2024年3月 4日 07:00
昔からオーディオ製品のジャンク(修理不可能な破損品)が高値で取引されています、他の電機製品では考えられないことなのですが、これにはどんな理由が存在しているのでしょうか?
その理由はオーディオ道楽をやっているとすぐにも解るようになります、第一の理由はアンプのつまみやスイッチ類の交換用の部品取りとしての価値です。
自分の大事にしていたアンプのつまみやスイッチが引っ越しなどで取れてしまって、しかもそれが紛失したともなると機械そのものは動いているのに操作できないことになります。
また当て傷などによってコネクタ類が破損することもあります、修理に出すと送料も含めて最低でも2~3万円以上かかってしまいます、70年代や80年代のビンテージモノなら代替え部品が有りませんから更に倍額は覚悟しなければなりません。
ジャンクで同じシリーズの製品を買ってくれば自分で治すことによって数千円で済むわけです、電子工作好きな人であれば同じシリーズの部品を使って古くなった部分の部品を交換し自分でオーバーホールすることもできます。
第二の理由は、真空管などのビンテージアンプは骨董価値として高値で取引されています。
オーディオメーカーのメンテナンスを行っている人や定年退社した人が、ジャンクを買ってきては程度の良いものをベースに幾つかのジャンク品から部品を集めてフルオーバーホールしてからネットのオークションに出品しお小遣い稼ぎを行っているのです。
つまり、そういうサイドビジネスをやっている人の収入の為の部材仕入れとしての価値があります。
第三の理由は、第二の理由と同じようにアジアの多くの国では日本のオーディオ製品は中古でも相当高値で取引されます、海外に輸出して修理し中古販売するための仕入れ品としての価値です。
ハイエンドのアンプなら壊れていても結構な価格で取引されているオーディオのジャンク市場、ニーズがあるから供給する側もビジネスになるのです。
ハイエンド品だとつまみ一個が1万円以上の高値が付いていますから、バラして個別に売るビジネスも存在しています。
またビンテージアンプのつまみをコレクションしている人もいます、蝶の標本のように綺麗な飾りケースに入れて部屋いっぱいにコレクションとして飾っています。
このようにオーディオのジャンク品は世界中で多くの人の生活の糧になっているのです、他の電気製品では考えられないオーディオの裏の世界がここにあるのです。
この事実を知ったら、どんなに欲しかったオーディオ製品でもネットオークションでは絶対に買わないようになるかもしれません。
何故ならネットオークションには某アジアの国でジャンクから再生された質の悪い逆輸入品と思われるものが多数見受けられます、解る人には載っている写真のあるポイントを見れば一目で解るのです。
こういった再生品はフェークカーの如しで見た目は純正品と同じですが音質はまるで別物です、当然のこと使っている部品が違うのですから外見は同じでも中身が違うのです。
中古しか手に入らないビンテージの製品が欲しい場合は、高くてもしっかりしたオーディオ専門店でメンテナンスが施され動作確認や中身がチェックされたショップの保証付きのものを確実に買うようにしましょう。
ショップの保証が付いたものは使わなくなった時には高値で引き取ってくれます、そうでないものは引き取ってくれません。
どんな道楽を行おうが「安物買いの銭失い」にならないように注意が必要です、高額な物にはそれなりの価値があるから高いのです。
そして手放す時も高額で引き取ってくれる、経済法則と同様に道楽事でもお金のトレンドは低いところから高いところに流れるようです。