2025年12月28日 10:00
事業計画書(8)
事業内容 販売計画
本記事は中小企業向けに「基本形の事業計画書」の概要を説明するものです。 これまで私自身が代表に教えていただいたことをまとめています。 事業計画書には出資を募る目論見書、共同事業の提案書、補助金申請に付す計画書など複数のタイプがありますが、ここでは初めて作成する方に向けて共通する考え方と構成の骨子を示します。
販売計画は後に続く損益計画(PL)の売上を「説明できる数字」にするためのパートです。 PLに金額だけが書かれていてもそれがどの事業セグメントの「誰に、何を、いくらで、どれだけ売る」前提なのかが見えなければ数字は願望として扱われます。 したがって販売計画ではセグメントごとに売上の算出式を示し、その式を構成する前提条件と根拠を添えることが必要です。
ただし現実には、特に初期段階の計画ほど「数量、単価、成約率、継続率」などの多くが想定になります。 重要なのは想定を避けることではなく、確定している材料と想定部分を切り分け、想定には妥当性の理由を与えることです。 既存契約や発注見込み、過去実績、具体的な引合い、顧客ヒアリングなど、根拠として提示できる材料は明確に書きます。 一方で材料が不足する部分は、類似事例、テスト販売やPoCの結果、営業の状況などから仮説を記載し、なぜその数値になるのかを購買プロセスや導入障壁、意思決定構造などとと結び付けて説明できれば良いです。 読み手が知りたいのは当たるか外れるか以前に、数字がどう組み立てられ、どこが想定なのかということです。
そのためには売上を分解して示すのが有効です。 対象顧客数、成約率、平均単価、継続率といった変数に分け、売上がそれらの掛け算として表せる形にしておけば読み手は前提を見て検算できますし「どの変数が過大なのか」「どこを改善すべきか」も検討できます。 想定が多い場合でも式と前提が見えるだけで計画は十分検討可能な形になります。
また販売計画では商流の想定を必ず置きます。直販か代理店かといった販売体制に留まらず、誰が支払者で誰が契約主体で誰が請求し入金はいつ回収され粗利はどこに残るのかまで明確にすると説得力が増します。 すべてを確定できないとしても、現時点での想定を書き、その想定を採る理由と想定が変わった場合に影響を受ける項目を示すと、読み手は前提の妥当性を判断できます。
販売計画は長文で語る場所ではありません。 1~2枚程度に、セグメント別の算出式、前提条件、根拠、商流の想定を簡潔に並べ、後段の財務計画へ橋をかけることが目的です。 完璧な未来予測ではなく現時点の材料から無理なく組み立てられた計算と仮説の置き方のルールが読み手の信頼を作ります。 そうして初めて事業計画書の中で最も重要な売上計画が信頼に足る形になり、以降の財務計画も意味を持ちます。