オーディオ氷河期時代の大ヒットアンプ~マランツ PM-80a
2023年10月 7日 08:00
オーディオ氷河期突入後にも大ヒット&ロングセラーを達成したアンプの名作がありました、その一つがマランツPM-80a(1994年発売、7.5万円)です。
製品名の正式型式はPM-80AF(バックパネルの表記)ですが、カタログや説明書にはPM-80aとなっており中古市場において混乱を起こしやすいアンプです。
PM-80aもPM-80AFもどちらも正しい表記であり、同じ製品です。
マランツ PM-80a
初号機PM-80はアンプ798戦争末期の1989年に6.5万という戦略価格をぶつけて、そのスペックも見事なことから大ヒットを飛ばし市場を奪うことに成功したアンプです。
その後継機のPM-80aは、更にチューニングを施しスペックと価格を上げて満を持しての発売だったわけです。
デジタルソースを意識した仕様でありながら、アナログ部も電源を強化してノイズ特性を上げ、更にプリアンプ部・トーンコントロールアンプ部・メインアンプ部の各アンプ部を完全に独立させた分離回路構成をとっています。
更には、PM-80同様にA級/AB級と切り替えられるようになっており、音量に合わせた音質を得られるようにしています。
これによってジャンルを選ばず、万人に受け入れられ大ヒットしたのです。
価格からは考えられない贅沢な部品と作りになっており、90年代アンプの中では極めてコストパフォーマンスが高い秀作です。
デザイン的にもシャンパンゴールドで二枚構成のフロントパネルの採用など高級感に溢れます。
ただ、分解掃除の際にはこの二枚構成の仕組みが複雑でどう外せばよいのか迷った記憶があります。
音質的にはマランツ伝統のナチュラルサウンドで、押しも強くなければ張り出しも強くない、かといって引っ込んだ薄っぺらい音質ではなく各音域に余裕を感じる音色です。
癖が無いのがマランツの最大の特徴で、ジャンルを問わずオールマイティに使えるアンプです。
クラシックにはA級でジャズやロックにはAB級でという使い方ができ、どんなジャンルの音楽でも聴くという音楽ファンに受けたのでしょう。
大ヒット&ロングセラーのアンプって意外や音色に特徴が無いものなのです。
私個人的には聴き込むタイプのシャープに押し出してくるような音質が好きなので、こういった優等生の音質のアンプはメインで使うことはないのですが、他のアンプのリファレンスという意味では標準的な音質で極めてバランスの取れた貴重なアンプです。
時々思い出したかのように、ストックラックから引っ張り出しては音を聴きたくなる事がある愛着の強いアンプでもあります。