ナチュラルサウンドが魅力のエントリーアンプ~オンキョー A-912
2023年10月28日 08:00
90年代はバブル経済が崩壊してオーディオ氷河期とも言える状況になり、オーディオ各社は生き残りをかけ戦略を模索し始めます。
これまでのフルサイズコンポに並行してミニコンポやAV製品が乱立しますが、フルサイズコンポのエントリークラスも水面下で熱い戦いがありました。
そんなフルサイズコンポのエントリークラスの中で、極めてハイコストパフォーマンスなプリメインアンプが幾つも誕生しました。
その一つが、このオンキョーA-912(1995年発売、4万円)です。
これ以前に1992年にA-913(4.8万円)が発売されていますが、A-912はブラッシュアップを図り更に低価格でデノンに勝負を挑んできます、また1997年にはA-924(4万円)と型式が変わりデザインも一新してしまいます。
ライバルのデノンはPMA-390を皮きりに390をシリーズ化し、エントリークラスのロングセラーを樹立していきます。
この両者の型式戦略の見極めがその後に大きな経営基盤の差となって現れてきます、デノンは型式をシリーズ化する事で一つの製品ブランドを確立させ成功しました。
オンキョー A-912
音質は可も無ければ不可も無くこれといった特徴は有りません、癖が無いというか無難な音質です。
音色はスピーカーによってガラッと変わります、良い意味ではスピーカーのリファレンスアンプには持って来いのアンプだと言えます。
ヤマハやオンキョーのスピーカーではソフトな音色なのに、JBLやダイヤトーンのスピーカーでは元気で明るい音色に変わります。
私は、同年代のオンキョーD-202AXと組んでサブシステムとして1年ほど使っていました。
オンキョー同士の組み合わせはソフトな音色となり深夜用サブシステムや作業BGM用に多用していました、まったく気にならない音色で長時間聴いていても疲れないところがすごく気に入っていました。
聴き込むだけがオーディオの愉しみではないということが極めて重要です、どのような使い方ができる製品なのかを見極める必要があるのです、BGMも店舗での大衆音響も立派なオーディオです。
90年代のエントリークラスのプリメインアンプはどのメーカーの製品でも侮れません、サイズも薄型で重量も軽く扱いやすいです。