最新ミニCDレシーバーの実力の程は?~デノン RCD-M41SP
2024年9月23日 08:00
イマイマの時代のオーディオ製品の実力を確認する為に、数多いミニCDレシーバー(CDプレーヤー付きアンプ)の中からスペックを検討してショップで音を確認し、選びに選び抜いたのがデノンRCD-M41SP(2017年発売、4.3万円)です。
この数年の間に一大ブームとなっているミニCDレシーバーの実力を知りたくて、オーディオ道楽復活直後に早々に購入し試聴してみました。
デノン RCD-M41SP
原型は初号機RCD-M37で、国名は明かされていないのですがヨーロッパ系の音響技術者によって音のコーディネイトがなされ、同社広報では同シリーズの音質を「ヨーロピアンサウンド」と命名しています。
この「ヨーロピアンサウンド」と命名された音色は如何なものかは解りませんが、いろいろなスピーカーで試聴した結果は驚くほどに高音質です。
低音域もしっかりとしていて、中高音域の張り出しも見事です。
同社の現行エントリークラス製品のアンプとCDプレーヤーを合わせると11万円となり、このRCD-M41SPは4万円ほどの価格で極小型でありながらフルサイズコンポに勝らぬも劣らぬ高音質には脱帽するしかありません。
発売から2期連続オーディオ雑誌で数々の賞を総なめするだけあって、現行商品では究極のハイコストパフォーマンス機だと言っても過言ではありません。
他メーカーの同様の製品に比べて大きさは同じでも、重量の重さが際立っています。
実は試聴後にワーキングBGMを楽しめるようにと書斎に置くサブシステムにしようと考えていたのですが、これが聴き入ってしまうほどのパワフルな音色でいっぺんで気に入ってしまいました。
大型ブックシェルフで音を確認すると、ブラインドなら絶対にミニCDレシーバーだと気が付かないほどの豊かな表現力があります。
低域も高域も綺麗に伸びており、近年のアンプの主流である上品な音色ですが、加えてシャープさも中高域のメリハリ感も申し分ありません。
もっとこの音質を活かしたいと欲が出て、直営レストランで使っているアルテック620B(38Cm口径コアキシャル2ウェイ:セットで74万円)という本格的な大型フロアスピーカーにちょっとした遊び心で繋いでみたら、更に力を発揮しトーンコントロール無しで50坪のフロアの隅々まで低音を響びかせたのには本当にビックリです。
良い意味での期待外れに、レストラン関係者も大興奮!
マイクロコンポやミニCDレシーバの定格出力の多くは15Wとか20Wなのですが本機は30Wと余裕の出力、更には同社ミドルクラスの技術と高品質部品で作られています。
アルテック620Bの破壊的な高音圧であれば、アンプの出力は30Wもあれば充分すぎます、何せアンプの定格出力が30W程度が主流だった時代のスピーカーなのですから、当然大口径で強力なマグネットを使った音圧で稼ぐスペックになっているのです。
こういったスピーカーには、定格出力は低くてもワイドレンジでシャープな音質のアンプがジャストマッチします。
70年代の74万円のスピーカーに最新鋭の4万円のCDレシーバーを繋ぐ、普通では有り得ない組み合わせですが、音圧などの特性や音質の相性を知りつくしていれば当たり前のように出てくるアイデアです。
機械に詳しくない従業員も、初期設定さえ行っておけば電源と再生ボタンの2つだけを押せば良いので簡単操作で高音質に喜んでいます。
店長はそれまで音には一切拘りが無かったのに、このセットにしてからは毎日開店前と閉店後に一人悦に入って聴きこんでいるのだと言います。
正直な話、レストランで音を聴きながら調整を行っているうちに持ち帰ろうかと思ったほどに明らかにミニCDレシーバーの領域を越えた逸品です。
巨大すぎるアルテック620Bの脇で余計に小さく見えるRCD-M41SP