2025年12月21日 10:00
事業計画書(7)
事業内容 事例・ユースケース
本記事は中小企業向けに「基本形の事業計画書」の概要を説明するものです。 これまで私自身が代表に教えていただいたことをまとめています。 事業計画書には出資を募る目論見書、共同事業の提案書、補助金申請に付す計画書など複数のタイプがありますが、ここでは初めて作成する方に向けて共通する考え方と構成の骨子を示します。
事業計画書における事例・ユースケースは、事業が現場で成立するか同様の組織へ展開できるかを示すための項目です。 読み手が知りたいのは「誰が、どの状況で何に困り、導入後に何がどう変わるのか」です。 したがって前提条件・課題・解決の流れを具体的に整理して記載します。
まず想定する業界と企業像を明確にします。 業界、企業規模、導入主体(誰が使うのか)を具体化し適用範囲を示します。 実名は不要ですが「中堅製造業で複数拠点を運営する企業」など状況を想像できる表現にします。
次に現場で起きている課題を書きます。 例えば検査業務を行う現場で、手作業の記録が残り情報が散在しているため集計や報告のたびに確認・転記・整合確認が発生し手戻りが起きる状態が発生している等です。 増えている作業や詰まっている工程を具体的に示します。
そのうえで解決後の運用の変化を示します。 「誰が、いつ、何を行い、何が不要になるか」を書きます。 記録の扱いが統一され、入力・確認・集計が標準化されることで提出物作成や確認手順が簡略化されるといった変化を具体化します。 利用者の負担が増えないことも併記すると導入可能性が伝わります。
最後に横展開と波及効果を述べます。同様の課題が「複数拠点・複数部署で記録と報告が発生する組織」に広く存在すること、導入が広がれば手順や提出物の標準化が進み調整コストが下がることを簡潔に整理します。
事例・ユースケースは、「対象」「課題」「導入後の変化」「展開・波及」を運用をイメージできる形で書くことが重要です。