を考えている方は早めに取得されたほうが良いでしょう。
電子申請では記録が残りいつでも閲覧できるので便利です。 申請した日時も記録されますし、その旨もメールで通知されますから正確に申請できたことがわかります。 また申請後においても差し戻し処理が全て記録されますので対応し忘れなどが無くなります。 各資料も電子データで添付する形になりますので印刷してファイリングする手間が省けるのが非常に助かります。
ただし、すべてが電子上のデータで出来るわけではありません。 証憑などは通常通り紙面で行っているものもあります。 それらはPDFにして添付する必要があります。 すべての証憑を電子化しなければならないので、特に契約書が発生しているときは少し不便さがあるかもしれません。 また申請サイトにログインする場合は多要素認証として携帯電話へのSMS送信や、GビズIDであれば専用アプリケーションによる認証が発生します。 小さな企業でしたら申請者が管理することもできますが、そこそこ大きな企業だとその認証を誰が行うかの問題も生じます。
電子申請は大変便利ではありますが新たに労力がかかることもあります。 とはいえ申請や事業完了後の処理などは格段に便利になっていますので、これからも便利な方法へ発展していっていただければと思います。

決算書(6)
損益計算書 販管費
本記事では、決算書にあまりなじみのない中小企業・小規模事業の経営者やこれから数字を見る立場になる方向けに決算書の基本的な見方を整理していきます。 私は会計士・税理士ではありませんが、実務の中で学びながら経営者が押さえておきたいポイントに絞って整理していきます。
販売費及び一般管理費(販管費)とは会社が本業を行うために必要となる売上原価以外の費用の総称です。 商品やサービスを直接つくるための費用が売上原価であるのに対し、販管費は「売るため」「会社を回すため」にかかる間接的なコストと考えると分かりやすいです。 広告宣伝費や営業活動にかかる交通費、事務所の家賃や通信費、管理部門の人件費などがこれに含まれます。
販管費は名前の通り販売費と一般管理費に分けられますが、実務上はそこまで厳密に区別しなくても構いません。 重要なのはそれが売上原価なのかそれ以外の費用なのかという点です。 特に人件費は混乱しやすい部分ですべてが販管費になるわけではありません。 製造業であれば製品をつくる現場の作業者の人件費は売上原価に含まれます。 一方で事務・管理部門の人件費は販管費になります。 サービス業やIT業でも同様で、サービス提供に直接関わる人の人件費は売上原価、それ以外は販管費と整理されます。
損益計算書では販管費は売上総利益の下に記載されます。 売上高から売上原価を差し引いた売上総利益から販管費を引いた残りが営業利益です。 この営業利益は本業そのものがどれだけ効率よく回っているかを見るための重要な数字になります。 売上は伸びているのに営業利益が出ない場合、その原因の多くは販管費にあります。
中小企業にとって販管費を見る意味は大きいです。 売上を伸ばすことはもちろん重要ですが同時にどれだけのコストをかけて売上を維持しているのかを把握する必要があります。 販管費が増えている理由が将来につながる投資なのか単に固定費が膨らんでいるだけなのかを見極めることが経営判断につながります。 損益計算書の販管費は会社の日常の姿そのものを映す数字ですので、細かい勘定科目にとらわれず「売上を支えるために何にお金と人を使っているのか」という視点で眺めてみることが大切だと感じています。

事業計画書(4)
会社概要
本記事は中小企業向けに「基本形の事業計画書」の概要を説明するものです。 これまで私自身が代表に教えていただいたことをまとめています。 事業計画書には出資を募る目論見書、共同事業の提案書、補助金申請に付す計画書など複数のタイプがありますが、ここでは初めて作成する方に向けて共通する考え方と構成の骨子を示します。
今回は事業計画書の中でも「会社概要」ページについて説明します。 会社概要は読み手に「この会社は何者か」を短時間で理解してもらうための部分です。 社名や組織の基本情報、経営陣の顔ぶれを示し、信頼と安心感を与えることを主な目的とします。
まずは基本情報です。 社名、所在地、設立年月日、資本金などの項目を過不足なく記載します。 ここでは実在するきちんとした会社であることを客観的な事実によって示すことが求められます。 そのため登記内容と矛盾がないこと、役員名や資本金などの情報が最新の状態に保たれていることが重要です。
次に経営陣の紹介です。 代表者だけでなく主要な役員についても、どのような役職があり誰がどのポジションを担っているのかを一目で分かるように整理します。 必要に応じて主な経歴や専門分野を一行程度で補足するのも有効です。 この経営陣であれば事業計画を遂行できると読み手に感じてもらえる構成を意識します。
事業内容の説明も欠かせません。 自社がどのような事業を行っているのかをできるだけ簡潔に、かつ直感的に伝えます。 沿革についてはすべての出来事を網羅する必要はありません。 現在の事業につながる主要な出来事に絞って簡潔に記載します。 会社設立や主力事業・サービスの立ち上げなど、どのような流れで今の事業に至ったのかが分かる程度で十分です。 年表形式で数行にまとめ会社の歩みをコンパクトに示します。
会社概要のページで何より大切なのは事実に基づいた情報を整合性のある形で提示することです。 経営理念や事業の背景と矛盾しない基本情報、経営陣の構成、沿革を明示し、読み手に信頼できる会社だと感じてもらうための情報を整理して示すことが会社概要の役割です。

中小企業のための補助金・助成金(6)
誰が審査しているのか
補助金のなかで特に中小企業庁がおこなっているものづくり補助金などは、多くの企業が採択されているものもあります。 最近では第〇次という形で年に何度も申請機会があります。 こういった補助金では審査の数も膨大になります。 いったいどこで誰が審査しているのでしょうか。 補助金を申請をするにあたり誰が見るのかが重要な情報になってきます。
こういった補助金はまず取り扱う事務局が選ばれます。 そのあとで補助金が公募されるのですが、実際に審査をするのはその事務局ではなく外部の委託された審査官たちです。 その審査官とは主に中小企業診断士や税理士などです。 その方たちが大量の申請を審査していくことになります。
審査する数は膨大なので当然審査時間も短くなってきます。 申請する側は自分たちの理念や想いを載せて隅々まで詰め込んで申請書を書くわけですが、それらが全て審査員に読み取られるわけではありません。 審査する方は自身で事業を生み出して経営されていた方もいるとは思いますが、そのような方は少ないとみておいた方が良いと思われます。 審査には公開されている審査項目がありますので、その内容に合致するかどうかを機械的に見ていくことが多くなってくるようです。
よって申請書には審査項目に合致することをわかりやすくアピールすることが重要になってきており、審査しやすい申請書が通りやすくなっているようです。 補助金によっては不採択だった場合にその理由を聞くことができます。 それらの理由をみて再度改善して申請に臨むことができますので、わかりやすく審査官にアピールできると採択への道が近づいてきます。

決算書(5)
損益計算書
本記事では、決算書にあまりなじみのない中小企業・小規模事業の経営者やこれから数字を見る立場になる方向けに決算書の基本的な見方を整理していきます。 私は会計士・税理士ではありませんが、実務の中で学びながら経営者が押さえておきたいポイントに絞って整理していきます。
損益計算書(P/L:Profit and Loss Statement)は一定期間における企業の経営成績を示す財務諸表です。 売上などの収益から、原価や各種費用を差し引き、最終的に利益(当期純利益など)がいくらになったのかを表します。 貸借対照表がある時点の財政状態(資産・負債・純資産)を示すものだとすれば、損益計算書は期間を通じた事業活動の結果を示す成績表だと言えます。
損益計算書の役割は黒字・赤字の確認にとどまらず、利益がどの段階で生まれどの段階で削られたのかを分解して示し、事業が継続的に利益を生み出せる構造になっているかを読み取れるようにすることにあります。 そのため損益計算書は上から下へ流れに沿って順番に読んでいきます。 段階ごとに意味が分かれているため流れで追うと理解しやすいことが多い諸表です。
基本的な流れは、売上高から始まり、売上に直接対応する原価を差し引いて売上総利益(粗利)を確認し、次に販売費及び一般管理費など日常的な事業運営に必要な費用を反映させて営業利益を把握します。 さらに受取利息・支払利息などの営業外収益・費用を加味して経常利益に至り、固定資産売却益・災害損失などの特別利益・特別損失を反映して税引前当期純利益を計算し、最後に法人税等を差し引いて当期純利益となります。 こうした段階的な利益の積み上げ構造こそが損益計算書の本質になります。
損益計算書を一枚の成績表として眺めるだけではなく事業活動の流れをそのまま写したものとして読むことができれば、数字は単なる結果ではなく次の判断に使える材料へと変わっていきます。