昔から私の道楽事に法則性があるとすれば、それは思い付いたら既に行動しているということです。
「多肉植物」も将来どうするのかなどという気持ちは微塵もなく、気が付いたら大量に購入して育てていたというのが事実です。
梅雨明け間際に毎日のように大きくなった多肉植物を一回り大きな鉢に植え替えたり、観賞用のガラス容器に寄せ植えして愉しんだりして気分転換にもなっているようです、さながら休日は伸びすぎた茎の剪定や枯れた葉の手入れに植え替えとあっという間に多肉植物のお付き合いで半日が終わってしまいます。
多肉植物で昔から知られているのは「カネノナルキ」や「アロエ」です、これらも確かに多肉植物の仲間ですが私が好きなのはサボテンから進化の過程にある原始的な種で、形状や自己主張する多様性が何とも言えない妙味があります。
食ビジネスのラボのベランダやラボ内に40種を超える多肉植物が所狭しと置かれています、最近では葉や茎の一部からバイオ研究所のように器具を使って成長点の核を取り出しガラスの器の中でクローンを幾つも誕生させては育てるのが面白くて飽きません。
最初は虫眼鏡でやっと見えるような小さな命、小さいながらも親と同じ形をしているのが何とも不思議な愛らしい感覚です。
多肉植物は現在日本で簡単に手に入るものだけで約200種、全世界には2000種を超える種が存在していると言われています。
多肉植物の多くはアフリカや東南アジア原産で、サボテンから草本に進化する過程で何故か種が固定してしまい今に至るまで細分化しながら種の保存に成功している奇妙な植物です。
葉や茎にはサボテンと同様の水分を貯める器官が存在し、土にまったく水分が無い乾燥状態でも1ヶ月以上は枯れないという生命力を持ち合わせています、大きく育った株ものは半年以上も全く水を与えなくとも乾燥と暑さ寒さに耐えながら生き延びることができる奇跡の植物です。
自然界では砂漠地帯や岩がゴロゴロしているような環境に自生しており、そのため育てるのに肥料も頻繁な水やりも不要なので現在では観賞用に世界的に人気が出ている植物です。
手間要らずで私には物足りなさも感じますがちょっとでも水やりのタイミングを誤ると一気に根ぐされを起こしてあっという間に葉が落ちドロドロに腐ってしまいます、そのくせ水耕栽培のように水の中に突っ込んでおいても枯れずに別の根を出して成長していきます。
放っておいても枯れない植物なのに一度でも人の手によって育てられれば別の植物に進化してしまうようです、こんな小さな植物ですが現在日本では積極的に改良が行われており高価な物では直径8cmの鉢物で50~100万円もする希少品種も存在しています。
過日、日本で生まれた高級品種が栽培業者のビニールハウスから300鉢全て盗難にあったというニュースがありました。
さて、こんな多肉植物を大量栽培して売るなどという発想はまったく起きません、きっと何時か農業に関する道楽か何かの役に立つ、だいたいが私の道楽とはそんなものなのです。
何かの目的を持った瞬間に道楽はストレスの対象に変わります、道楽は天からメッセージが届くまで目的も期待も持たず、ただただ粛々と愉しんでいればよいのです。
欧風カレーとはインドカレーとはまったくの別物で、本来は洋食レストランで出されるメニューであり極めて行くと一つの食のテーマとしては大変面白いと思っています、私も最近は独自の材料と方法で作っては研究している食のテーマにもなっています。
さて、欧風カレーとはイギリスで発祥したフレンチのデミグラスソースの作り方の要素をベースとした煮込みカレーで、タマネギを主とした野菜は炒めた後にすべてミンチにして水を加えず、野菜と鶏ガラスープ(ブイヨン・ド・ヴォライユ)だけで煮込むため濃厚な味が特徴です。
また、欧風カレーは酵素を利用した熟成が味の決め手で、できたてと2晩寝かせたのとでは別物というほどの味の差が出ます。
出来上がりは肉や野菜の固形分がないルーだけという感じですがさらっと感が病みつきになります、このルーを基本にトッピングとしてカツレツやフライした卵、煮込んだ肉や野菜などで幾らでもバリエーションを作り出せます。
実はコクが決め手の欧風カレーはパスタやオムレツとの相性も抜群なのです、ペペロンチーノに仕上げたパスタにルーをかけたカレーパスタは最高の味になります、またオムライスやハンバーグにこのルーをかけると贅沢すぎるほどの味が楽しめます。
この欧風カレーをオーガニック野菜のみで作り健康重視のカレーにしたら面白いかなと考えているのです、使うスパイス類も厳選してできるだけ国産の有機栽培物を使いたいと思います。
トッピングも健康重視のものにした健康欧風カレー、考えただけでワクワクします。
更に、カレーとしてではなく何かの料理のソースやカレー風味の野菜スムージーのようなメニューに仕上げられないかと日々考えているのです。
漢方薬の研究をしていて辿りついたのが「お茶」です、現在デトックス効果のあるお茶の研究を中心に行っています。
ヤーコンを実験栽培している提携農家さんにヤーコンの葉を機械乾燥してもらって送ってもらったり、食用タンポポの根を送ってもらってはお茶にして効果を確認しています。
また北海道のゴボウを乾燥させて作ったゴボウ茶を試しています、ゴボウも乾燥させれば有効なデトックス効果のある美容茶として活用できます。
柿の葉・桜の葉・ビワの葉なども身体を温めデトックス作用が有ると注目されています、更にはドクダミやヨモギなどの野草も忘れてはいけません。
現在、ドクダミ・イタドリ・ビワ葉などのお茶作りの原料が部屋の中に所狭しと和紙に広げては乾燥させています。
また独自のブレンド茶を数種類作っては効果を検証しています、これまでに世に出ているお茶を飲んでみただけでは面白くありませんから創意工夫して飲みやすく身体にそれなりの効果が期待できるお茶作りを愉しんでいます。
愉しむことで健康になるという別の次元での発想で研究しながら作っては提供できるカフェとの併用が面白いのではないかと思います、構想は膨らむばかりです。
薬膳酒といえば、30年以上も前から自宅にはニンニク・朝鮮人参・冬虫夏草・キキョウやアザミの根などを35度のアルコールに漬け込んだガラスキーパーがたくさんあります。
朝鮮人参・冬虫夏草・キキョウの根などはソウルや上海の漢方薬専門店で買いこんだものなのですが当時はバブル経済真っ最中、その恩恵で金額をまったく気にせず何度も足を運び大量に買えたのは今思えば実にラッキーだったのかもしれません。
自宅にガラスキーパー置き場が無く引っ越しする度にもの凄い引っ越し費用がかかるため、仕方なく通常の10倍以上の濃度で保管しています。
これを焼酎などで通常濃度に稀釈させれば、10倍の量の薬膳酒ができることになります。
作り始めたきっかけは、30年ほど前に韓国で自家製薬膳酒が飲める薬膳料理の店で食事をしたことに始まります。
薬草やフルーツ、各種の薬効性のある花や樹木など、結構広い店の一角に20リットルはあるだろう大きなガラスキーパーに入れられた薬膳酒が所狭しと置かれていたのです。
その数は約300、重量も相当なもので床が抜けそうになっていたのを今でも鮮明に覚えています。
薬膳酒作りはしばらくやってなかったのですが、10年ほど前に世界中のスパイスを研究し始めて突然のように再開しました。
現在ではありとあらゆる薬草、ハーブやスパイス類を取りあえずアルコールに漬け込んでいます。
薬効性の在るスパイスで作った薬膳酒は胃薬や喉薬のような味と香りがするのですが、飲み方次第では結構いけます。
今では、それぞれの薬膳酒の美味しいカクテルのレシピ作りを楽しみながら研究しています。
こんなことを愉しんでいるうちに、最近本当によく眠れるし元気いっぱいなのです。
食事内容も徐々に変えてきているので実際のところは何がどのように効いているのかは解らないのですが、まあ愉しんで健康になればそれはそれで善しと思うのです。
そして、薬膳酒を作るようになってから「待つ」ことが愉しく感じるようになったのです、これは何事においても有効な思考のヒントになりました。
オリジナルの薬膳酒作りで愉しみ、そしてそれを提供するレストランとの併用が老後ビジネスとして面白いのではないかと思います。
食材の抗菌保存性ということに着目して研究していくうちに、たどり着いたのが燻製でした。
燻製は長時間の醗酵熟成を介さずに長期保存が可能になり、また独特の風味も生まれます。
燻製といえば肉や魚介類はたくさん作られていますし、「いぶりがっこ」のような大根の漬物まで燻製にして楽しまれています。
燻製はサクラ・ブナ・リンゴ・ヒッコリーなどの香りのよい木材のチップを燻して食品に煙による風味付けを行う加工方法です、この煙にはホルムアルデヒトやフェノールが含まれており、これが食品表面のたんぱく質に反応して皮膜を作ります。
この皮膜が菌やカビを寄せ付けず、またハエなどの昆虫類も寄せ付けなくなり長期間の保存が可能となります。
その保存性もさることながら独特の香りが美味しさを倍増させます、特に半日干しした魚や肉、またチーズや卵などたんぱく質が豊富に含まれる食材を燻製加工すると本当に美味しくなります。
じっくり煮込んでから燻製にした燻製卵の味は、この世の物とは思えないほど大変美味しいものとなります。
また木材の種類による香りや、温燻製や冷燻製のように方法によっても味の変化が楽しめて面白いのです。
直接加熱した煙を当てる温燻製は食材も加熱されますが、冷燻製と呼ばれる煙を氷などで冷やして当てる方法だと食材は加熱処理されずに生のまま燻製になります。
この代表格が生ハムとサーモンです、これはお酒のお伴として食せば最高に美味しいです。
採れたての食材をその場で燻製加工にして何か面白いことができないものか、そう思って燻製窯を買ったのはいいのですが、オフィスや自宅では煙の発生と匂いがすごくて実験しただけで本格的な研究までには行きついていません。
食材に拘って食材のカテゴリを絞った燻製加工食品、爆発的なヒットは無いかもしれませんがリピーターを育てれば息の長い事業になると思います。