昔からアンプはA級に限ると言いますが、ほんとうにA級とそれ以外のアンプの音質は異なるのでしょうか?
私自身の経験を言ってしまえば、ちょっと聴いたくらいではほとんど解らないという結論なのですが再度その記憶が正しいのかを検証してみました。
先ず最初は70年代のハイエンドセパレートアンプのM-955NⅡ/260+P-855NⅡから確認します。
オンキョーのハイエンドセパレートアンプ M-955NⅡ/260+P-855NⅡ
パワーアンプM-955NⅡ/260はA級とB級を底面のスイッチで切り替えます。
かなりきついスイッチで「ガチャ」という感じで切り替えます、勿論相当な重量ですのでパワーは落としてからひっくり返して行います。
当然、同じソースで聴くのですが、音質の差はほとんど解りません。
ただ、音色ということで言うとB級の方が低中音域が前に出てくる元気な感じでジャズでは絶対B級だと思います。
次に90年代前半の名機マランツPM-80aです。
こちらは動作させながらA級とAB級をフロントのスイッチで切り替えられます。
音楽を聴きながらでも切り替えることが可能ですが、音色をテストするくらいにして普段はお薦めしません。
マランツ PM-80a
このPM-80aは聴きながら切り替えられるので確認しやすいのですが、A級とAB級の音質の差はやはりほとんど解りません。
こちらも音色という点で言えばAB級の方が少し荒っぽい感じはするものの元気な音色で私は断然AB級の音が好きです。
次は、90年代後半に誕生したケンウッドの高級CDレシーバーK270です。
こちらもA級とAB級が聴きながら切り替える事ができます、流石オーディオ氷河期に16万円で発売するだけのスペックを持ってます。
ケンウッド K270
これまで確認してきたのと同様で、音質の変化はほとんど感じられません。
マランツPM-80a同様にAB級の方が元気で明るい音色で個人的にはAB級で聴いていたくなります。
ただし、ドラムのハイハットやピアノの高音域の響きはA級の方が綺麗に鳴ります。
音色は好みの問題になりますが高音域を綺麗な響きで聴き込みたいという人にはこのK270のA級の音はお薦めです。
3つの比較では最後のK270が最も音色的な変化が大きいと感じました。
ということでしたが、これは好みの問題かもしれませんがジャズやロックを聴くのにA級は不要ではないかと思うのです。
例えば、クラシックのバイオリンソロなどでは小さな蚊の泣くような音から大きなガンガン響き渡るほどの音まで入っています。
こういった音楽を本格的に愉しむ場合にはA級は存在感を発揮するでしょう、ノイズはゼロに等しいのですから小さな音量でも綺麗に聴こえるのです。
ただし、ヘッドフォンを使うか本当に静寂な環境で高級スピーカーを使わないとこれを確認する事は難しいでしょう。
それよりも、ジャズやロックはシャープな切れ味や前に押し出してくるようなリアル感が命です、ジャンルによって環境によってクラスを切り替えるのが良いと思います。
ただし、気持ち的にはポップスなどを高品質なA級アンプで鳴らすって、なにか至福の贅沢を味わう感じで生活の余裕感を感じられるのではないでしょうか?
と言うのも、A級アンプはB級やAB級に対して小音量なら倍以上の電力を食いますから。