
事業計画書(4)
会社概要
本記事は中小企業向けに「基本形の事業計画書」の概要を説明するものです。 これまで私自身が代表に教えていただいたことをまとめています。 事業計画書には出資を募る目論見書、共同事業の提案書、補助金申請に付す計画書など複数のタイプがありますが、ここでは初めて作成する方に向けて共通する考え方と構成の骨子を示します。
今回は事業計画書の中でも「会社概要」ページについて説明します。 会社概要は読み手に「この会社は何者か」を短時間で理解してもらうための部分です。 社名や組織の基本情報、経営陣の顔ぶれを示し、信頼と安心感を与えることを主な目的とします。
まずは基本情報です。 社名、所在地、設立年月日、資本金などの項目を過不足なく記載します。 ここでは実在するきちんとした会社であることを客観的な事実によって示すことが求められます。 そのため登記内容と矛盾がないこと、役員名や資本金などの情報が最新の状態に保たれていることが重要です。
次に経営陣の紹介です。 代表者だけでなく主要な役員についても、どのような役職があり誰がどのポジションを担っているのかを一目で分かるように整理します。 必要に応じて主な経歴や専門分野を一行程度で補足するのも有効です。 この経営陣であれば事業計画を遂行できると読み手に感じてもらえる構成を意識します。
事業内容の説明も欠かせません。 自社がどのような事業を行っているのかをできるだけ簡潔に、かつ直感的に伝えます。 沿革についてはすべての出来事を網羅する必要はありません。 現在の事業につながる主要な出来事に絞って簡潔に記載します。 会社設立や主力事業・サービスの立ち上げなど、どのような流れで今の事業に至ったのかが分かる程度で十分です。 年表形式で数行にまとめ会社の歩みをコンパクトに示します。
会社概要のページで何より大切なのは事実に基づいた情報を整合性のある形で提示することです。 経営理念や事業の背景と矛盾しない基本情報、経営陣の構成、沿革を明示し、読み手に信頼できる会社だと感じてもらうための情報を整理して示すことが会社概要の役割です。

決算書(6)
損益計算書 販管費
本記事では、決算書にあまりなじみのない中小企業・小規模事業の経営者やこれから数字を見る立場になる方向けに決算書の基本的な見方を整理していきます。 私は会計士・税理士ではありませんが、実務の中で学びながら経営者が押さえておきたいポイントに絞って整理していきます。
販売費及び一般管理費(販管費)とは会社が本業を行うために必要となる売上原価以外の費用の総称です。 商品やサービスを直接つくるための費用が売上原価であるのに対し、販管費は「売るため」「会社を回すため」にかかる間接的なコストと考えると分かりやすいです。 広告宣伝費や営業活動にかかる交通費、事務所の家賃や通信費、管理部門の人件費などがこれに含まれます。
販管費は名前の通り販売費と一般管理費に分けられますが、実務上はそこまで厳密に区別しなくても構いません。 重要なのはそれが売上原価なのかそれ以外の費用なのかという点です。 特に人件費は混乱しやすい部分ですべてが販管費になるわけではありません。 製造業であれば製品をつくる現場の作業者の人件費は売上原価に含まれます。 一方で事務・管理部門の人件費は販管費になります。 サービス業やIT業でも同様で、サービス提供に直接関わる人の人件費は売上原価、それ以外は販管費と整理されます。
損益計算書では販管費は売上総利益の下に記載されます。 売上高から売上原価を差し引いた売上総利益から販管費を引いた残りが営業利益です。 この営業利益は本業そのものがどれだけ効率よく回っているかを見るための重要な数字になります。 売上は伸びているのに営業利益が出ない場合、その原因の多くは販管費にあります。
中小企業にとって販管費を見る意味は大きいです。 売上を伸ばすことはもちろん重要ですが同時にどれだけのコストをかけて売上を維持しているのかを把握する必要があります。 販管費が増えている理由が将来につながる投資なのか単に固定費が膨らんでいるだけなのかを見極めることが経営判断につながります。 損益計算書の販管費は会社の日常の姿そのものを映す数字ですので、細かい勘定科目にとらわれず「売上を支えるために何にお金と人を使っているのか」という視点で眺めてみることが大切だと感じています。

中小企業のための補助金・助成金(10)
補助金が公募される時期
補助金は公募される時期がだいたい決まっています。 例えば中小企業庁などの補助金では国家予算に流れがありますから、その流れに沿って経緯を見守ることができます。 おおよそ夏くらいに概算要求が各省庁から財務省に出されます。 そこでどんな補助金が計画されているかがわかります。 財務省を通過して予算案が出来上がるのが12月頃です。 その後、国会にて予算が承認され1,2月頃に補助金の事務局が公募されます。 事務局が決まればその後は2,3月に補助金公募が開始されます。 この場合は補正予算の補助金ですね。通常の補助金5月頃に公募開始されます。
また上記以外に年に何回も公募されているものもあります。 ものづくり補助金や事業再構築補助金(新事業進出補助金に変わりました)などです。 こういった補助金は公募→締切→採択流れで、3~4か月ごとに繰り返し公募されています。 比較的複数年同じ補助金が予算化されているものもあれば単年度で終わるものもあります。 同じ補助金が来年もあるとは限りません。 狙っている補助金があるならば早めの段階で公募できるように準備しておきましょう。
補助金は政治の流れに大きく影響をうけます。 いまなら所得倍増を掲げているのでそれを満たすような企業が採択されます。 特に12月~1月は政治・国会の状況を観察しておくと次に出てくる補助金を把握しやすくなります。

中小企業のための補助金・助成金(9)
補助事業完了後も終わりではない
実績報告書や各証憑(注文書、請求書等)を提出し入金まで終わったら補助事業は完了です。 しかしその後もやらなければならないことは有ります。 行った補助事業のその後を報告する義務が5年間あります。
なぜそんな義務があるのでしょうか。 そもそも税金で行った事業なので利益が出たら返す必要があります。 補助いただいたのに利益が出ても自社だけのものというものは通りません。 もちろん利益が出なかったりまだまだ開発する要素があって利益化できないのであれば返金する必要はありませんが、利益が出たのなら返金しなければなりません。 それらの状況を確認するために報告を行うのです。
ただし、そんなにうまくいく事業は多くありません。 そこで補助金を出す組織は、例えば中小企業庁であれば、雇用を増やしたり、現在であれば給与を増やすことを要求したりしています。 それらが守られているかのチェックも含まれます。 また補助事業で購入した装置も補助事業以外の使用は禁止されています。 特にサーバーやPCなど汎用性が高いものは注意が必要です。
補助金は税金がもとになっていますのでいろいろな制約が付きますが、それでも事業を推進するにあたって非常に有用な制度なのでぜひ利用していただきたいです。

中小企業のための補助金・助成金(8)
完了検査から入金まで
補助金に採択され交付申請が通り交付が決定したらいよいよ事業の開始です。 しかし補助金はここからが本番です、事業をやりきる必要があります。補助事業の完了は、実績報告書と各証憑などを提出し完了検査を通過する必要があります。
完了検査は補助金によって一部変わりますがほぼ同じです。 補助金をもらうためには支払った各証憑が必要となります。 ここでその補助金の手引きをよく読み込んでおく必要があります。 例えばよく問題となるのはWeb注文で購入する場合です。 一般的な取引でだと「見積書」「注文書」「納品書」「請求書」が発生します。 これでも足りないのですが、Web注文ですと見積書や注文書が無い場合もありますので、それらのエビデンスとなるものを残しておく必要があります。 Web注文の場合は主に画面のスクリーンショットを保存するかメールで通知されるものを控えますが、画面のスクリーンショットを取り忘れると大変です。 不安な場合は各画面のスクリーンショットを保存しておくとよいでしょう。
また一般的な取引をしたとしても「注文請書」を発行しない場合が多いです。 また「支払いの証憑」も銀行振り込みでなくカード決済だった場合は「領収書」などを取得する必要があります。 これらも手引きを読み、抜けが無い様にしなければなりません。 一つでも証憑が抜けるとその項目に対して補助金対象外になってしまいます。 証憑のエビデンスは非常に重要なので注意を払っておきましょう。
完了検査は電子申請の場合だと現地検査が省略される場合がありますが、場合によっては現地検査が実施されます。 現地検査は現場に検査官がやってきて、開発物や納品物、そして証憑を一枚一枚確認していきます。 ここではすぐ証憑を出せるようにファイリングしておく必要があります。 現地検査は以前は必須だったのですが採択数が多い補助金などは最近は省略される傾向がありますので、少し楽になっています。 ただ不正が疑われている場合は最悪会計検査院が入りますのでそうならないように補助金関連の取り扱いは厳重注意が必要です。
完了検査が終われば通常は1か月程度で入金されます。 採択数が多い補助金によってはもう少し時間がかかることがありますが、最近は3週間くらいで入金されるようになっています。 入金が確認できれば補助金は完了となります。 ただし、5年間は報告義務があるので作業はまだ続きます。