2026年1月 4日 10:00
事業計画書(9)
事業内容 財務諸表
本記事は中小企業向けに「基本形の事業計画書」の概要を説明するものです。 これまで私自身が代表に教えていただいたことをまとめています。 事業計画書には出資を募る目論見書、共同事業の提案書、補助金申請に付す計画書など複数のタイプがありますが、ここでは初めて作成する方に向けて共通する考え方と構成の骨子を示します。
事業計画書で最後に避けて通れないのが数字の説明です。 数字は単に「売上はいくら、利益はいくら」と結論だけを書くことではありません。 販売計画で立てた前提を基準にし「なぜその売上になるのか」を根拠をもって示し、その結果として会社の利益と資金繰りがどう推移するのかを説明します。 この数字は計画全体が現実に回るかどうかを判断するための材料です。
複数年度の事業計画では財務三表がそれぞれ違う役割を持ちます。 損益計算書(PL)は事業がどうやって儲けを生むかを表します。 販売計画で見立てた顧客数、単価、成約率、継続率などの前提を売上に落とし込み、そこから原価や人件費、販管費を積み上げ、利益がどのように生まれるのかを示します。 単年度だけでは成長の道筋が見えにくいため基本形としては三年から五年程度の複数年度で作成し、どの時点で単年度黒字化するのか、どの費用が増えるのかを説明できる形にします。 近年は外部資金を使う計画では三年程度で単年度黒字化の見通しを求められる場面も多く黒字化の時期を曖昧にしないことが重要です。
貸借対照表(BS)はある時点で会社が何を持ち、何を背負い、資本がどれだけあるかを示します。 本来は非常に重要な表ですが、実務では計画の骨子を示す段階ではBSを簡略化し、後述するキャッシュフロー計画と整合が取れる範囲で扱うことも少なくありません。
そして複数年度計画で最も重視されるのがキャッシュフロー(CF)です。 利益が出ていても現金が尽きれば事業は止まります。 逆に赤字でも手元資金が確保できていれば次の打ち手を打てます。 CFでは売上がいつ入金されるか、費用がいつ支払われるか、設備投資や開発投資でどのタイミングに現金が出ていくかを扱います。 さらに出資(増資)や借入、返済といった資金調達の動きもここに入ります。 実務で作るCFには、期首の現金残高、当期の増減、期末の現金残高が明示され翌期へ繰り越されていきます。 「この計画は資金ショートせずに回るのか」「どの時点で追加の資金が必要になるのか」がはっきり提示します。
もう一つ、計画の説得力を上げる指標として損益分岐点があります。 固定費と変動費の構造から「売上がどの水準を超えると黒字になるのか」を示すものです。損益分岐点は単に黒字赤字を判定するためではなく、どれだけ売上が落ちても耐えられるか、逆にどこまで売上を積めば利益が出るかという事業の耐久力を測れます。 売上計画と費用計画が結び付いているかを確認する意味でも有効です。
基本形として押さえるべきことは単純で、販売計画で置いた前提から売上を根拠をもって導き、その売上を複数年度のPLに落とし込み、さらに資金の流れとしてCFで追いかけることです。 事業計画書は根拠のある前提から数字を組み立て、計画が現実に回ることを説明するための資料となります。