現在の日本のマイナス社会現象の一つに空き家問題があります、この多くが借地権や相続が障壁となりどんなに壊れかけて危険な状態でも家主が勝手に壊したり売ることもできずにそのまま放置されています。
これと並んで今盛んに問題視されているのが空き農地問題です、農地を相続したが農業を行わずにそのまま放置しています。
ここで問題になるのが相続を受けた人の義務や責任です、当然固定資産税を払い続けなくてはいけませんし放置していて害虫などが発生した場合には被害者に保障しなくてはいけません、かといって農地法により勝手に売ることもできないし他の目的に変更して利用することもできません。
また例え可能だったとしても行うにはそれなりの費用がかかることになります、更には住居と隣接している場合などは転用にはそれなりの計画を立てて時間をかけて行わなくてはいけません。
農業法人などに借りてもらう手もありますが、空き農地が現在大量にあり農業法人のニーズや条件と合わない場合がほとんどであり困難を極めます。
農地は数年間雑草を放置していると土地が痩せてしまい、また土が硬く締まって再度農地利用する場合にはかなりの手入れをしながら数年間を要してしまいます。
新築する為に盛り土した場合に1年間夏草の種を撒いて土を硬く締めるくらいですから、数年間も放置していた場合にどのような状態になるかは想像するに易しいです。
こうした空き農地ですがアイデア次第では現行の農地法の範囲の中で各種の有効利用方法があるのです、それをシステム化し推進していく、これも一つの社会貢献ではないだろうかと考えているのです。
日本の農業が今極めて危機的状況にあることをご存じでしょうか、まずはデータで示しますと農業労働者は50年前の20%に減少しており現在約130万人しかいません。
また高齢化が急速に進んでおり、同じく50年前の農業労働者全体に占める60歳以上の割合は20%であったのに対して現在はなんと80%以上となっています。
農業労働者の減少に加えて高齢化が進み日本の農業は確実に縮小しています、そこで政府は農業法人の規制を緩めて農業を法人で行えるようにしていますが、それも効果は限定的で思った以上に参入障壁が大きいことが解ってきました。
その理由の一つが労働収益性が極めて低いというのがあります、また繁忙期には朝早くから作業をする必要があり若い人が農業をやりたがりません、現在では多くの農業労働者を外国人に頼っていますがそれも新型コロナパンデミックなどの逆風も吹いて思ったように確保することが難しい状況になっています。
そこで農業改革のヒントをオランダに見出そうと数年前からシンクタンクや民間企業を中心に研究が始まっています、オランダは農業をデジタル化することによってアメリカに次ぐ世界第二位の生産量を誇るまでに成長しました。
その作付け面積はなんと日本の半分しかありません、つまり狭い農地で効率良く農産物を生みだしていることになります、これらを研究し今後必須とされているのが農業DXという新たな分野です。
DXとはデジタルトランスフォーメーションのことで、人間が行うことをITシステムやロボットを駆使して自動化しようとする試みであり現在あらゆる業界で進められようとしている分野です。
例えば、その地域の天候や気温、また土壌を分析して効率良い作物のローテーションをAIで計画書を作成します、またAI搭載の機械を使い無人で種まきから収穫までを行うのです。
更には薬品の散布や害虫の発見もドローンを使って自動化します、こうすることで農業労働者の必要性が無く広い農地を使った無人の農作物生産工場と化するわけです。
農業とITの融合である農業DXはIT技術が無くても大丈夫です、ビジネススキームが完璧であればそれを作るシステムは全て委託で行えるのですから。
外国人向けのインバウンドビジネスが益々広がりを見せていますが、日本に来てからのインバウンドビジネスに対して今後は確実に日本に来る前に既にサービスを受けられるビフォワーインバウンドビジネスが必須になるでしょう。
インバウンドビジネスの多くは、例えば日本であれば日本に来る外国人を対象にした観光や宿泊・飲食・買い物などを主なサービスとしたアフターインバウンドビジネスです。
特にデパートや量販店は積極的で中国人向けの観光客オンリーの店舗も数年前から各社で出店が相次いでいます、表示は全て中国語と英語だけ店員も中国語や英語で応対します、これらのサービスを日本に来る前に行ってしまうというのがビフォワーインバウンドビジネスのメインスキームです。
日本への旅行者向けに日本に来てからどこで何をしようと計画するのではなく、日本に来る前に既に予定を組んでもらおうというもので、空港で具体的なチケットや割引券などを手渡すリアルとWebを連携させたリアルとデジタルの複合サービスです。
また買い物もネットで予約しておき日本に来てから店舗に行き受け取るだけです、待ちのアフターインバウンドに比べて来る前に既に顧客を獲得してしまおうというビフォワーインバウンドビジネス、限られた旅行時間を有効に使う事ができ大きなビジネスになると思います。
このビジネスはすでに中国で開始されており効果を上げています、参加企業もそれぞれの業種を代表するような企業がずらりと並んでいます。
このビジネススキームに照らし合わせるとあらゆるサービスの仕掛け方が変わってきます、事後でなく事前というヒントは他の多くのサービスにも活かされます、出口を用意したうえでの転ばぬ先の杖スキームは全ての業種に適合できると思います。
私はアジア諸国に出張に行けば必ず行くところがあります、それはビジネススパという施設です、大浴場がメインですが薬草スチームバス・ヘアカット・垢すり・マッサージ・ネイルケアなどがオプションでやってもらえる総合ボディケアスパです。
更には薬膳料理や薬酒なども楽しめるレストランバーが施設内にあり、空いた時間が3時間もあれば心身のストレスが吹き飛び活力が蘇ります。
日本でも銭湯がありますが規模が全然違います、また総合的なボディケア付きは大きな温泉地でも行かなければ存在すらありません。
アジア諸国では都会のど真ん中でも幾つも存在しているのです、本当にうらやましい限りです、価格も入浴と薬草スチームバスだけなら2000円程度、1時間のマッサージをつけても5~6000円で薬膳料理とビールをつけて1万円以内で済むのです。
このビジネススパに行き互いにさっぱりした後に薬膳料理とビールで大きな商談を何度したか解りません、ゴルフよりも短時間に心が通いビジネス談話もスムースに進みます。
何と言っても心身共に健康になります、そして互いにリラックスした状態で本音で話し合うことができるのです、都会の中に在る異空間オアシス、日本の都会にも各所に在るべきかと思う次第です。
総合ボディケアスパ・ジム・健康カフェ、そんな都会の24時間丸一日楽しめる、まさに異空間都会のオアシスで現代人には必須な施設だと思うばかりです。
終電に乗り遅れた人などのニーズにも応えられるでしょう、カプセルホテルでは疲れが増すだけです、中規模のホテルと上手く提携できれば意外とすんなりできるかもしれません。
多くの自治体で一人暮らしの高齢者にお弁当を配達して回る高齢者お弁当デリバリー支援が盛んになってきています、事業者と自治体が協力して可能となるこの支援は一人暮らしの高齢者の孤独死回避の目的とも相まって全国に広がりを見せています。
日本は2014年をピークに人口減少トレンドに入りましたが、逆に65歳以上の高齢者率は2050年には40%近くに達します、こういった高齢者サービスは今後益々重要になってきます。
ただここで一つの大きな問題が有ります、こと食事については孤食がボケやうつを加速させるようで一人で食べないようにすることが重要だという指摘が医療機関を中心に上がっています。
もしも一人で食べなければならない状況であれば、できるだけ人と接触する外食が精神的にも栄養素の偏りを防ぐ意味でもよろしいようです。
孤食は精神的からくる脳内ホルモンの代謝の関係で消化吸収も悪くなります、また食欲も無くなるので美味しと感じなくなり、そのために味がどんどん濃くなってくるそうです。
食事はみんなでしゃべりながら、そして笑いながら食べることが脳が衰えずにボケやうつ防止には重要なことなのだそうです。
また人によって食の嗜好も変わります、ただ生きていれば良いというような食事内容は考えものです、そこで地域とレストランのコラボレーションににより高齢者向けのメニューを出すレストランが今後望まれます。
つまり、その場所へ行けばお弁当ではなく暖かい好みの食事ができるというもので皆が集まるので会話もできるし孤独を感じません。
皆で食べる食事は心身を元気にさせるのです、生きる喜びを味わえるのです、数日来なければ様子を見に行けばよく多くのサポーターの必要性も無くなります。
どんな地域でも集会所は必ずあります、また廃校も多くなり利用方法に困っています、そういった場所を使えばコストもかかりません。
そして何よりも歩くことがまたボケ防止や健康維持には重要な事項なのです、このケースでは民間事業者の立場は重要です、こういったサービスは自治体自らは行わずに業者に一括委託するのがこの国の習慣です。
食べに来てくれる高齢者は自然に健康になっていく、夢のような事業です。