2026年2月23日 10:00
ISO/IEC 42001(AIマネジメントシステム)は、組織がAIを責任持って扱うための国際的な枠組みです。 この規格においてデータの完全性や真正性は極めて重要な要素ですが、それらは単独で存在するのではなく、機密性、可用性、そしてAI特有の指標である透明性や公平性と深く結びついています。
データの真正性と完全性についてはAIの学習プロセスにおいて「そのデータが信頼できるソースから来た本物か」および「意図していない改ざんや欠損がないか」を厳密に管理することが求められます。 これはデータポイズニングのようなAIの判断能力を根本から狂わせる攻撃を防ぐために不可欠なプロセスです。
この規格がカバーする範囲はそれだけではなく、AIシステム衝撃アセスメントというプロセスを通じてそのAIが社会や個人に与える潜在的な影響を評価することが義務付けられています。 ここではAIの判断プロセスを人間が理解できる形で示す「説明可能性」や、特定の属性に対して不当な差別を行わない「公平性」の確保が強く意識されています。
また従来のISO/IEC 27001のようなISMS(Information Security Management System 情報セキュリティマネジメントシステム)でも重視される機密性や可用性もAIの文脈で記載されています。 例えば学習データに含まれる個人情報がモデルの出力から逆算して漏洩することを防ぐ対策や、システムが予期せぬ入力によって停止しないための堅牢性の確保などが含まれます。
ISO/IEC 42001の本質は、データの質からモデルの挙動、そして運用による社会的な影響まで、AIのライフサイクル全体を一貫した管理体制の下に置くことにあります。 技術的なセキュリティ対策に加えて倫理的な配慮や法的遵守を組織のマネジメントサイクルに組み込むことで、初めて「責任あるAI」の実現が可能になります。
