2026年2月 9日 10:00
現在、サイバーセキュリティにおいて最も警戒すべき変化はAIの利用をめぐるサイバーリスクです。 2026年のIPA「情報セキュリティ10大脅威」において本テーマが初めて選出された背景には、AIが単なる対話相手から実務を代行するAIエージェントへと進化したことがあります。 これにより攻撃の標的は情報の窃取だけでなく、AIが持つ操作権限の奪取へと変遷しています。
特に懸念されるのがプロンプトインジェクションという手法です。 これはAIに対して悪意ある指示を読み込ませ、本来の制御を乗っ取る攻撃を指します。 例えばドキュメント内に背景色と同化した隠しテキストで命令を仕込み、AIがそれを処理した瞬間に機密情報を外部へ送信させるような自律型の攻撃が行われます。 従来のセキュリティ対策は不正な実行ファイルの検知を主眼としていたため、正規のAIプロセスを悪用するこうした攻撃の検知は極めて困難です。
今後、AIエージェントによる実務の自動化はさらに加速します。 我々はAIに与える権限の範囲を厳格に定義し、利便性と安全性のバランスを再構築しなければなりません。 AIを安全に運用するためには技術的な対策に頼り切るのではなく、重要プロセスの人間による承認など運用ルールそのものを現代の脅威に合わせてアップデートすることが急務となっています。
