2023年6月17日 08:00
サンスイ独自のα-Xバランス増幅回路を初めて採用したサンスイAU-α607(1985年発売、8万円)、この発売によってアンプの戦国時代であるアンプ798戦争が勃発します。
競合他社から続々と戦略的なアンプが798(¥79,800)で発売され出すや、お家芸のα-Xバランス増幅回路をマイナーチューニングして競合他社を引き離すようにサンスイが市場に投入したのがこのAU-α607i(1987年発売、8万円)でした。
サンスイ AU-α607i
α-Xバランス増幅回路が、2年の年月をかけて完璧にチューニングされ、ついに完成に至ったアンプと言っても過言ではないでしょう。
私はこの2世代目の発売を首を長くして待ち続け、発売と同時に即購入しました。
ことアンプに関してはメジャーチェンジした直後の製品ではなく、その2世代目以降のマイナーチューニングされた製品は完成度が高く、音質に関するコストパフォーマンスが極めて高いのです。
サンスイ独自のα-Xバランス回路とは、それまでのプラス信号とアースによるアンバランス型の増幅回路からプラス側とマイナス側をそれぞれ増幅するバランス型の増幅回路で、2つのアンプを1つのアンプとして機能させるBTL接続という原理構成のアンプです。
つまり、左右の2つのチャンネルで4つのモノラルアンプを使っているということになります。
α-Xバランス増幅回路によるプラス側とマイナス側でのスピーカードライブ方式は、サンスイ独自の低音域の厚みに加えて中高音域までも極めてシャープで全体的に硬質でレスポンシビリティが高い切れの良い音質となります。
この音質は、まさにサンスイサウンドの見本そのものです、つまりザ・サンスイサウンドがここに在ります。
このAU-α607iは、サンスイサウンドの中でもキングと呼ぶべき全ての音域に渡り切れがよく極めて音質のバランスが取れた逸品です。
ジャズのライブなどは間近で演奏されているような臨場感であり、特にピアノやサックスの中高域の飛び出すようなリアル感がもの凄く、ボーカルの張り出しはピカイチです。
特に、男性のジャズボーカルは骨太の音の中に繊細な響きも加わり至福の音色です。
それなりのスピーカーなら何を繋いでもサンスイサウンドとなり、一度聴いたら忘れられない音を響かせる、それがサンスイサウンドの最大の魅力なのです。
この後に最新のミドルクラスのアンプを何台も買うも、このAU-α607iを超える私好みの音質のアンプに出会うことはありませんでした。
それほど私個人的には理想とする音色を放ちます。
本来はコレクションではなく、メインでずっと使っていたくなるほどのアンプです。
しかし、そこは後輩に座を譲りコレクションラックに収まり時々愉音を聴かせてくれます。
α-Xバランス増幅回路を持つサンスイAU-αシリーズは、世代別に何台も予備に持っていたいアンプの名機中の名機です。