2023年6月 5日 07:00
バブル経済期に「デジタルデバイド」という言葉が世を席巻しました、これは「IT機器を使いこなせる人とそうでない人とが仕事や生活などにおいて大きな格差がでてくる」という警鐘とも思える言葉でした。
その警鐘も空しく本当にここ最近明らかに「デジタルデバイド時代」が到来しています、その背景にあるのは携帯電話の高性能化(スマートフォン)と全年齢層への急速な普及であることは容易に想像できます。
今やメールだけではなくPCブラウザを搭載しているためパソコン用のサイトなどにも自由にアクセスできるようになっており、これが「パソコン不要論者」を増やしていると言えます。
しかしパソコン不要論者には大きな勘違いがあります、それはパソコンとスマートフォンは基本的に異なるITツールだということです。
確かにスマートフォンでパソコンの代理はある程度務まりますが、例えば経営やビジネスに使用するには限界があります。
今や特許や商標・会計書類・役所の管理書類などは全てが電子化されており、パソコンからポータルサイトを利用して世界中で閲覧や取り寄せができるようになっています。
これらはスマートフォンで見ることは何とかできても基本フォーマットをダウンロードして書類の作成や修正にはパソコンのように他のアプリとの連動も含めて簡単且つスピーディーには行えません。
つまりスマートフォンを操作できても企業に就職すればゼロからパソコンを覚えるしかありません、この状況を反映してなのか、それともパソコン不要論者が就職を目前に自分に降りかかる事実を認識してなのか、今更ながらパソコン教室は静かなブームとなっています。
少し前のパソコン教室はパソコン時代についていけないオジサン社員達でした、しかし今のパソコン教室は就職を目前にした20代前後の若者で溢れ返っていると言います。
昔は「商売を始めたら嫌でもソロバンを覚えるしかない」と言われました、今は「商売を始めたら嫌でもパソコンを使いこなせなくてはならない」という時代になったようです。
私のクライアントの経営者は40代にも関わらずパソコンが使えないのです、FAXや郵送での契約書の確認や書類のやり取りをしていますが必ず電話での確認も含め多くの時間を要します、更に一つの事項に10倍以上の時間がかかってしまいます。
「パソコンが使えない」、これだけで大きなビジネスの機会ロスに繋がってしまいます、ビジネスするならパソコンでメールとワープロだけでも使えこなせるようにしていただきたいものです。
こういった社会状況をビジネスに取り入れるのがIT思考というものです、少なくても生年月日などの数字入力は可能な限りタッチだけで選択式によって入力できるようにUI設計してもらいたいと思います。
「自分ができるから他者ができるとは限らない」、マーケットに受け入れられなければどんな技術も実らないことを知ることです。