オールドテクニクスの貴重な音色~テクニクス SU-7700Ⅱ
2023年4月15日 08:00
意外とジャズ向きの音色を奏でるテクニクスアンプ、そのテクニクスがパワーICを使う前の70年代を代表する音色を愉しめるのが、このテクニクスSU-7700Ⅱ(1977年発売、定価5.3万円)です。
当時、高級アンプに採用されたパワーメーターが付いた本格的なプリメインアンプです。
1976年頃からオーディオ道楽まっしぐらの私ですが、サンスイのハイエンドプリ&パワーアンプを購入したのを契機に、気になっていた70年代のアンプを次々と後追いで購入していきました。
多くはショップで美品中古を購入しましたが、中には製造終了から数年経つのに新品在庫が残っている物が意外に多く、発売当時は貧乏学生で手が出せなかった製品の数々が発売当時よりも安価で購入できたことは、今から思えば実にラッキーな時代でした。
テクニクス SU-7700Ⅱ
SU-7700Ⅱは、まだSU-8055などに見られるテクニクス独自のパワーICを使っておらず、ベーシックなカレントミラー回路でのパワートランジスタを使ったディスクリートアンプです。
上面の通気スリットからも縦にずらっと8個並んだパワートランジスタが見る事が出来ます、8個使用という事は言わずもがなデュアルプッシュプル方式であり迫力ある音を醸し出します。
その意味では、70年代最後の貴重なテクニクスのディスクリートアンプと言えます。
DCアンプではないのですが、普及版で周波数レンジを7Hz~40Khzとイマイマのアンプの周波数レンジまで広げているのは立派です。
また、テクニクスのアンプは音質の割に軽量なのが特徴で、このSU-7700Ⅱもディスクリートアンプなのに8.5Kgというライト級で非常に好感できます。
音質はテクニクス独特のメリハリ感が光りますが、SU-8055に見られるような下から突き上げるような低音域やシャープな中高音域がありません。
ただ、中高音域は非常にメリハリがあってジャズピアノやハット系ドラムの響きが綺麗です。
ラウドネスをオンにすると突然低音域が持ちあがってきます、やはり当時はCDのようなシャープな中高音域がレコードでは再生が難しく、あくまでもレコード再生に合わせた音質作りがなされているのだと推測できます。
この後のたった2年でテクニクスのアンプの音質が、SU-8055にみられるように明るく元気な音色にガラッと変化します。
その意味でも黎明期のテクニクスの音質を伝える貴重なアンプなのです。