小型高性能セパレートアンプ~テクニクス SU-C01 & SE-C01
2023年3月 4日 08:00
70年代に、その時代とは思えない未来的なデザインの小型高性能セパレートアンプが存在していました。
それがテクニクスのプリアンプであるSU-C01(1979年発売、定価5万円)とパワーアンプであるSE-C01(1979年発売、定価6.5万)のコンビです。
当時の大卒初任給が6万円弱です、外見は小型でも今の価格に直せばセットで45万円ほどとなり決してエントリークラスな製品ではありません。
しかも、今現在アナログプレーヤーの復活ブームとあってかMM/MCフォノイコライザーを装備したミニプリアンプのSU-C01は評価が急上昇中で、美品であれば中古でも7万円という高値を付けているオーディオショップもあってビックリです。
確かに、当時の音を再現できるMM/MCフォノイコライザーだけでも5万円は当たり前の時代です、高性能なプリアンプとなれば当然の価格かもしれません。
テクニクス SU-C01(下)&SE-C01(上)
コンパクトで実にスマートなデザインです!
サイズが恐ろしく小さくて横幅30Cm程度の90年代になり出始めたミニコンポの幅でありながら高さが半分しかない1Uサイズ(ラックマウント方式の最少単位)の4Cmと極薄サイズです、本当に当時としてはものすごく小さく感じたものです。
特にプリアンプのSU-C01はミニサイズながらICを一切使わず本格的なトランジスタによるディスクリート回路で、配線を引きまわさずにシャフトを使って最短距離でパワーアンプなどと接続できる仕様など極めて手の込んだ作りです。
サイズ的にもMCフォノイコライザー付きのプリ・プリアンプ(一旦プリアンプを経由してメインのプリアンプのLine入力に直結して使うプリアンプ)として、あえて近年になり中古で購入した人も多いのではないでしょうか。
私はそういった使い方よりももったいない使い方ですが音質向上用のプリアンプ兼パワーアンプの入力セレクター&アッテネーターとして使っていた時期があります。
小型軽量で音色はテクニクスらしい明るいトーンで輪郭がくっきりする感じで結構気に入っています、クオードやリンなどのヨーロッパ高級ブランドのパワーアンプとの相性もばっちりです。
パワーアンプのSE-C01は、熱の出るパワーアンプでありながら後部に僅かなスリットしか設けていません、これは放熱フィンをケースのバックサイドに出してケース内に熱が籠るのを防いでいるのです。
両機とも、既に製造から50年経っていますが接点不良等どこもおかしなところがありません。
ケース自体がアルミダイキャストで隙間が全くありませんから、埃や排気ガスなどの影響から守れたのでしょう。
肝心の音ですが明るいクリアな音色ですがパワー感も在ります、あえて70年代のFMチューナーでも試してみたのですが、SE-C01単独よりもSU-C01を入れた方がシャープな響きになります。
やはり、SE-C01単独で使用するよりも、SU-C01とペアで使用するのがベストでしょう。
プリアンプのSU-C01は音色の癖が無いのでどんなパワーアンプとも合わせられる万能プリアンプだと思います、70年代の音を手軽に愉しむ意味でもセパレートプリアンプとしては極めて貴重な存在です。