2023年4月22日 08:00
70年代のオールドサンスイサウンド全開のサンスイAU-6500(1973年発売、6万円)です。
サンスイのアンプだとすぐ解る外見で、当時は「ジャズを聴くアンプってこういうデザイン」という代表的なスタイルです。
サンスイ AU-6500
このAU-6500は、実はつい最近傷や錆の一つもないフルオーバーされた超優良美品を見つけ、発売価格以上の金額で購入したものです。
20個以上ものトランジスタが交換され、ほぼ新品同様に現代に蘇らせてあります。
実は、AU-6500の上位機種に当たるAU-7500は私の初コンポのアンプであり大学時代に使っていました、卒業後に他の機種を買った際に痛恨の判断ミスで下取りに出してしまったのです。
この後悔の念がずっとあり、40年ぶりに下位機種といえども音質が同じアンプと再会し、やっと後悔の呪縛から解放されたのです。
本当に長かった40年、ずっと諦めずに優良美品を探し求めた甲斐がありました。
回路構成はAU-7500と同じで出力だけが10%ダウンの28W、それでいて1万以上の価格差は信じられません。
28Wと言ってもまったく出力不足は感じません、朗々と大型スピーカーから小型ブックシェルフまで難なく鳴らします。
機能的にはAU-7500はバス・ミッド・トレブルの3バンドトーンコントロールですが、AU-6500はバス・トレブルの2バンド、他に大きな違いはありません。
音出しで改めて驚かされたのが、硬く締まった中高音域の張り出しの強さと極めてクールに響くシャープな切れ味の良さです。
これほどクールに響くシャープな切れの良さは、その後のサンスイのアンプにも無く、数多くのプリメインやパワーアンプの音を聞いてきた中でも最高レベルです。
シャープな切れの良さに加えてピアノやドラムの高域の響きが凄くリアルで、サックスやトランペットが今にも飛び出してくるように響き渡ります。
流石に当時は今のようなワイドレンジのCD音源を想定していないので、レコード再生での弱い高音域をできるだけメリハリを持たせようと努力した結果なのでしょう。
それにしても、このシャープな切れ味鋭い中高音域は発売年から考えると到底信じられない極めて硬質な金属質な音色です。
でもキンキンとする耳触りな音色ではなく、何時までも聴いていたくなるほどの中毒質な爽やかな音色なのです。
80年代以降のアンプでは絶対に味わえない何とも言えない音色で、締まるところはピシっと締り響くところは綺麗に響く、何なんだこの音色は?
当時聴いていた音って、こんなにも綺麗な音だったっけ?
まあ、当時はフォステクスのバックロードホーン型のDIYスピーカーで、しかもレコードですから音の違いは明確ですね。
オンキョーD-202AX LTDと合わせてみたら、ピアノやトランペットはその場で演奏しているかのようなリアル生音そのものです。
ただ、残念なのが後に出てくるサンスイアンプ特有の骨太で引き締まった低音が無いというところです。
低音再生に優れたダイヤトーンDS-700ZやオンキョーD-77MRXと合わせてもサンスイ独自のピシッと締まった低音域が出てこない、これは完全にAU-6500の個性でしょう。
まだ、この時代には後に低音キングと呼ばれるサンスイサウンドが完成していなかったのですね。
その意味でもサンスイサウンドの歴史を伝える貴重なアンプです、これがAU-7500だったらどんなに嬉しいか。
AU-6500、極めて美しい中高音域の音色を奏で、オールドサンスイサウンドを現代に伝え残す本当に本当に貴重なアンプです。
チャンネルデバイダーを使いマルチアンプで低音域をAU-αシリーズのアンプとJBL130Dユニットで、中高音域をAU-6500とJBL075ユニットに持たせたらどんな素晴らしい音を奏でるのだろうか?
想像しただけで至福の音が頭の中に響いてきます。
是非、近未来において実現させてみたいものです。