2023年9月23日 08:00
アンプ界の金字塔7シリーズ20周年記念機種となるサンスイAU-α607MR(1995年発売、9.9万円)は後期サンスイサウンドの決定版と言っても過言ではないでしょう、ベストバイ後期サンスイサウンドの名機として今もなお高い人気を博します。
回路的には前作XRのマイナーチューニング版という感じなのですが、サンスイらしからぬややマイルド系の音色であるにも関わらず音の切れはピカイチで同シリーズの兄貴分707や907と揃って一向に中古価格が下がりません。
現在同じ内容で作ったらおそらく20万円以上は確実にする部品構成と回路で、回路構成は完全バランス型(BTL)となっておりサンスイの技術の集大成ともいえる名機中の名機でしょう。
サンスイ AU-α607MR(写真下)
上に乗っているのはCDリファレンスプレーヤー ティアックCD-P650
XRと比較するとDシリーズとの比較のような音色的にはっきりとした違いはないのですが、詳細に聴き分けると音の一つ一つが明確に解り同じCDでも解像度が高いと感じるのは勘違いではなさそうです、ヘッドフォンを使うと明確にアンサンブルでの音の分離度が高いことが確認できます。
特にピアノソロを聴くとこれが明確に解ります、ピアノは弦楽器だということが改めて意識するほど余韻が綺麗でラウドペダルを踏んでいるのか否かなどをはっきり聴き取れるのは本当に凄いと感じます。
また、和音でも音が重なることも無くそれぞれのキーの音が生音のように個別に綺麗に聴き取ることができます。
デザインはXRと極めて似ているのですがパネルの下部の丸みが取れ凛々しくなったのとボタンデザインが楕円から角に変わっています、ほんのちょっとの違いですが威圧感は圧倒的にMRの方が上です、アンプは見た目も大事です。
このMRの後継機がNRAで7シリーズ最終版となりますが、NRAよりも断然MRの方がサンスイらしい締まった音であり人気が高いのも頷けます。
さすが、7シリーズの決定版との評価は確かなようです。
音質確認用に久しぶりにラックから出していろいろなCDで聴いてみたのですが、このままメインで使いたくなるほど数ヶ月も聴き込んでしまいました。
ジャズファンには堪らない音色です、決して派手ではなくとにかく音が綺麗です、ピアノトリオはMRで聴くのが一番です。
ただ、低音のサンスイと謳われた低音域は80年代の7シリーズの方が個人的には硬い響きで好きです、その点では本機は洗練されて上品な低音の響きです。
尚、特筆すべきがXR同様に2つのパワーアンプダイレクトモードがあります、コネクタでCDダイレクトインとプリアンプダイレクトインが選択できます。
こういった仕様は真にパワーアンプ部の自信の裏付けだと思います、ちなみに下手なプリアンプを介さず是非CDダイレクトモードで聴いてほしいです、次元の異なる繊細な音を感じることでしょう。
まあ、このアンプにあれこれと音質の評価は不要で聴いてみるに限ります、シャンパンゴールドの色もしっくりして高級感もありずっと手元に置きたい逸品です。