2025年1月 2日 08:00
アンプで重要な増幅回路方式には、A級とかAB級という方式があります。
A級が最も音質が良くノイズが少ないのですが、電力効率が極めて悪いアンプです。
過去から現在に至るまで超高級アンプに使われるA級方式は、入力信号にバイアスをかけて増幅しますので、出力段は常にフルパワーが出る事になります。
このバイアスによって、信号対ノイズの差を広げてノイズをほぼゼロにしているのです。
この場合は、ボリュームというのは間違っており、正確には入力信号を絞るアッテネーターという仕組みで音量調整しています。
なので、電源を入れた瞬間に定格消費電力に達してしまい、音量によってほぼ消費電力が変わることはありません。
これをもう少し効率を良くしたものがB級方式で、30年ほど前のパワーアンプなどに採用されていたこともあります。
現在のミドルクラスやエントリークラスのアンプは、ほとんどA級とB級の良い所取りしたAB級が採用されています。
AB級はノイズ特性こそA級の100倍ほど悪くなりますが、消費電力に対する効率がかなり高くなります。
100倍悪いと言っても、人の耳で測れる範囲ではなく機械で測定して初めて解る範囲です。
ちなみにA級で30W(ワット)の定格出力とAB級の100Wの定格出力の消費電力はほぼ同じで、つまりAB級は3倍効率が良いことになります。
また小音量の時はA級で、大音量になるとAB級に自動に切り替わるハイブリッドアンプが80年代後半には多く見られました。
対してD級アンプはカーオーディオやPA(大衆音響=マイクや電子楽器の増幅器)用のアンプで一般には音質が悪いと言われています。
しかし効率は極めて高く、入力信号をそのまま電気を使って音に変えるという大胆な発想による方式であり、手のひらに乗るほどの大きさで100Wアンプなどは普通に存在します。
また、この場合の消費電力は30W程度であり、ACアダプターで対応出来てしまうのです。
現在のアンプ内蔵型スピーカーは、全てD級アンプが使われています。
ハイファイ用のサブウーハーやPCでのデスクトップオーディオでは、求められるものがノイズ特性ではなく音量と小型軽量、そして電力効率が良いことだからです。
また、ライブハウスなどでのアンプはハイエンドを除き多くがD級です、それをマイクで拾って録音されたライブ版のCDなどをA級アンプで聴く意味が有るのかという疑問も出ます。
そもそも論で、自分はオーディオに何を求めているのかが重要です。
ジャズやロックのバンドをやっている人は、ライブハウスと同じようなPA用機器で自宅にオーディオセットを組んでいます。
その音はゾクっとするようなパワーがあり、一度でも聴いたことがある人は、「むしろこっちのほうがジャズやロックを聴くには良いかもしれない」と必ず思うはずです。
そして、D級オーディオ製品の価格はハイファイオーディオ製品の半額以下です、否5分の1程度のものも多数有ります。
何をもって音が良いというのか?
少なくても増幅回路の方式ではないと思うのです、それよりもスピーカーにお金をかける方が良い音を同じお金で得られます。
音って、妙な拘りよりも自分の耳で聴く実質的な存在だということです。