2023年11月 4日 08:00
90年代のテクニクスは最終段にMOS-FETを用いたクラスAA(準A級)アンプで勝負をかけていました。
その1台がこのテクニクスSU-A900(1994年発売、定価7.5万円)です。
テクニクス SU-A900(写真上)
下に在るのは70年代のデノンのパワーアンプPOA-1003
テクニクスはパワーICを堂々と使ったり、常に時代を先駆けて製品を出しています。
70年代~80年代のテクニクスのアンプはカラッとした元気で明るい音色でジャズファンを大いに引きつけていましたが、こちらのクラスAAのSU-A900は完成度の高いバランスの良い音色でグングン前に押し出してくるようなパワーを感じません。
ジャズしか聴かない私にとってはちょっと期待はずれな1台でしたが、ボーカルは非常に聴きやすい音色です。
メインにもサブでも使われずにコレクションラックにずっと鎮座していましたが、久しぶりに聴いたのですが、歴代のテクニクスアンプに比べて音出し一番での感動が少ないのにはちょっと驚きました。
その点では、70~80年代のテクニクスアンプはどれを聴いても音出し一番「ハッ!」とする感動が起こるのでだいぶ音の傾向が変わった感じがします。
ただ、MOS-FETはしばらく通電させないと本来の音が出ないので長時間に渡りじっくり聴きこめば本来の音を発揮するのかもしれません。
最期に余談ですが、久しぶりに音出し確認を兼ねてクリーニングを施したのですが、ベンジンでフロントパネルのシルク印刷が解けてしまいました。
これは致命的な欠陥です、かろうじて操作に影響する箇所は薄くはなりましたがなんとか読めます、ただ左上に在るはずのブランド名と製品名が完全に消えてしまいました。
シルク印刷が削れたり解けたりした製品は、たとえ完動品であってもジャンク扱いとまではいかないまでも中古製品としての評価はかなり低くなります。
ロットによる欠陥だとは思いますがフロントパネルの製造過程で何らかのミスが発生したのでしょう、20年程度の経年期間でシルク印刷が解けて消るという現象はこの1台だけで過去に経験がありません。
ちなみに当時のこの価格はミドルクラスです、エントリークラスでもこのような欠陥は見たことがありません。