2025年1月30日 08:00
スピーカーユニットは、コーン(振動板)の面積で周波数特性がほぼ決まってしまいます。
当然、低音を出すには広いコーン面積が必要で、高音は狭い面積で鳴らすのが効率が良いわけです。
その意味でスピーカーシステムは、低音+中音・高音と2つのユニットを使う2ウェイ方式や低音・中音・高音と3つのユニットを使うのが3ウェイ方式ということです。
ただ、1つのユニットで低音から高音まで再生できることを目指したユニットがあります、これがフルレンジというスーパーユニットです。
多くは、周波数特性上の中間サイズの16Cmや20Cm口径なのですが、38Cmという巨大なユニットや10Cm以下という極少サイズで低音から高音まで再生可能とするユニットも存在しています。
当然ですが、口径が大きなフルレンジは高域が弱く、口径が小さなフルレンジは低域が弱くなります。
それでも、2ウェイや3ウェイのようにコイルとコンデンサを使ったネットワークで周波数分別を行いそれぞれのユニットで合成させるよりも、各周波数帯の繋がりの良さはフルレンジには敵いません。
もう一つのフルレンジの良さとは、音が一点から出てくるということです。
これによって、近くで聞いても周波数帯域による音のバラツキがなく定位が安定しています。
フルレンジユニットは周波数帯域こそ狭いのですが、12Cm~20Cmあたりの高級フルレンジをバスレフやバックロードホーンで低音域をカバーしてあげれば2ウェイや3ウェイに劣らぬ音質を醸し出します。
むしろ、繋ぎが良くストレスなくそのユニットの持つ個性的な音を楽しむ事が出来ます。
フルレンジのそれぞれのユニットの持つ独特な個性音を楽しもうと思ったら、今では自作するしかありません。
私は、ときどきフルレンジの音が聴きたくなることがあります。
フルレンジで聴くジャズボーカルやバロックは最高です。(クラシックはあまり聴かない私も、バロックだけは好きなのです)
出来あいのスピーカーシステムよりも結果的に高価なものになり見栄えも悪いのですが、その音を聴くにはそれなりのお金をかけて自作するしかないのです。
10Cmフルレンジユニットが2個セットで2万円を越えるものも少なくありません、しっかりとした専用エンクロージャーを買えばセットで最低でも6万円以上にもなり、実売価格での小型ブックシェルフなら結構良いものが買える金額です。
しかも、大きさは正面でB5版サイズの小さなスピーカーです。
20Cmユニットでバックロードホーンともなれば安くてもセットで10万円、エンクロージャーの材質に拘ると30万円を越える物まで存在します。
30万円あったら、JBLなどの本格的なスピーカーシステムが買える価格です。
それでも、そのユニットの音が聴きたいならお金を払って自作するしかないのです。
これが、オーディオ道楽の理不尽極まる事実かもしれません。