2023年8月26日 08:00
90年代に入ると、各社から一斉にダウンサイジングしたミニコンポやマイクロコンポが発売されます。
これらの中で、単体発売された高音質のアンプをハイコンポと呼ぶようになりました。
そんな時代の先駆け的に発売されたのがデノンPMA-7.5(1993年発売、5.3万円)です。
そして、私の中でのハイコンポに対する偏見を一蹴させ、「小型アンプは侮れない」と訴えた逸品です。
デノン PMA-7.5
それにしても、このサイズで同社の当時のミドルクラス名機PMA-2000の半額の価格です、それなりの音質を期待してしまいます。
サイズはミニコンポとマイクロコンポの中間的なサイズでありながら、高級ハイエンドアンプに使われる大型トロイダルトランスを使った本格的な作りのアンプです。
なんと、ケースの半分以上を大型トロイダルトランスと電解コンデンサで占められているという超高級電源を搭載したハイコストパフォーマンスな小型アンプです。
音質は周波数レンジが広く、どの音域もナチュラルで上質なデノンらしい音色に調整されています。
私がこのアンプに出会わなかったら、おそらく偏見だけで一生ハイコンポをコレクションすることは無かったかもしれません。
「デノンらしさ」という音質は表現が難しく、籠っているわけでもないし、かといって硬質でシャープな音というわけでもない、ただ一言で言えば「愉音を醸し出す」音色なのです。
そして、ブラインドで聴いたらフルサイズコンポのミドルクラスのアンプかと、誰しも疑う余地も無い本当に素晴らしい音色のアンプです。
定格出力がコンパクトサイズながら8Ωで45Wと大きく、6Ωが主流の最近の小型スピーカーなら80Wと驚くべき高出力でどんなスピーカーも余裕でドライブできます、フルサイズコンポのエントリークラスの定格出力と同程度をこのサイズで出しているのには脱帽します。
また、消費電力は最大で96Wでハイコンポとしては若干高めですがかなりの音量でも発熱はほとんどありません、ハイコンポの多くはそれなりに発熱もあるのでちょっとこれは嬉しい驚きです。
左右に大きめのヒートシンクが付いており冷却能力が高いのかもしれません、発熱が少ないのは設置方法に苦労せずに済むので好感できます。
デザイン的には、チタンシルバーにゴールドのラインがところどころに入り豪華な印象を受けます。
90年代に入ってのデノンは良い、「迷ったらオンキョー」だとしたら「先ずは試しにデノン」という格言を残したい逸品です。