揺るぎない真空管パワーアンプの名機中の名機~ラックスマン MQ60
2023年2月18日 08:00
日本オーディオ界を代表するフラッグシップメーカーであるラックスマンの真空管アンプにあって、名機の名を50年以上もほしいままにしているラックスマンの真空管パワーアンプMQ60(1969年発売、定価7.9万円)です。
当時の価格を現在に換算すると40万円、現在オーバーホールされた中古価格は軒並み定価の倍額である16万円以上します、それでも欲しい人が絶えない真空管アンプの金字塔のような神パワーアンプです。
2011年にラックスマンからMQ60のデザインをそのまま模倣したようなMQ88uが定価38万円で出るや、眠っていたMQ60がオーバーホールされて中古市場に溢れかえりました。
しかも中古価格が一時期は20万円弱という価格でした、以来中古価格も高値安定で推移しています。
ラックスマン MQ60
部屋を暗くすると真空管の灯りが柔らかく光ります
ビームの青い光が美しい!
このMQ60は、真空管プリメインアンプの永遠の名機と謳われるSQ38のパワーアンプ部を切り出したもので、真空管にはNECの50CA10を左右2本づつ計4本使ってシングルプッシュプル回路を構成しています。
「真空管の音色は柔らかくて温かい」はあくまでも見た目の印象からくるもので、こういった真空管名機の音色を実際に聴いた人は絶対に出ない言葉です。
中高音域の極めてシャープな音色はふっくらした低音域と相まってメリハリ感も抜群であり、ハードバップやクールジャズには理想的な音色です。
ちなみにJBLのPA用のスピーカーを繋いでみたら、もの凄いリアルで感動的な響きに驚きます。
ボーカルの艶っぽさはピカイチで、まさにそこで歌っているかのようです。
サックスの張り出しも、クラッシャーの響きも文句無し、こういった愉音を聴くと周波数特性だのダンピングファクターだのスペックなどはどうでもよくなります。
むしろ真空管の特性上からくるダンピングファクターが低くて倍音歪がもろに乗った音色は、微妙な響きや余韻が入り心地良さを感じます。
定格出力の低さも真空管の場合は関係ありません(入力耐性が広い)、普通の部屋のサイズならとてもフルパワーでは鳴らせないほど出力の低さを感じさせません。
世は安価な真空管アンプで溢れかえっています、少なくてもMQ60程度のアンプで本物の真空管アンプの醍醐味を味わってほしいものです。
まかり間違っても、プリ部は真空管でも出力段にデジタルアンプを使った世に言うハイブリッドアンプの音を聴いて真空管の音色だと記憶しないように願います。
確かに高音域は真空管の倍音歪が乗った艶っぽい音色ではありますが、特に中低音域の音色やふわっとした押し出し感は全く違います。