中型ブックシェルフスピーカーの検証-2~ビクター SX-311
2025年1月13日 08:00
「はっとする音」と「ほっとする音」がある、このSX-311(1988年発売、セットで7万円、専用スタンド付きで10万円)は後者の音質。
2ウェイ密閉型の本格派ブックシェルフで、軽い和紙製コーンを使ったウーハーから放つドライな音質が最大の魅力です。
私が最も長く寝室のサブシステムのスピーカーとして愛用した一つで、長期間愉しませてもらった時間を考えれば10万円は格安と思えます。
ビクター SX-311
フロントをアップで見るとこんな感じ、精悍です!
私が購入したのは90年ごろですから30年も前になりますが、いまだに新品同様で突板の剥がれも傷の一つもなくユニットも綺麗なままです。
自分で言うのも何ですが、よほど大事に使っていたのですね、音質もまったく変化することなく20Cm口径のウーハーで今でも愉音を響かせてくれます。
小音量でも大音量でも変わらぬ音色は数少ない貴重なスピーカー、本当にこの時代によくぞ作ってくれましたという名品です。
この音、ふと思い立ったように突然聴きたくなる時があるのです、そんな「ほっとする音」がするのです。
どこが良いとか悪いとかと評価もしたくない、そんな音が有っても良い。
ジャズは勿論、ロックもクラシックも無難にこなします、特にバロックのチェンバロの響きは最高です、つい時間が経つのを忘れて心は中世ヨーロッパに引きこまれてしまいます。
また、このスピーカーで特に気に入っているのはジャズボーカルです、まるでそこにいて囁くように聴こえるのです。
更に、ホームシアターのフロントスピーカーとして一時的に使った事が何度もあるのですが、作りこまれたSF映画のド派手な効果音も綺麗に再生してくれます、本当に凄いの一言しかありません。
祖先にあたるSX-7は別名「ザ・ヴォイス」と命名されたスピーカー、流石に良い血を引いています。
休日の昼下がりにジャズやバロックを大いに楽しんだスピーカー、やはり手放せない逸品となっています。
この後、保護ネットを外してユニットの確認とユニットに着いていた細かな埃をクリーニング、更に引っ越しの際に凹んだ保護ネットを平らに修繕し新品同様に蘇りました。