中型ブックシェルフスピーカーを検証-3~オンキョー D-500Ⅱ
2025年1月20日 08:00
オンキョーがD-77の発売によってスピーカー部門でシェアを固めつつある中で、中型ブックシェルフ部門でフラッグシップ的な存在だったのがD-500をチューニングした後継機のこのD-500Ⅱ(1990年発売、定価ペアで8.6万円)です。
D-500は「リバプール」という名称を持ち、このD-500Ⅱもそれを継承し周波数特性などAVにも対応した仕様になっています。
オンキョーが初代D-500を発売したのが1989年、この1年前にダイヤトーンの中型ブックシェルのフラッグシップスピーカーDS-500が発売されており、完全にオンキョーが名称といいダイヤトーンに対してライバル意識を燃やしていた歴史を物語っています。
そしてこの面持ち、どこからどうみてもダイヤトーンにしか見えません。
この頃はまだオンキョー独自の個性を発揮してなかったのですね、こういうところも本当に面白いと感じるのです。
オンキョー D-500Ⅱ(リバプール)
ウーハーには18Cm口径の軽量化を図った素材で作られたコーンを使用したユニットを使用し、ツイターには2.5Cmのチタンを使用したドーム型を採用しダイナミックな音質を極めようとしているのが解ります。
ネットワークもユニット単位の干渉を防ぐために独立方式を採用しエンクロージャーの光沢仕上げも見事です、それでいてこの価格とはスピーカーのトップの座を狙うオンキョーの赤字覚悟の意気込みがはっきりと感じさせます。
ちなみにDS-500に比べて1万円程価格を安く設定しています、そういった意味からも極めてコストパフォーマンスに優れたスピーカーと言えます。
鳴らすなり思わず唸ってしまうほど音質バランスは最高で、低域から高域まで全域で癖の無い音色でジャンルを選びません。
低音域はこのサイズのスピーカーとは思えないほど出てきます、しかももったり感はなくベース音がはっきり分かるほど張り出しもシャープさもあります。
経年経過でウーハーエッジが今にも破れそうなほど軟くなっていますが、なんとか持ちこたえてのこの音質は素晴らしすぎます。
ペアで2万円+往復の送料でメーカー指定業者でエッジ交換できますが、もしエッジを張りかえたらもっと締まった音色が期待できるでしょう。
しかし、改めて音出ししてみて驚きましたがこんな良い音していたのですね、この価格では本当に立派です。
大口径のウーハーの音色も良いけど、こういったグンと前に押し出してくる感じの低音も大好きです。
こういった音色はジャズにはぴったりきます、その意味では音色もダイヤトーンDS-500を強烈に意識しているのかもしれません。
硬い響きの低音域の中型ブックシェルフを使って大音量で聴くジャズは最高です。
聴き流しで愉しむよりも、聴き込んで詳細な音の輪郭を愉しむタイプのスピーカーです。
尚エッジ交換ですが、交換に出すのではなく何とか自身で補修できないか策を練っています、これからどんどんコレクションのスピーカーが弱ってきますから、愉しみながら自身で補修できるように腕を磨いておきたいと思うのです。