2023年8月19日 08:00
90年代に一斉風靡したハイコンポ、90年代初頭のミニコンポ(幅30Cmほど)に始まり中盤のマイクロコンポ(幅25Cmほど)、更に後半にはサイズがどんどん小さくなっていきます。
これらのコンパクトサイズのシステムで、高音質で単品でも発売されていたアンプをハイコンポと呼んでいました。
そんなハイコンポの中で特に人気を集めたのがオンキョーのインテックシリーズです、そしてこのA-905Xは俗に言うインテック第二世代の先鋒機なのです。
ハーフサイズのマイクロコンポながら音質に拘ったA-905X(1997年発売、3.2万円)は大ヒット&ロングセラーを続けた超が付く程のハイコストパフォーマンスなアンプです。
同じインテックシリーズでも、ミニコンポサイズのA-911M(1994年発売、5.2万円)やA-922M(1996年発売、5.3万円)に比べて出力は大幅にダウンするも大きさは更に小さくなり扱いやすいサイズになります。
そんな時代に活躍した、ハイコンポの中でも一際小型のA-905Xの実力を確認すべく再度じっくりと試聴し、発売から20年経ったこの時代にどんな使い方ができるのかを考察してみました。
オンキョー A-905X
A-905Xは、定格出力は15Wと低いのですが、通常の使用では決してパワー不足を感じさせません。
更に、消費電力が45Wと同類アンプの半分程度なのが実に嬉しいのです。
消費電力が低いので上部が熱くなる事もありません、上に若干の隙間を空ければ重ねることも可能です。
ちなみにベッドルームやPCオーディオなどで使う場合はスピーカーの音圧にもよりますが、余裕をみても定格出力で5Wもあれば充分です
デスクトップなら普段聴く音量は、おそらく0.2W程度かと思います。
ちなみに、A-905Xの音質はハーフサイズの小型アンプとはとても思えないほど周波数レンジが広くてバランスが取れた高音質です。
ベースの低音域もしっかりと出ているし、ピアノやサックスの中音域の張り出しもそこそこあり高音域の響きも綺麗です。
こういったバランスのとれた優等生の音質がオンキョーアンプの持ち味で、ジャンルを選ばない音色は価格からは考えらません。
また、小型スピーカーと合わせる事を想定したサブウーハー用の専用コネクタ付で、サブウーハーを繋げばかなり小型のブックシェルフを繋いでも低音域の不足感も解消します。
ちなみにオンキョーのD-202AX LTDを繋ぐと低音域が本当に綺麗に伸びてサブウーハーの必要性をまったく感じません、流石に同年代のオンキョー同士です、実に良く合う音質です。
いろいろなサイズのスピーカーを変えて何度も試聴しましたが、どのタイプのスピーカーでも低音域から高音域の伸びが良く、しかも私の好みの元気な音質でサイズからはとても想像もできない愉音を発します。
こうして改めて音質確認すると、極めてコストパフォーマンスが高いアンプだと思います。
小型スピーカーといい小型アンプといい、90年代のオンキョーの日本オーディオ界のリーディングカンパニーを目指す熱意と闘志はすごいものを感じます。
オーディオ氷河期を自力で乗り越え、デジタル時代を逞しく生き抜いてきただけのことはあります。
そして何時の頃からか、「迷ったらオンキョー」というオーディオ格言を残すのです。
中古市場でもオンキョーのハイコンポアンプは常に大人気で、手頃な価格で取引されています。
現在ではこういった小型のサイズはミニCDレシーバーではあるのですが、アンプ単体ではD級デジタルアンプに座を奪われています。
小型軽量で低消費電力のアナログアンプは今では音質も含めて貴重な存在です、優良美品を見つけたら是非買っておくことをお薦めします。
サブシステムのアンプでも勿論音質的に問題なく使えますし、PCオーディオやテレビの音質向上用アンプとしてなら贅沢すぎる高音質なシステムを組めます。
20年経った今でも充分に使える小型高音質アンプ、私だったらイマイマのエントリークラスのフルサイズアンプやD級デジタルアンプを買うくらいなら中古市場で優良美品を探してA-905XやA-909Xなどを買うでしょう。
高音質な小型軽量アンプはいろんなシーンで使えるアンプで、何台有っても困ることはありません。