2023年7月 8日 08:00
アンプ798戦争勃発後に放ったソニーアンプの代表格のTA-F333ESX(1986年発売、8万円)はソニー渾身の逸品である。
ソニー TA-F333ESX
ソニーが潤沢な資金力に物を言わせて、798戦争下において主導権を握ろうと送りだした名アンプであり、そのスペックが半端ではない。
ケース内部にはGシャーシと呼ばれる炭酸カルシウムを樹脂で固めた非磁性体の一体形成シャーシを使用し、磁気による歪やノイズを最大限に抑え、強力な電源により骨太な音質を醸し出します。
低音域から高音域までフラットで、これといった癖も無い良音でどんなスピーカーと合わせてもスピーカーの個性そのままに鳴らせるアンプです。
音の傾向としてはオンキョーに近く、外見からは想像もつかないほどの素直で柔らかい感触の音色です。
ジャンルを選ばない音質で、逆にファンを絞り切れなかったのがマイナスに出てしまったのではないかと思います。
正直に言えば、もう少しメリハリというかシャープさというか、聴き込みたくなるような個性が欲しいと思うばかりです。
ただし、長時間試聴していると良さが解ってきます、何とリラックスして心地良くなってくるのです、これは全帯域に渡ってフラットでバランス良い音質だという証拠です。
サンスイの牙城を崩す目的でのリーサルウェポンでしたが、なんと崩されたのはヤマハとオンキョーという連合軍内部の潰し合いに終わったという皮肉な結末となってしまいました。
スペックや投入部品等を考察するに赤字覚悟の戦略アンプであり、10万円以上でも安いのではないかと思える超が付くほどハイコストパフォーマンスな名作アンプです。