大型ブックシェルフスピーカーの検証-1~ダイヤトーン DS-35B
2024年9月27日 08:00
今の製品と比べてしまうとけっして良い音とは言えないのですが、古き良き時代の音色が妙に懐かしく響きます。
大学3年の後半から1年半ほど私のメインスピーカーだったのが、このダイヤトーンDS-35B(1976年発売、ペアで11万円)です。
大学卒業後に何度となく引っ越しを繰り返した中で、ずっと一緒に移動し続けたスピーカーでもあります。
ダイヤトーン DS-35B
それにしても改めて調べて解ったのですが、当時のダイヤトーンのスピーカーはその後のダイヤトーン製品と比べてかなり高額だったのですね、大卒初任給で比較すると今現在の相対価格は30万円以上になります。
当時、2年ローンでなければ買えなかったのも頷けます。
ちなみに、20年後の1994年に購入したDS-700Zはセットで13万円ですが、ユニットの仕様も音質的にも更にエンクロージャーの作りも含めた完成度はDS-35Bの比較にもならない程の見事すぎる出来栄えです。
本当に今の若い人が羨ましいです、オーディオ製品の性能は上がり価格は相対的にガタンと下がっています、無理せず良い音のオーディオ製品が購入できるのですから。
音質的には、当時の30万円のコンポよりも今の10万円のコンポの方が良いのではないでしょうか?
さて、流石に70年代後半のダイヤトーンの音は、90年代の硬くしまった低音域を響かせるダイヤトーンの音とは異なり、どこか温もりを感じさせるようなマイルドな音質です。
オーディオ製品が成熟した現在、音質の評価で言えばギリギリセーフですが、イマイマの周波数レンジが広いSACD再生では厳しいところが一発で露見してしまいます。
それでも今では考えられない30Cm口径のウーハーが放つ低音域はふっくらしているので、80年代の締まった低音域のアンプや、逆に更にマイルドに鳴らす真空管アンプとの相性はばっちりです。
更には、最新の高音質デジタルアンプと意外と音質特性が合うのには驚きました。
まあ、こういうビンテージなスピーカーに音質云々を求めてはいけないのです、素直に音色だけを愉しむのがよいのです。
「音質ではなく音色を愉しむ」、そんな懐かしい家庭料理のような音を味わえるスピーカーが在っても良いのです。
ダイヤトーンDS-35B、何故か秋の夜長にしっとりと聴き込んでしまいたくなる音がします。
長く愉しむことを目的に先日オーバーホールを施しました、ウーハーとスコーカーのエッジを補強しアッテネーターの接点を磨きました、マイルド系の音色がぐっと締まって当時の張りの有る音が復活しました。