2024年3月 8日 07:00
デジタルオーディオ全盛期にあって、近年ではカセットテープやレコードプレーヤーに加えて真空管アンプの復活と何故かアナログに再度スポットが向けられるようになってきました。
歴史は繰り返すと言いますが、このアナログ全盛期であるオーディオ機器の復活は誰も想像もできなかったと思います。
まさかのカセットデッキやレコードプレーヤーの復活です、私は大いに喜びましたが残念なのはデジタル時代に乗り遅れたサンスイです。
こんなアナログの復活があると予測出来ていたら、何としても生き残りを図ったに違いありません。
さて、そんな中で面白いのがデジタル全盛時代になってからの真空管アンプ専業メーカーの登場です、まさかのこの時代に真空管アンプの専業メーカーです、これも本当に驚きました。
日本では高級ハイエンドのラックスマンが昔から真空管アンプでは定評がありますが、トライオードを筆頭に日本では5社ほど1990年以降に設立されています。
また、中国系の真空管アンプ専業メーカーも無名メーカーを数えると20社を越えるのではないかと思えるほどに乱立状態になっています。
さて真空管とは元々無線設備用に考えだされた増幅素子でした、1900年に入ると音声を高周波の電波に乗せて送信する送信管や、電波を受信して音声に変える低周波増幅管など多数の真空管が生まれました。
この多くのニーズが民生用ではなく、軍需によるものだということは言うまでもありません。
この中で受信装置の音声に変換された後に増幅してスピーカーから音声を出す低周波増幅管が民生用のラジオなどに使われ、その後オーディオアンプの増幅管として用いられるようになりました、つまりオーディオの歴史の第一歩はラジオだったのです。
そんな歴史ある真空管の中でも音質が良いとされる名機が幾つも在ります、2A3・KT-88・300B・6L6GC・6BQ5などは特に神真空管と称され、改良版やセカンド型式(若干仕様が異なるが差し替えできる同等品)も含めて相当なシェアを占めます。
また、同じ品版でも名称が日本・アメリカ・ロシア・ヨーロッパ各国のメーカーによって異なります、真空管マニアはそういう情報を得て特性が若干違っても交換可能な真空管を変えては音質の違いを愉しむのです。
また、デジタル全盛期に合わせて新たに作られた真空管もあります、ラックスマンはそういった新時代の真空管を使ったアンプも出していました、私もSQ-38FDⅡやA3500などのラックスマンの真空管アンプで愉しんでいた時期もあります。
「真空管アンプの音は温かい」、そんな印象を持つ人は少なくないのですが一度でも本格的な真空管アンプを聴いた人はそんな言葉は出てきません。
低音域は確かに硬質な切れ味はないけれどまったりとした音質は真空管独特のものです、これはこれで大いに愉しめる音色だと思います。
また中高音域は響き方が独特で心地良いシャープな音色です、デジタルアンプの方がむしろマイルドな音色だと思えるでしょう。
これは真空管特有の倍音歪が1Khz辺りから乗ることに起因しており、特に人の声に何とも言えない生音のような艶っぽさがでます。
レコードプレーヤーで、昭和のアナログ全開の音を気分良く愉しみたい人には愉音に感じることは間違いなしだと思います。