2023年5月16日 07:00
陰陽思想を理解すると、世の中の事象が陰陽思想どおりに形成されていることが解ります。
その一つにモノアミン系脳内ホルモンがあります。
このモノアミン系脳内ホルモンと、「人の行動」及び「心の病気」との研究がかなり進んできています。
モノアミン系脳内ホルモンとは、正式には「モノアミン神経伝達物質」のことであり「ドーパミン」、「ノルアドレナリン」、「セロトニン」の3つの脳内ホルモンの総称です。
近年、うつ病の治療にセロトニンの投与が有効なことからこれらの心の病気はモノアミン系脳内ホルモンの機能障害と疑われていますが、正確な検証はいまだ確立されていません。
モノアミン系脳内ホルモンは、脳細胞同士を結合し記憶や思考を行うための脳細胞の結合機関であるシナプス間での伝達物質であり、この量と変化によって感情や思考などに変化が現れることが解っています。
それぞれの脳内ホルモンがどのような感情や思考に関係するのでしょうか?
まず、ドーパミンは特に快楽や意欲など「興奮」に関する伝達に関与し、ドーパミンが多い人は何時も元気で明るく、冒険やギャンブル大好きな性格となります、多少のリスクなら自ら楽しむ快楽主義者ともいえます。
これに対して不足な人は顔の表情が乏しく何時も暗くマイナス思考になりがちです、また運動など体を動かすことを嫌がります。
対して、ノルアドレナリンは不安や恐怖、嫌悪など「不快感」に関する伝達に関与し、生命に危険な情報を得ると身体の各所に危険信号を発信する機能を持ちます、冷や汗や心拍を速めて危険から直ぐに逃げ出せる用意を促すのです。
ノルアドレナリンが多い人は、危険情報に対して敏感に身体が機能し、少ない人は鈍感といえます。
先述の2つの脳内ホルモンに対してセロトニンは「興奮」の伝達物質ドーパミンと「不快感」の伝達物質ノルアドレナリンの量を調整する前出の2つの脳内ホルモンとは異なる機能を持った脳内ホルモンで、出すぎたドーパミンやノルアドレナリンの回収を行います。
これは精神的な興奮を落ち着かせたり、不快感を解消させるのに機能します。
したがってセロトニンの量が少ないとこれらの機能が不十分となることから、心の病気に最も関与する脳内ホルモンと言えるのかもしれません。
また、正常心の時はセロトニンの分泌量が正常であり、ドーパミンとノルアドレナリンは夜に多く分泌し、セロトニンは昼に多く分泌します。
夜考え事で眠れないとか不安に陥るというのがこれらで証明できます。
一方で近年の研究では、昔の人に比べて現代の人のセロトニンの分泌量が著しく低下していると言う報告もあります。
それは、食べ物や空気の質などの急激な生活環境変化が問われており、それらの影響によってセロトニンの分泌にも反映されているようです。
現代社会におけるいろいろな社会問題、多くがこれらのモノアミン系脳内ホルモンとの関連性があるのかもしれません。
「切れやすい」、「引きこもり」、「自分中心の思考」、「無責任」、正しい食生活など健全なる生活習慣がDNAに組み込まれた本能的に人間には必要なのではないでしょうか。
また正確には判っていないのですが、人を好きになる、信用する、信頼するなどの愛情的や好感的な思考ではドーパミンが不可欠なのですが、同時にノルアドレナリンも重要な働きをするようです。
ドーパミンの「興奮」に加えてノルアドレナリンの「不快感」、この一見正反対に作用する脳内ホルモン、更にそれを抑えるセロトニンの微妙なバランスによって愛情や好感度がより継続した強固なものになるようです。
陰陽思想でこれらを考えると、陽=「ドーパミン」、陰=「ノルアドレナリン」、そして「セロトニン」はこのどちらにも偏らない中庸ということが理解できると、これらのモノアミン系脳内ホルモンの働きがより明確に理解できるようになります。