
既に10年以上も前になりますが、ホームシアターでの複雑なスピーカーの音量調整や音質調整をサラウンドモード毎に自動で設定するオートマチック設定機能付きAVアンプが誕生しています、現在では7.1Ch以上のAVアンプのほとんどがオートマチック設定機能が付いています。
このオートマチック設定機能は専用のマイクをAVアンプに接続して、このマイクを視聴位置に置いて自動設定モードにすると各チャンネルから音を出しながら調整を自動で行ってくれます。
AVアンプの各チャンネルの音量バランスから音質などの設定は意外と面倒で、視聴しながら少しづつ微調整を行い最終的にこの状態がベストという設定を得るのに数日かかることもあります。
また一度安定してもセンタースピーカーやサラウンドスピーカーなどをグレードアップした場合には1から全てやり直しとなります、更には面倒な調整をサラウンドモード別に行うのですから、何も気にせずじっくりとホームシアターを愉しむ為には避けて通れない面倒な手順だと思います。
こういった面倒な調整に嫌気を指してAVアンプを嫌い手軽にサラウンドを楽しめるサウンドバーに移行する人もいます、こういったユーザー泣かせの面倒な手順をできるだけ簡単に行ってくれるのが先のオートマリック設定機能ということです。
ただ、各スピーカーを同じシリーズで揃えている場合は良いのですが、自分の好みでアレンジしてスピーカーを接続している場合はこの自動設定モードは不要な長物のように感じることがあります。
何故なら自動設定のバランスが自分好みではない場合が多いからです、私の場合はこの気付きがあって以来全ての調整をマニュアルで設定するようになりました。
フロントとセンターをまずベストにマッチングさせれば合わせるようにサラウンドを設定すればよく、慣れてくると全てマニュアルでやった方がソースに合わせて自分の好みの臨場感を即座に創出できるのでむしろ都合が良いのです。
音楽や映像のソースは供給元によって、また時代によって驚くほどにバラバラです、であればそのソースを試聴しながら調整するほうがソースに入っている音を最大限に引き出せるのです。
車も私は断然マニュアル派です、加速感が得られないオートマチックはどうも運転してる感が少なく好きになれません。
同じようにホームシアターも面倒でも自分好みの音質へのグレードアップ感が得られるマニュアルが好きなのです、何でも他者にやってもらうことがあまり好きではないのかもしれません、全てを自分でやるのが私的だと思うのです。

みなさんはオーディオのブランドをあげてみて下さいと言われたときに、名前をあげるトップ3ブランドは何でしょう?
私の世代の人であればスピーカーでは圧倒的にJBL・タンノイ・アルテック・ダイヤトーンなどで、アンプで言えばマッキントッシュ・マランツ・アキュフェーズ・ラックスマンなどではないかと思うのです。
ところが若い人に聞くとBOSE・ソニー・パナソニック・パイオニアなどの名前があがります、時代が変わるとその時代に代表されるブランドも変わってくるのだなと実に興味深いです。
ところで国が変わるとこれも面白い結果となります、例えば現在ヨーロッパで日本のオーディオメーカーをあげてもらうと、日本ではあまり名前があがらないオンキョーやヤマハの名前があがってきます。
アメリカではティアックやナカミチなどです、昔のテープデッキ時代に世界を一斉風靡した日本のオーディオブランドがいまだにあがるのです。
またアメリカでのオーディオマニアへのアンケートで最も名前があがったブランドはB&O(バングアンドオルフセン)というデンマークのオーディオメーカーで、2位はアメリカのBOSE、なんと3位は日本のナカミチだったのです。
現在ではアメリカにおいて最もブランド力を誇るのはクリプシュやBOSEであり、JBLやマッキントッシュは過去のメーカーになってしまった感があります。
また日本のメーカーなのに日本ではあまり人気がなく海外では大人気を博しているのがオンキョーやケンウッドです、東南アジアではソニーがいまだに根強いです、日本では見かけない海外バージョンの製品が至る所で見ることができます。
時代や国が変わればブランドも変わる、その時代や地域に根付く価値観とは本当に面白いです、何故そのブランドなのか、時代とその地域の文化と合わせて考えると納得する答えが見えてくるのです。

バブル景気まっただ中の80年代中盤頃から、友人と時々ジャズライブを聴きに行っていました。
当時は新宿や銀座・六本木など至る所にジャズやロックのライブハウスがあり、飲んだり食べたり居酒屋同然に気楽に楽しめて、飲食代にプラス2000円程度で生演奏が聴けるのですから当然何時行っても満員でした。
そんなライブハウスで使われているオーディオセットは、当然のこと業務用のPAオーディオです。
その音たるものは「何なんだこれ!」ものの迫力ある爆音で、正直ハイファイオーディオのSN比(ノイズ特性)とか周波数レンジだとかどうでもよくなってしまいます。
重低音は足元からビリビリと身体で感じて、中高音域は皮膚を通して身体を貫くほどに鋭く刺さります。
それでいてまったくうるさく感じず、友人との話し声もしっかりと聞こえるのです。
そんなPAオーディオの音を聴いては、PAスピーカーやPAパワーアンプなどを買って家でもミニライブハウスもどきで愉しんだものです。
バブルの頃には照明にも凝って、ライブハウスのようなスポットライトを幾つも付けてライブ録音のCDをビールを飲みながら週末には朝方までドンシャリ音で聴いていたものです。
業務用のPAオーディオは野外でも使う事を想定していますから、埃や水滴が付いても壊れないような構造をしています、また多少乱暴に扱ってもびくともしません。
それでいて、ハイファイオーディオと同程度のスペックなら価格は半額程度です。
ジャズやロックファンなら、下手なハイファイオーディオを見栄で買うよりもPAオーディオ製品を素直に買った方が思いっきりライブ感を愉しめるのではないかとさえ思います。
「低音が・・」とか「高音が・・」とか見え透いた話しではありません、そんなもの出て当たり前で全音域がバリバリに張り出してないとPAとは言えないのですから。
今現在でも当時のPAオーディオの製品の幾つかが手元に残っています、先日久しぶりに音出ししてみました、やはり音の張り出しはハイファイオーディオの比ではありません、ちなみにこのときはCDプレーヤーをPAパワーアンプにダイレクトに繋いで中型PAスピーカーで試聴しました。
10年ぶりのライブ感に包まれて、正直な話しもう一度当時のホームライブハウスを拡大させて再現してみたくなりました。
小型や中型のPAスピーカーではなく、大型の本格的なライブハウスで使うPAスピーカーをメインに使ってパッシブタイプのバカでかいサブウーハーを専用パワーアンプで繋ぎ、身体で感じる爆音ホームシアターやホームカラオケを是非近未来に実現させたいと思います。

近年のオーディオ界にもデジタル化の波が押し寄せています。
オーディオと言えば昔からアナログの世界です、何故なら音という世界はアナログな存在ですから最終的にはアナログでしか音を聴くことはできないからです。
それでも、最終段までオールデジタルというデジタルアンプやデジタル音源が氾濫するようになっています。
そこでそういった機器類の多くはリモコンで操作する機器が増えており、リモコンが壊れると本体だけでは何もできない機種も多くなりました。
特にホームシアターで活躍するブルーレイプレーヤーやHDDレコーダーなどは、今では操作の全てがリモコンによるものになっています。
ここで何が問題かというとリモコンが壊れてしまった時です、勿論新しいリモコンを買えば良いのですがリモコンの価格がけっこう高いのです、更に古い機種になると既に製造中止のものまであります。
そこで自分で修理しようと試みても100%修理不可能です、最近のリモコンは修理することを前提に製造されていませんし、防水処置で電池交換の蓋以外は開かないように密閉されているものが殆どです。
また、仮に分解できたとしても昔のようにボタンが付いているわけではなく、薄い表面皮膜がスイッチの代わりをしているので接点を磨くくらいしかできないのです。
多くのリモコンの故障は、内部にあるマイコン自体もしくは周辺ICの故障であり圧着製造なので交換すらできません、また交換用部品も手に入りません。
こういったトラブルを解消する方法は、購入の際に価格は高くても名の通ったブランド品を購入するというのが一番です。
何故なら、名の通ったブランドであればかなり古くてもその機種を操作可能な純正リモコンやそのリモコンが既に生産中止になっていてもアップグレードの代替え品が必ず存在しているからです。
更に、数社のブランド製品を一台で操作可能なマルチリモコンという製品がありますが、マルチリモコンも名の通ったブランドが対象となっています。
マルチリモコンは専業のメーカーが存在しており、純正品に対して半額ほどの価格で新品が購入可能です。
つい価格が安いので無名の機種を買ってしまうと、リモコンが壊れたとリモコンを探すも中古で1万円以上もするものを購入するしかないという悲劇が後々生まれるわけです。
こういった意味からも、リモコンで操作するオーディオやホームオーディオ機器は必ず日本製の名の通ったブランド品を購入する事をお薦めします。

近年ネット上に何かと話題を振りまいている日本で設立されたオーディオメーカーがあります、地方都市の畑に囲まれたガレージのような工場で製造される純国産のオーディオメーカーですが、その製品が悪い意味で話題となっているのです。
その理由はケースを開けたらすぐ解ります、ケースの中はスカスカで小さな基板とスイッチ類や可変抵抗が縦横無尽に引き延ばしたケーブルで接続されています。
フロントパネルに可変抵抗がナットで直接取りつけていて基盤が宙に浮いています、トランスや使用している部品はDIYオーディオ必達の極普及品の安価なものばかり、それでいて信じられない定価なのです。
ほとんどの製品が10万円を超えセパレートアンプではセットで20万円以上します、ざっくりとマニアが公開している写真で部品価格を出すとどう見ても数千円です。
開発コストや製造コストを考えても2万円がせいぜいでしょう、2万円といえばケンブリッジオーディオの日本限定販売のアンプが買える価格です、製品だけの価値から言えば日本一コストパフォーマンスが悪い製品群だと思います。
それでも買う人がいるのだから経営が成り立つのでしょう、なんと10年以上継続しているのですから。
それで問題ですが10万円以上の定価が付いているにも関わらず自社ネット販売では30%程度の価格で売っているのです。
これを見た人はメーカー直販なので在庫処分か何かで訳が有り安いのだと思うでしょう、そして高価なものを安価に手に入れたと大喜びする人もいるでしょう。
また、メーカーサイトには代表の顔入りでコメントが載せられています、こういった事実や私なりの検証をした結果、正直もの凄い怒りと悲しみが沸き起こります。
詐欺とは言わないまでも未来のオーディオファンを泣かせることはしないでほしいです、オーディオ製品は確かに物の価値ではありませんし音の価値です。
音が良ければ1万円の商品を100万円で売ったとしても何も法律的な問題にはなりません、とは言え物事には限度というものがあります、限度を超えたビジネスは既にビジネスではありません、そして世間から支持されない企業は何れ淘汰されると思います。