2026年1月 5日 10:00
2025年12月23日に閣議決定された「人工知能基本計画」は、生成AIを筆頭に「AIエージェント」「フィジカルAI」などの新技術が進展する中で日本が出遅れている現状を踏まえ、AIの利活用と研究開発を一体で加速させて国家としての「反転攻勢」に出るための基本計画となっています。 世界では日々身近な形でAI利活用が進み産業競争力や安全保障に直結する「総力戦」になっている一方、日本では生活や仕事での積極的利活用が進まず実装が進んでいないこと自体が日本のAI開発上の大きな障害になっているという問題意識が計画の出発点にあります。
計画が掲げる国家目標は「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」を目指すことで、その実現の鍵として「信頼できるAI」を軸に置きます。 日本が現実社会で積み上げてきた「信頼性」という価値をAIでも再現することに重点を置き、さまざまな現場で課題にAIを積極適用し経験をデータとして集積し組織を越えて共有することで「信頼できるAI」を創るという筋書きです。 そして「AIを使ってみる」という機運を高め、「利活用」から「開発」へのサイクルを回すことを徹底すると明記しています。
その上で政策運営の土台として「3原則」を置きます。すなわち「イノベーション促進とリスク対応の両立」を徹底すること、PDCAを循環させ変化に即応する「アジャイルな対応」を志向すること、国内政策と対外政策を有機的に組み合わせる「内外一体での政策推進」を行うことです。 これを具体化する方向として「4つの基本的な方針」を示し、第一に「AI利活用の加速的推進(AIを使う)」として、適切なリスク対応を行いながら社会全体で世界最先端のAIを積極的に利活用し、データの集積・利活用、特に組織を越えたデータ共有を促進してAIの徹底した利活用と性能向上につなげるとしています。 第二に「AI開発力の戦略的強化(AIを創る)」、第三に「AIガバナンスの主導」、第四に「AI社会に向けた継続的変革」を掲げ、利活用・開発・ガバナンス・社会変革を一体で進める全体像を示します。
また計画はリスクへの対応も同時に強調します。 誤判断やハルシネーション等の技術的リスクだけでなく、差別や偏見の助長、犯罪への利用、過度な依存、プライバシーや著作権等の侵害、環境負荷、偽・誤情報の拡散、雇用・経済不安、サイバー攻撃等の安全保障上のリスクまで拡大しているとして、変動するリスクを適時適切に把握し、透明性・公平性・安全性等の適正性を確保して国民の不安を払拭しながら、安全・安心で「信頼できるAI」を体現していくことが不可欠だと整理しています。 そしてこの国家目標の実現に資する戦略として、AI法(令和7年法律第53号)第18条第1項に基づく「人工知能基本計画」を策定し、政府は計画内容を着実に推進すると結んでいます。
