敗軍の名アンプ~オンキョー integra A-817RXⅡ
2023年7月22日 08:00
アンプ798戦争勃発前夜に発売されたオンキョーA-817RXⅡ(1986年発売、8万円)は、前作A-817RXをマイナーチューニングされたアンプです。
オンキョー A-817RXⅡ
1970年後半から日本のオーディオ界は戦国時代に突入しました、オーディオメーカーが乱立し主導権争いが繰り広げられていました。
70年代後半には既にサンスイが一歩先を行き、オンキョーもintegra(インテグラ)シリーズを引っ提げて必死についていこうとしていました。
サンスイがAU-DシリーズのDCアンプで牙城を築いていく中で競合他社も負けじと戦略的なハイスペックアンプを次々と投入していきます。
そんな中でのオンキョーの先鋒がこのA-817シリーズです。
A-817RXⅡは、A-817シリーズにあって個人的な評価ではありますが80年代のオンキョーアンプらしさが最も発揮された名作中の名作だと思います。
低音域から高音域までフラットで癖が無く、豪快さはかけるものの素直で良い子の音質です。
どのジャンルの音楽も無難にこなしますが、逆に音色の特徴の無さがマイナスに作用してしまった感があります。
アンプとして音質に癖が無いのは本来はプラス要素ですが、この時代には強力な武器となる個性的な音色が必要です。
その意味では、優等生な音質がマイナスに評価されてしまった感は否めません。
30年以上たった今、改めて音質を確認すると本当に素直で嫌みの無い万人受けする音色です。
クラシックからジャズ・ロック、そしてポップスとマルチジャンルのアンプってあまり無いので、こういったアンプは逆に貴重なのです。
サンスイの強固な牙城を崩すことは叶わなかったのですが、80年代のミドルクラスアンプの名作の一つであることは確かです。