大型ブックシェルフスピーカーの検証-2~ダイヤトーン DS-700Z
2024年9月30日 08:00
アンプコレクションは年代別にかなりの数になりますが、その楽しみの一つがそれぞれの個性的な音を聴き比べることにあります。
この際に重要なのが同じスピーカーをリファレンスとして使うということです。
その意味で、必ず繋いでいるのがダイヤトーンDS-700Z(1992年発売、ペアで13万円)です。
ダイヤトーン DS-700Z
27Cm口径の新開発の新素材コーンを使ったウーハーの低音域はガツンと直接身体にぶつかってくるような鳴り方をします。
このコーンは、10Cmのスコーカーにも使われているニュー・アラミド・ハイブリッド・ハニカムという特殊な素材で、有機繊維アラミドと無機繊維アモルファスシリカをイントラプライ構造とすることで、軽量・高剛性化を図っています。
特殊繊維でできたウーハーのコーンは金属質の輝きを放つ!
ツイーターは2.5Cmのドーム型で、素材はHDアロイというものでチタンより軽量なチタン合金でできています。
新素材振動版のスコーカーとチタン合金ドーム型のツイーター
エンクロージャーは3ウェイ密閉型の大型ブックシェルフで、音質は低音域から高音域まで本当に硬質でシャープな音の切れ味は抜群です。
それぞれのアンプの個性をこれでもかというくらいにハッキリと素直に表現します。
価格の割に中音域が腰砕けで低音域も高音域も薄っぺらいアンプもあれば、安価なエントリークラスでも低音域から高音域まで綺麗に伸びてしかもレスポンシビリティが高いメリハリのある音質のアンプなどをズバリと鳴り分けてしまいます。
また小音量でもこの音質の傾向が変わらないのは見事というしかありません。
兄貴分のDS-1000Zとショップで手持ちのジャズCDで聴き比べてもほとんど音質の差が無いのです、にも関わらず約半額の価格です。
むしろジャズファンにはDS-1000Zの繊細な音色よりも、本機DS-700Zの元気な音色の方が好まれると思います。
試聴後、その場で即購入を決めたハイコストパフォーマンスな逸品です。
90年代後半に、ダイヤトーンは事業廃止により製品製造をストップさせてしまいます。
その意味では、ダイヤトーンの集大成の音が90年代の製品群という事になります。
つまりDS-700Zは、ダイヤトーン最期の傑作級の貴重な音を保存しているスピーカーの一つなのです。
クラシックファンならDS-1000Z、ジャズファンなら密閉型の本機DS-700Zか、ほぼ同一ユニットでバスレフ型のDS-600Zを是非コレクションに加えてほしいと思います。
DS-600Zは、DS-700Zをややドンシャリ気味にした音質でロックやポップスでも冴えた音色で鳴ります。
どちらも、ピアノトリオでの各楽器の響きは本当に見事なまでに綺麗です。