2023年9月 2日 08:00
ケンウッドが本格的にミニコンポ(ハイコンポ)に参入したのがK's(ケーズ)シリーズからで、そのK'sシリーズの初号機がケンウッドA-1001(1993年発売、定価6万円)です。
つまり、ケンウッドハイコンポの祖と言っても過言ではありません。
そして、このシリーズの成功でケンウッドはオーディオ氷河期を乗り越えたのです。
その意味では、ケンウッドハイコンポのフラッグシップ機と言っても過言ではないでしょう。
ケンウッド A-1001
K'sシリーズは、最初に考えられたのがアンプではなくスピーカーでした、そのスピーカーのデザインに合わせてアンプのデザインが考えられたようです。
未来感覚のデザインが若者を中心に受けて、ケンウッドはいきなりハイコンポの雄として躍り出ます。
たった1台の製品が未来を決めてしまう事はオーディオの世界ではよくあることです、このA-1001もその1台です。
この当時では斬新な未来的なデザイン、その後の後継機や高級CDレシーバーのK270などにもエッセンスが引き継がれます。
更にハイエンドアンプの如くトーンコントロール機能がありません、有るのは小型ブックシェルフスピーカーと合わせる事を前提にした低音域のプレゼンス機能だけです。
ただ、このA-1001のプレゼンスはミドルクラス以上のサブウーハーのようにクロスオーバー周波数とレベルコントロールが可能で、合わせるスピーカーの性能や聴くジャンルによって低音域の補正が可能です。
尚、トーンコントロールが必要な人向けに、クロスオーバー周波数とレベルコントロールを全帯域に渡り詳細に行えるイコライザーが別売されています。
全体的な音質傾向はナチュラルそのものであり、ジャンルを選ばず使えるアンプです。
ジャズファンとしては物足りなさを感じるソフトな印象を受けるでしょう、所謂良い子の音色です。
デザインからはシャープな音色を期待してしまうのですが、私個人的には期待外れ感は否めません。
大型トロイダルトランスなど、使っている部品は高級なのですがちょっと残念な気持ちがしてしまいます。
ただCDダイレクトモードは音色がぱっと明るくなった感じがしてけっこう良いです、是非合わせるスピーカーを元気な音色のスピーカーにしてCDダイレクトモードで聴いてほしいと思います。
尚、このサイズと価格で定格出力55W(8Ω)は立派!
これだからハイコンポは侮れないのです、私のコレクションにハイコンポが7台も占めているのはそういう理由かもしれません。
また90年台はいろいろな意味でオーディオの大きな変革期であり、技術的にも背景的にもコレクションして保存しておきたい製品が多数存在しています。